不定詞の形容詞的用法・完全ガイド|基本と応用を例文でマスター
形容詞的用法の不定詞とは、単語一語の形容詞( beautiful や large など)と同じように、名詞を修飾したり、補語Cになったりする不定詞( to do )のことだ。
基本的には「〜するための」という意味になるが、文脈によっては「〜するだろう」「〜できる」「〜すべき」といった意味になることもある。
ここでは、例文を交えながら、形容詞的用法の不定詞の意味や使い方を整理していこう。
CONTENTS
基本の確認|形容詞の2つの働き
形容詞的用法の不定詞は「形容詞」の一種なので、まずは大前提として、英文での形容詞の働きを確認しておこう。
※「形容詞の働きはバッチリ!」という場合には、次の「形容詞的用法の不定詞の使い方」に進んでも大丈夫だ。
1. 名詞を修飾する(修飾語Mになる)
The temple has a beautiful garden.
(そのお寺には美しい庭がある。)
※形容詞 beautiful が名詞 garden を修飾している(美しい → 庭)
2. 補語Cになる
The garden was beautiful.
(その庭は美しかった。)
※形容詞 beautiful が第2文型(SVC)の補語C( the garden = beautiful )
I found the garden beautiful.
(私はその庭が美しいと思った。)
※形容詞 beautiful が第5文型(SVOC)の補語C( the garden = beautiful )
こうした品詞の働きに沿って学ぶと、不定詞だけでなく英文法(語順のルール)そのものが身に付きやすくなるのでオススメだ。
形容詞的用法の不定詞の使い方・例文
普通の形容詞と同じように、形容詞的用法の不定詞には、
・名詞を修飾する(基本/中学英語相当)
・補語Cになる(応用/高校英語相当)
という2つの使い方がある。それぞれ、詳しく見ていこう。
基本|名詞を修飾する
名詞を修飾する形容詞的用法の不定詞は「〜するための」「〜するような」という意味で有名だが、文脈によっては「〜するだろう」「〜すべき」「〜できる」という意味になることもある。
これは、形容詞的用法の不定詞に、助動詞 will, should, can のニュアンスが含まれるからだ。
(ストレスを管理することは健康を保つための素晴らしい方法だ。)
(彼は約束を守る人だ。)
※「約束を守るための」だと違和感があるので、ここでは「約束を守るであろう」といったニュアンス。
(夕方までに返信すべきメールがいくつかある。)
※「返信するための」だと違和感があるので、ここでは「返信すべき」といったニュアンス。
(彼らの結婚式に着ていけるドレスを買った。)
※「着るための」でも成り立つが、「着ることができる」といったニュアンスもある。
前置詞で終わる形容詞的用法の不定詞
なお、“something to write with” や “anything to talk about” のように、前置詞( with や about など)で終わる形容詞的用法の不定詞も、とてもよく出てくる表現だ。
(何か書くためのものが必要です。)
以下のページでは、こうした表現で前置詞が必要な理由を体系的に学べるので、必要に応じて確認しておこう。
応用|補語Cになる
形容詞的用法の不定詞は「形容詞の一種」なので、名詞を修飾するだけでなく、補語Cになることもある。ここでは、重要度を意識して、
・第5文型(SVOC)
・第2文型(SVC)
という順番で例文を見ていこう。
1. 第5文型(SVOC)の補語Cになる
第5文型(SVOC)は O = C(OがCする、OがCである)という関係が成り立つ文型だが、「他動詞 + someone + to do 」も第5文型(SVOC)の代表的な形だ。
以下の例文では、目的語O( someone )と補語C( to do )の間に「OがCする」という主語-述語の関係が成り立っている。
(私たちは彼女にチームへ加わるようお願いした。)
(あなたには自分の決断にもっと自信を持てるようになってほしい。)
(友人が私を新しいことに挑戦するよう勇気付けてくれた。)
ちなみに、第5文型(SVOC)の補語Cになっている不定詞は「〜すること」と訳せなくもないので、名詞的用法の不定詞だと思えるかもしれない。
ただ、第5文型(SVOC)では O = C(OがCする、OがCである)という関係が成り立つので、もしも名詞的用法の不定詞だとすると、「人」=「〜すること」という意味になり不自然だ。
ここはやはり、形容詞的用法の不定詞が補語Cになっていると押さえておこう。
※別の単元にはなるが、“I saw a bird flying.” の flying が動名詞(名詞/〜すること)ではなく現在分詞(形容詞/〜している)なのと似たような感覚。
2. 第2文型(SVC)の補語Cになる
形容詞的用法の不定詞が第2文型(SVC)の補語Cになった表現としては、いわゆる be to 不定詞が有名だ。
(最初のミーティングは土曜日の午前11時に行われることになっている。)
「 be to 不定詞」の意味や覚え方について、詳しくは以下のページで確認しておこう。
補足1. 同格修飾は形容詞的用法か?
直前の名詞を同格的に修飾(※)する不定詞は、広く捉えるなら名詞を修飾しているので、形容詞的用法の不定詞だと見ることもできる。
※同格修飾:「〜という…」と訳すことのできる、名詞の内容そのものを表す修飾のこと
ただ、前置詞で終わる形容詞的用法の不定詞のページでも解説しているように、形容詞的用法の不定詞であれば、同じ形容詞の働きをする関係詞節に置き換えられるはずだ。
以下のような同格修飾をする不定詞は、関係詞節(形容詞節)に置き換えることができず、that 節(名詞節)に置き換えることが可能なので、名詞的用法の不定詞だと押さえておく方が、文法的なロジックとしてはより一貫する。
名詞的用法の不定詞
We have a plan to renovate our house.
↓ that 節を使って plan を修飾するなら……
We have a plan that we will renovate our house.
家を改修する(という)計画があるんです。
※後ろが完全文なので、ここでの that は関係代名詞ではなく接続詞
こうした同格修飾の不定詞については、初心者は形容詞的用法、中級者は名詞的用法だと押さえておくのがオススメだ。
補足2. 副詞的用法の不定詞との違い
形容詞的用法の不定詞(〜するための)が主には名詞を修飾するのに対して、副詞的用法の不定詞(〜するために)は主には動詞を修飾する表現だが、その場合、文の要素はどちらも修飾語Mになる。
逆に言えば、修飾語Mだというだけでは、それが形容詞なのか副詞なのかを判断することはできない。(不定詞に限った話ではなく。)最終的には、必ず「意味の繋がり」まで確認するようにしよう。
例1. 直前に名詞がない場合
不定詞以外の部分が完全文(文型が完成している文)になっていて、不定詞の直前に名詞がなければ、その不定詞は副詞的用法(〜するために、など)だ。
(良い席を確保するために、早く出発しよう。)
※ “Let's leave early” が完全文で、不定詞の直前に名詞がないので、“to secure good seats” は副詞的用法の不定詞だと判断できる。
例2. 直前に名詞がある場合
一方で、直前に名詞がある場合には、形容詞的用法の可能性もあるが、少し離れた動詞を修飾している副詞的用法の可能性もあるので、必ず「意味の繋がり」まで確認しよう。
(今日やるべき業務がいくつかある。)
※ “I have some tasks” が完全文なので、“to do today” は修飾語M。「今日やるべき → 業務」で意味が繋がるので、形容詞的用法の不定詞だと判断できる。
(牛乳を買うためにそのお店に行った。)
※ “I went to the store” が完全文なので、“to buy some milk” は修飾語M。「牛乳を買うために → 行った」で意味が繋がるので、副詞的用法の不定詞だと判断できる。
さいごに|英文法は「品詞と文型」に沿って学ぼう
ここでは、形容詞の働きに沿って、形容詞的用法の不定詞の意味と使い方を学んだ。
不定詞に限らず、どんな単元や表現でも「品詞と文型」に沿って学んでいこう。そうすれば、丸暗記に依存する機会が減っていくはずだ。
中でも「自動詞と他動詞の違い」は、あらゆる英文法の基礎になっている重要な概念なので、興味や必要性があれば、以下のページの動画でよく確認しておこう。
オススメの関連記事