形式主語 it の使い方|真主語になる4つの表現をマスター

英文法その他重要表現
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形式主語の it とは、意味的な主語が長くなるときに使われる、形式的な(文構造上の)主語のことだ。

形式主語の it に対応する真主語(意味的な主語)には、

1. 名詞的用法の不定詞( to do )
2. 動名詞( doing )
3. that 節( that SV )
4. 間接疑問文( where SV, whether SV など)

の4つがある。ここでは、形式主語構文が好まれる理由などにも触れながら、形式主語 it の使い方を学んでいこう。

CONTENTS

形式主語 it とは?

形式主語とは、意味的な主語が長くなるときに使われる、形式的な(文構造上の)主語のことで、形式主語 it を使った表現は「形式主語構文」と呼ばれている。

主語が長くなると
形式主語構文が好まれる

To find a good balance between work and personal life is difficult.

↓ 形式主語 it を使うなら……

It is difficult to find a good balance between work and personal life.

(仕事とプライベートの間の良いバランスを見つけるのは難しい。)

形式主語の it には、代名詞の it(それは)のニュアンスも含まれてはいるが、和訳するときに「それは」と訳してしまうと不自然な日本語になるので、形式主語の it は訳さないようにしておくのが無難だ。

なぜ、形式主語構文を使うのか?

形式主語構文を使うのは、主張や結論を早めに伝えて、言葉としてのコミュニケーションを簡潔にするためだ。

普通、主張や結論というものは、主語(〜が)ではなく述語(〜だ)によって伝わるものなので、主語があまりにも長いと、「で、結局、何が言いたいの?」という気持ちが聞き手に生まれてくる。

 
To find a good balance between work and personal life is ...
 
仕事とプライベートの間の良いバランスを見つけることは……
 
(なになに? 大切なの? 不可能なの?)

こうしたモヤモヤを解消し、結論に当たる述語( is difficult など)を早く伝えるために、英語では形式主語構文が好まれるわけだ。

ちなみに、日本語が「文脈」や「聞き手の能力」が重要視される言語なのに対して、英語は「言葉そのもの」や「話し手の能力」が重要視される言語だ。

そう考えると、回りくどい言い方を回避するための形式主語構文は、とても英語らしい表現だと感じられる。

形式主語 it に対応する4つの真主語

形式主語 it に対応する真主語(意味的な主語)には、

1. 名詞的用法の不定詞( to do )
2. 動名詞( doing )
3. that 節( that SV )
4. 間接疑問文( where SV, whether SV など)

の4つがある。どれも大きな名詞のカタマリ(名詞句や名詞節)として大切なものばかりだ。

1. 名詞的用法の不定詞

名詞的用法の不定詞( to do /〜すること)は名詞の一種なので、形式主語 it に対する真主語になる。

It is ridiculous to hire people based on gender, not skill.

(馬鹿げてるよ、スキルではなく性別に基づいて人を雇うことは。)

It is so heartwarming to see this moment.

(すごく心が温まるね、こうした瞬間を目にすることは。)

It is really difficult to raise children while working full-time as a parent.

(本当に難しいんだよね、親としてフルタイムで働きながら子供を育てることは。)

名詞的用法の不定詞は英語の基本的な表現なので、必要に応じて詳しく学んでおこう。

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2. 動名詞

動名詞( doing /〜すること)も名詞の一種なので、形式主語 it に対する真主語になる。

It was a great pleasure meeting you.

(本当に良かったです、あなたにお会いできて。)

It is no use thinking about it.

(無駄だよ、それについて考えるのは。)

It was great working with you on this.

(素晴らしかったです、この件であなたと共に働けたことが。)

動名詞も英語の基本的な表現だ。詳しくは以下のページで学んでおこう。

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3. that 節

that 節( that SV /〜するということ)は名詞節(SVがある大きな名詞)の代表的な表現だ。これも名詞の一種なので、形式主語 it に対する真主語になる。

It's a pity that people judge a book by its cover.

(残念なことですね、人が本を表紙で判断するのは。)

It's natural that you don't want to be hated.

(自然なことだよ、あなたが嫌われたくないと思うのは。)

It is true that future consequences are shaped by present actions.

(真実だよ、未来の結果が現在の行動で決まるというのは。)

that 節については、以下のページで詳しく学んでおこう。形式主語構文だけでなく、さまざまな場面で出てくる重要な表現だ。

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4. 間接疑問文

間接疑問文も形式主語構文における真主語になることがよくある。間接疑問文は、普通の疑問文(「?」で終わる疑問文)を名詞化した表現だからだ。

It is not important where you are from.

(重要じゃないさ、あなたがどこからやって来たかなんて。)

It doesn’t matter how many people are doing it.

(重要じゃないよ、どれだけ多くの人がそれをしているかなんて。)

It’s up to you whether/if you believe it or not.

(あなた次第だよ、それを信じるかどうかは。)

名詞的用法の不定詞や動名詞に比べると、間接疑問文は少し難しく感じられるかもしれないが、とはいえ、英語の基本的な表現なので、英文法(語順のルール)を身に付けるなら、欠かさず学んでおこう

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さいごに|英文法は体系的に学ぼう

ここでは、形式主語構文について学んだが、形式主語 it に対する真主語には4つの表現があり、形式主語構文だけを学んでも、形式主語構文は理解できないこともわかったと思う。

このように、英文法(語順のルール)は、実はさまざまな単元や表現が結び付いているものだ。

中でも「自動詞と他動詞の違い」は、不定詞・動名詞・関係詞など、多くの表現の土台になっているものなので、なるべく早い段階で確認しておくのがオススメだ。