これで解決!「不定詞の意味上の主語」完全まとめ

英文法不定詞
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不定詞の意味上の主語まとめ-3

私たちは普段、動詞が出てきたときには必ず「主語」というものを確認している。

ところが困ったことに、多くの英語学習者の場合、その動詞が別のものに姿を変えてしまった途端、「主語は?」という意識が薄れてしまう。

そこでここでは、「動詞が姿を変えたもの」の中でももっとも用途の多い不定詞について、その意味上の主語を体系的にまとめていこう。

そもそも、なぜ「意味上の主語」が大切なのか?

不定詞の意味上の主語まとめ-1

「意味上の主語」という言葉については、以前、動名詞についての記事でもふれたことがある。

参考記事:動名詞の意味上の主語、目的格はダメ!?

簡単におさらいしておくと、「意味上の主語」という言葉は「文頭の主語S」と区別をするためのものだ。

一般に、単に「主語」というと「文頭の主語S」のことを指すことが多い。不定詞・分詞・動名詞などの準動詞(動詞の意味を持つが、品詞は動詞ではないもの)が表す動作の主語を、特に「意味上の主語」と呼んでいるのだ。


Tom will employ a man to speak English.
トムは英語を話せる男性を雇うつもりだ。


 
例えば、上の文での不定詞「to speak English」の意味上の主語は「a man」というわけだ。(to speak Englishするのはa man)

具体的な話に入る前に、1つ知っておいてほしい。どうしてこの「意味上の主語」というものについて学ぶ必要があるのだろうか。教科書に載っているから?そういう表現があるから?そうじゃない。意味上の主語を捉えることで、見たことのない動詞の意味をある程度絞ることができるからだ。

「to doX」という不定詞に遭遇したとしよう。これまでお目見かかったことのない動詞doX(ドゥーエックス)が含まれている。知らない動詞である「doX」ばかりに気を取られてしまうと埒が明かないが、意味上の主語が突破口を開いてくれることがしばしばある。

大学受験では「言語論」というテーマの文章が出題されることも多いが、例えばこの「to doX」の意味上の主語が「言語・言葉」だったとしたらどうだろう?「言葉が歩く」「言葉が食べる」「言葉がググる」は明らかにおかしい。「言葉が表す」「言葉が指し示す」「言葉がバズる(拡散する)」などが、doX にふさわしい意味として浮かんでくるのではないだろうか。

「主語をハッキリさせれば、動詞の意味も浮かび上がる」

準動詞の意味上の主語を学ぶ目的は、本質的には、こういったところにあるというわけだ。

名詞的用法、副詞的用法の不定詞の「意味上の主語」

不定詞の意味上の主語まとめ-2

ではここから具体的な話に入っていこう。不定詞の意味上の主語を考える上で、「名詞的用法の不定詞」と「副詞的用法の不定詞」については意外とシンプルだ。しかも本質が同じなので、まとめて取り扱うことができる。基本的には、次の3点を頭に入れておいてもらえるとよい。

名詞的用法・副詞的用法の不定詞の「意味上の主語」の表し方
 
★ to do の直前に for + A という形で置く。
★ 意味上の主語が「文頭の主語」または「世間一般の人々(私たち・あなた方)」の場合は省略できる。
★ 名詞的用法の不定詞では、人の性質・性格を表す場合は、例外的に of + A で表す。

これらに関して、次の5つの具体的な英文で確認していこう。
 
 
1. 名詞的用法の不定詞/「for + A」あり
It is impossible for me to finish this work in an hour.
私がこの仕事を1時間で終わらせることは不可能だ。
⇒「to finish this work in an hour」の意味上の主語は「for me」で表されている「私」
※ここでの不定詞は、形式主語 It に代入される真主語なので、名詞的用法の不定詞。

2. 副詞的用法の不定詞/「for + A」あり
We put a fence for the neighbors not to overlook us.
私たちは、隣人が覗きこめないようにフェンスを設置した。
⇒「not to overlook us」の意味上の主語は「for the neighbors」で表されている「隣人」
※ここでの不定詞は、動詞 put を修飾しているので、副詞的用法の不定詞。

3. 名詞的用法の不定詞/「for + A」なし
To live without air would be impossible.
(私たちが)空気なしで生きるのは不可能だ。
⇒ 不定詞の直前に「for + A」が置かれていないので、「To live without air」の意味上の主語は「世間一般の人々(私たち)」
※ここでの不定詞は、主語になっている名詞的用法の不定詞。

4. 副詞的用法の不定詞/「for + A」なし
She wears high-heeled shoes to look taller.
彼女は(自分が)背が高く見えるようにハイヒールを履いている。
⇒ 不定詞の直前に「for + A」置かれていないので、「to look taller」の意味上の主語は「文頭の主語S(彼女)」
※ここでの不定詞は、動詞wearsを修飾している副詞的用法の不定詞。

5. 名詞的用法の不定詞/「of + A」あり
It was clever of you to hit on such an idea.
あなたはそんな考えを思いつくとは、賢明だ。
⇒「clever」が人の性質・性格を表す形容詞なので、例外的に「of + A」で意味上の主語を表す。
※ここでの不定詞は、形式主語 It に代入される真主語なので、名詞的用法の不定詞。
 
 
例を5つ挙げたので最初は煩雑に思えるかもしれないが、名詞的用法の不定詞・副詞的用法の不定詞では、基本的に「for + A」という形で意味上の主語を表すということを、しっかりと覚えておいてもらえればよい。

形容詞的用法の不定詞の「意味上の主語」

不定詞の意味上の主語についてキミの頭を悩ませる原因は、この「形容詞的用法の不定詞」に違いない。先ほどの2種類の不定詞の場合と違い、単純に「for + A」という形を添えればよいわけではないから厄介だ。

形容詞的用法の不定詞を扱う場合には、次の2種類に大別するとよい。

1. 名詞を修飾するもの
2. 補語Cになるもの(特に第5文型の補語C)

順番に整理していこう。

名詞を修飾するもの

不定詞の意味上の主語まとめ-3


Joseph has many friends to talk with.
ジョセフには一緒に話をする友だちがたくさんいる。


 
社交性の低い私からすると、異世界の話だ。冗談はさておき、この「to talk with」は直前の名詞 friends を修飾しているのだから、もちろん形容詞的用法の不定詞だ。(名詞を修飾する品詞は、形容詞。)

確かにこの例では、「to talk with」するのは文頭の主語 Joseph なので、「直前に for + A が書かれていない不定詞の意味上の主語は、文頭の主語Sに一致する」という先ほどのパターンに、形容詞的用法の不定詞も当てはまるように思える。けれども、同じような文構造である次の文を見てほしい。


Joseph has many friends to speak Japanese fluently.
ジョセフには日本語を流暢に話せる友だちがたくさんいる。


 
先ほどの「to talk with」と同様に、「to speak Japanese fluently」は直前の名詞 friends を修飾する形容詞的用法の不定詞だ。この不定詞の直前にも「for + A」という形は置かれていないが、意味上の主語は文頭の Joseph ではない。friends が「日本語を流暢に喋る」のだから、friends が意味上の主語なのだ。

不定詞の意味上の主語まとめ-4

これは困った。

「形容詞的用法の不定詞が名詞を修飾する場合、文頭の主語(Joseph)や、時には修飾されている名詞(fiends)が、意味上の主語になります!」

さすがにこれだと曖昧すぎるし、単なる事実だけを堂々と宣言することに私は何の価値も感じない。

そこで、だ。形容詞的用法の不定詞を、関係詞節に書き換えて考えていくことにしよう。

形容詞的用法の不定詞=関係詞節

このメソッドの肝は、「形容詞的用法の不定詞」と「関係詞節」を分け隔てしないというところにある。


He will employ a man to speak English.
= He will employ a man who can speak English.
彼は英語を話せる男性を雇うつもりだ。


 
確かに多くの文法書の場合は、不定詞と関係詞を別々のページで扱うものだ。

けれども、直前の名詞 a man を修飾しているという点では、「to speak English」も「who can speak English」も同じ形容詞のカタマリである。しかも、ここでは「to speak English」よりも「who can speak English」の方が、ありがたい形だという認識を持ってもらいたい。だって、SV構造のない「句」よりも、SV構造のある「節」の方が、文構造を捉えやすいでしょう?

そこで、不定詞の意味上の主語を考えるためにも、名詞を修飾する形容詞的用法の不定詞を、関係詞節に書き換えて考えるというわけだ。

なおここは、英語学習ボックスの無料動画(全31回)でもしっかりと解説しているので、そちらも上手く活用してほしい。

では改めて、先ほどの2つの例文を、関係詞節を用いて書き換えてみるとしよう。


Joseph has many friends to talk with.
= Joseph has many friends whom he can talk with.
 
Joseph has many friends to speak Japanese fluently.
= Joseph has many friends who can speak Japanese fluently.


 
お分かりだろうか?名詞を修飾する形容詞的用法の不定詞の意味上の主語は、「たまに文頭の主語、ときに修飾される名詞」などと中途半端に押さえるべきものではない。

形容詞的用法の不定詞を、「目的格の関係代名詞を用いた関係詞節」に書き換えられるとすれば、修飾されていている名詞は意味上の目的語となる。その結果、不定詞の意味上の主語が、文頭の主語Sということになるのだ。

一方で、形容詞的用法の不定詞を、「主格の関係代名詞を用いた関係詞節」に書き換えられるとすれば、修飾されている名詞が意味上の主語となる。

結論。

名詞を修飾する形容詞的用法の不定詞について、その意味上の主語を考える場合は、関係詞節に書き換えて考えるのが一番いい。最初は面倒かもしれないが、もっとも的確で、かつ文法力を鍛えられる方法だ。

参考:文法力の基礎を身につけるための31の無料動画

補語Cになるもの

補語Cというと、第5文型(SVOC)のC(目的格補語)を大切にしてほしい。形容詞的用法の不定詞が第2文型(SVC)のC(主格補語)の位置に置かれることも稀にあるが、今回のように意味上の主語について議論する際には、省いてしまってよいだろう。


She encouraged him to try again.
彼女は彼にもう一度挑戦するよう励ました。


 
大成する人物の影には賢明なパートナーがいると、よく言われる。ここで重要なのは、そうやってパートナーと共に豊かな人生を歩んで行こうとする姿勢と、「to try again」の意味上の主語だ。

ここも不定詞の直前に「for + A」という形が置かれていないが、だからといって文頭の主語 She が「to try again」の意味上の主語というわけではないだろう。当然、himが意味上の主語だ。

このような「他動詞+人+to do」というのは第5文型(SVOC)の代表的な形だ。第5文型(SVOC)の本質は、OとCの間にある主語-述語の関係にあった。英語でもっとも重要な文型である第5文型(SVOC)については、以下の記事に詳しくまとめてあるので、ここも必要な方は参考にしてほしい。

参考記事:英語が苦手な人へ!第5文型を100%理解できるようになる話

「他動詞(encouraged)の目的語(him)が、不定詞の意味上の主語になることもある」と、これまた中途半端に押さえるのはよそう。「第5文型(SVOC)のCの位置に不定詞が来れば、当然、目的語Oが意味上の主語となる」と、第5文型の本質に基づいて考えればよいだけだ。そうすれば、「to try again」の意味上の主語もすぐに明らかになるだろう。

まとめ/形容詞的用法の不定詞に要注意!

結局のところ、不定詞の意味上の主語については、形容詞的用法の不定詞を攻略できるかどうかが全体の理解に繋がる。特に重要な点をまとめておくので、今日の内容の復習にお役立ていただきたい。

・名詞を修飾する「形容詞的用法の不定詞」
⇒ 関係詞節に書き換えると、意味上の主語を判断できる
・目的格補語Cに置かれる「形容詞的用法の不定詞」
⇒ 第5文型(SVOC)の性質から、目的語Oが意味上の主語だと判断できる
 
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