これで解決! 不定詞の意味上の主語【完全保存版】
不定詞の「意味上の主語」とは、不定詞( to do )が持つ「動詞の意味」に対する主語のことだ。
基本的には、不定詞の直前に “for someone / for something” という形で表現するが、形容詞的用法の不定詞(〜するための、〜するような)では、これに該当しないことが多いので注意が必要だ。
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確認:「主語」と「意味上の主語」の違い
「意味上の主語」という言葉に戸惑う人もいるかもしれないが、これは単なる主語(文の主語)と区別するための言葉だ。
(その橋はとても狭いので車が通れない。)
文の主語:The bridge
不定詞( to pass there )の意味上の主語:for a car
詳しくは以下のページで解説しているので、必要に応じて学んでおこう。
不定詞の意味上の主語(全体像)
全体像をザックリと押さえるなら、不定詞の意味上の主語は、不定詞の直前に “for someone / for something” という形で表現するのが原則だ。
ただ、一部の名詞的用法の不定詞や、形容詞的用法の不定詞は、これに該当しないことがあるので、詳しく整理していこう。
「名詞的用法の不定詞」の意味上の主語
名詞的用法の不定詞(〜すること)の意味上の主語は、原則、不定詞の直前に “for someone / for something” という形で表現する。
(彼が遅れるなんて珍しいね。)
(子供がこの概念を理解するのは難しいよ。)
(植物が十分な日光を浴びるのは重要だ。)
人の性質・性格を表すなら of someone
ただし、人の性質・性格を表す場合(人の行動に対して判断・評価をする場合)には、for ではなく of を使うので注意しよう。
(手伝ってくれるなんて親切だね。)
(プレゼントを持ってきてくれて、彼女は思いやりがあるね。)
(有り金すべてを一箇所につぎ込むなんて、彼は馬鹿だったね。)
「形容詞的用法の不定詞」の意味上の主語
普通の形容詞( beautiful や good など)と同様に、形容詞的用法の不定詞(〜するための、〜するような)にも「名詞を修飾する」「補語Cになる」という2つの使い方がある。
それぞれ、詳しく見てみよう。
1. 名詞を修飾する場合
意味上の主語については、この場合がもっとも煩雑(単純なパターン化がしにくい)かもしれない。
文脈や文構造によって、修飾される名詞が「意味上の主語」になったり、「意味上の目的語」になったり、そのどちらでもなかったりするからだ。
修飾される名詞が「意味上の主語」のとき
この場合は “for someone / for something” は不要だ。修飾されている名詞が、そのまま意味上の主語になる。
(彼女はそのプロジェクトを率いるのにもっとも適した人物だ。)
※修飾されている名詞 person が、“to lead the project” の意味上の主語。
(彼らはビーチを綺麗にするのを手伝ってくれるボランティアを見つけた。)
※修飾されている名詞 volunteers が、“to help clean up the beach” の意味上の主語。
(その車には交換すべきタイヤがある。)
※修飾されている名詞 tires が、“to be replaced” の意味上の主語。
修飾される名詞が「意味上の主語」ではないとき
この場合、意味上の主語を表すなら、“for someone / for something” という形を使おう。
(ピクニックで子供が遊べるゲームを持っていこうよ。)
※修飾されている名詞 games は、意味上の目的語。
(試験のために静かに勉強できる場所が必要だ。)
※修飾されている名詞 place は、意味上の主語でも目的語でもない。
なお、後で補足するが、意味上の主語が「文の主語」や「世間一般の人々( we, you, people など)」と一致する場合には、“for someone / for something” を省略することが多い。
2. 補語Cになる場合
形容詞的用法の不定詞が補語Cになる場合、意味上の主語は「文型」に依存するので、“for someone / for something” は不要だ。
第5文型(SVOC)の補語Cになるとき
第5文型(SVOC)では「OがCだ/OがCする」という関係が成り立つので、この場合には「文の目的語O」が「意味上の主語」になる。
目的語O:him(意味上の主語)
補語C:to return my book
(彼に私の本を返すように言ってくれない?)
目的語O:me(意味上の主語)
補語C:to see things from a different perspective
(彼はいつも助けてくれるんだ、私が別の観点から物事を見るように。)
目的語O:us(意味上の主語)
補語C:to maintain a healthy weight
(運動の習慣は私たちが健康的な体重を維持するのを可能にしてくれる。)
第2文型(SVC)の補語Cになるとき
第2文型(SVC)では「SがCだ」という関係が成り立つので、この場合には「文の主語S」が「意味上の主語」になる。
(そのコンサートは次の土曜日にその公園で行われることになっている。)
(彼らはフライトのために午前10時までには空港に到着することになっている。)
なお、be to 不定詞(形容詞的用法の不定詞が be 動詞の補語Cになった表現)については、必要に応じて以下のページで学んでおこう。
「副詞的用法の不定詞」の意味上の主語
副詞的用法の不定詞(〜するために、〜するほど)の意味上の主語は、不定詞の直前に “for someone / for something” という形で表現する。
(徹底的に家を掃除したんだ、ゲストが快適に過ごせるようにね。)
(彼はすぐに車を修理したのさ、もう一度ちゃんと走るようにね。)
(そのケーキは甘すぎて、彼女は完食できなかった。)
意味上の主語を省略する3つの場合
なお、以下のような場合には、意味上の主語を省略することが多い。
1. 文の主語と同じとき
2. 世間一般の人々( we, you, people など)のとき
3. 文脈から明らかなとき
(彼女は始発に間に合うように早起きした。)
※意味上の主語が「文の主語( She )」と同じなので、for her は省略する。
(健康のためにはバランスの取れた食事をすることが重要だ。)
※意味上の主語が「世間一般の人々( we )」なので、for us は省略してもいい。
(彼の目標は成功した起業家になることだ。)
※意味上の主語が「文脈から明らかな he 」なので、for him は省略する。
さいごに|主語と動詞の関係を大切に
最初は「意味上の主語」という言葉に戸惑ったかもしれないが、「動詞の意味」があるなら、それに対する「主語」も当然あるはずだ。
不定詞( to do )に限らず、動名詞( doing )や分詞( doing / done )など、動詞の意味を持つ表現が出てきたら、意味上の主語を意識しよう。
そうすれば、英語の理解力や表現力がもっと正確になるはずだ。