不定詞やthat節だけじゃない!形式主語と4つの真主語まとめ

「形式主語構文」というものを聞いたことがあるだろうか?
“It is … to do” や “It is … that SV” などといった、いわゆる「形式主語のIt」を備えた表現だ。
非常に基本的なものだが、意外と正確に理解している人が少ないようなので、今日はこの形式主語構文についてお話ししていくことにしよう。
受験生やTOEICの勉強をしている人には、ぜひ確認しておいてもらいたい内容だ。
そもそも、なぜ形式主語を用いるのか?
英語では、長ーーーい主語が文頭に置かれるのは嫌われる。なぜかと言うと、その分、述語動詞Vを言うのが遅れるからだ。
話し手・書き手の「主張・結論」というのは、主語Sと述語動詞V、どちらに含まれているだろう?当然、述語動詞Vの部分に含まれているはずだ。主語Sには主張も結論も含まれていない。
このような、結論が後回しになった表現は、非常にまどろっこしい。結論・主張を先に述べる方が、相手に対しても親切だし、説得的なのだ。
そこで、「あ!主語Sが長くなりそうだな!」というときに、形式主語(仮主語)のItというものが用いられる。
It is impossible for me to finish this work in an hour.
この “It” 自体には意味はなく、主語Sのスペースを確保する働きだけを担っているものだと理解してほしい。
こうやって形式主語(仮主語)のItを用いることで、 “is impossible(無理だ!)” という結論・主張を早めに述べることが出来ている。
また、本来は文頭に置かれるべきであった長ーーーい主語 “for me to finish this work in an hour” のことを真主語というので、覚えておこう。
英語は基本的に主語Sから訳す。形式主語構文では、真っ先に真主語を探し出し、その真主語の部分から訳すよう心がけよう。
真主語になる4つの長ーーーい名詞
形式主語構文というと、 “不定詞” や “that節” が真主語となっているものがイメージされやすいが、真主語になる長ーーーい名詞は、全部で4つある。
そこで、真主語の種類別に、形式主語構文を整理することにしよう。
1. 名詞的用法の不定詞が真主語
It is a woman’s business to get married as soon as possible, and a man’s to keep unmarried as long as he can.
できる限り早く結婚することは女性の仕事であり、できる限り長く独身でいることは男性の仕事である。
こちらは、アイルランドの劇作家であるバーナード・ショーの言葉だ。
なんともコメントしがたい例文なので、私は形式主語構文の解説に回ることにする。
これは、名詞的用法の不定詞 “to get married as soon as possible” が真主語になっている形式主語構文だ。
andの後ろが若干わかりにくいかも知れないが、前の部分と同じような流れが続くはずだ。 “it is” と “business” を補って考えると、同じような形式主語構文が見えてくる。
(it is) a man’s (business) to keep unmarried as long as he can.
名詞的用法の不定詞は、形式主語構文の真主語になる代表的なものなので、しっかりと押さえておこう。
2. 動名詞が真主語
It is no use crying over spilt milk.
こぼれてしまった牛乳を嘆くことは、無駄なことだ。(覆水盆に返らず)
こちらは有名な英語のことわざだ。いわゆる「覆水盆に返らず」
比較的少ないが、こうやって動名詞が真主語になることもある。
“It is no use doing” というのは「~しても無駄だ」という慣用表現ではあるが、動名詞を真主語とした形式主語構文だという理解は必要ではないだろうか。
3. that節が真主語
It was a pity that you couldn't join our meeting.
キミが私たちのミーティングに参加できなかったのは残念なことだ。
このように、that節が真主語になる形式主語構文は、かなり有名なところだろう。
“that you couldn't join our meeting” を、しっかり主語として訳そう。
4. 間接疑問文が真主語
It does not matter how slowly you go so long as you do not stop.
立ち止まらない限り、どれほどゆっくり歩むかは問題ではない。
こちらは、孔子の言葉だ。疑問詞howが間接疑問文 “how slowly you go” を導いているが、間接疑問文は名詞節として働く疑問文であった。
参考:that節の親戚!?間接疑問文で初心者が知っておくべき2つのポイント
間接疑問文は名詞節なので、that節と同様に真主語になりうる。
なお、文末の “so long as” という表現については、以下の記事で楽しく学べるので、ぜひ参考にしてもらいたい。
参考:なんだ、そういうことか! “as long as” と “as far as” の意味の違い
matterは自動詞で、「問題である」という意味だ。
まとめ
形式主語構文は、英文の中でもっともよく見かける表現のうちの1つだ。
“It is ~” で始まるセンテンスがあれば、優先的に「形式主語構文じゃないか?」と考えるようにしよう。
その際、今日お伝えした「4つの真主語」をしっかりと探してほしい。“It is ~” で始まる文が形式主語構文であるなら、必ずその文のどこかに「4つの真主語」のうちのいずれかが見当たるはずだ。
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