
間接疑問文という何とも堅苦しい言葉を、あなたも一度は聞いたことがあるだろう。
分厚い参考書を開くと、
“直接話法で用いる疑問文を「直接疑問文」と言うのに対して、発信者の言葉が伝達者の言葉に置き換わった間接話法で用いる疑問文を「間接疑問文」という……”
などと書かれていたりするが、何も文法用語の定義を覚えることが理解への近道とは限らない。
ここでは、間接疑問文はthat節の親戚だという、より身近な視点でお話ししていこう。
この記事の目次
that節は「動作を表す名詞」の一種
間接疑問文の正体に迫る前に、まずはthat節がどんなものなのかを確認しておこう。
実はthat節は、名詞的用法の不定詞や動名詞と並ぶ、「動作を表す名詞」の一種だ。
次の例文を見てほしい。
あなたがここにいてくれることが私を幸せにしてくれる。
I’m sure that he will succeed.
私は彼が成功することを確信している。
※太字の部分がthat節
このように、that節は「~すること」「~するということ」という意味を持っていて、一般の名詞と同じように、主語Sになったり目的語Oになったりする。
動作を表す名詞というと、名詞的用法の不定詞や動名詞が有名かもしれないが、that節も同じ名詞の仲間として迎え入れよう。
名詞的用法の不定詞や動名詞との違い
なお、that節と、名詞的用法の不定詞や動名詞との違いをあえて述べるなら、節なのか句なのかという点だ。
英語を勉強する上では、SV構造のあるカタマリを「節」、SV構造のないカタマリを「句」と呼ぶことを覚えておこう。
I’m sure that he will succeed.
私は彼が成功することを確信している。
… SV構造があるので「名詞節」
■名詞的用法の不定詞
I forgot to send him the email.
私は彼にメールを送ることを忘れた。
(彼にメールを送り忘れた。)
… SV構造がないので「名詞句」
■動名詞
My hobby is playing the guitar.
私の趣味はギターを弾くことだ。
… SV構造がないので「名詞句」
なお、「節」と「句」について、詳しくは以下の記事を参考にしてほしい。
間接疑問文も「動作を表す名詞」の一種
that節が「動作を表す名詞節」だということがわかったところで、いよいよ本題の間接疑問文を見ていこう。
私は、彼女がいつやって来るのか(ということ)がわからない。
この文の “when she will come” という部分が間接疑問文に当たる。決して文全体が間接疑問文というわけではないので注意してほしい。
さて、この間接疑問文 “when she will come” だが、先ほどのthat節と同じように「動作を表す名詞節」になっているのがわかるだろうか?
「彼女がやって来る」という動詞の意味を持ちながらも、 “I don’t know his name.” の his name と同じように、名詞の役割を担っている。
I don’t know when she will come.
また、間接疑問文とは言うものの、 “will → she → come” といった疑問文の語順にはならず、「疑問詞+S+V」という語順になっている。ここも、that節とどこか似ているような感じがする。
「名詞節である」
「S → V という語順になる」
この2つから、間接疑問文はthat節とかなり近い働きをしているように思える。
疑問文の意味を持った名詞節、それが間接疑問文の正体だ。
注意!疑問詞がない間接疑問文
また、ここも見落としがちなポイントだが、中には疑問詞のない間接疑問文というものも存在する。
これは、「?」で終わる普通の疑問文に「疑問詞のあるもの」と「疑問詞のないもの」の2種類があるのと同じことだ。
When will she come here?
(いつ、彼女はここへ来ますか?)
■疑問詞のない、普通の疑問文
Will she come here?
(彼女はここへ来ますか?)
では、疑問詞のない間接疑問文というのは、いったいどんなものなのか?
それがこちらだ。
彼女がやって来るかどうかわからない。
このように、疑問詞ではなく接続詞の whether または if(~するかどうか)を用いたものも、疑問文の意味を持った名詞節なので、間接疑問文の一種だ。
厳密に言うと、whether よりも if の方が使い勝手が悪かったりもするが、そういった細かなことは今回のところは置いておこう。
それよりも、まずは疑問詞がない間接疑問文もあるということと、 “whether (if) she will come” はやはり名詞節になっているということを押さえておきたい。
なお、whether は「w」で始まってはいるが、疑問詞ではなく、純粋な接続詞だ。
間接疑問文の文構造を考える
これまでにお話しした
「間接疑問文は名詞節である」
「疑問詞のない間接疑問文もある」
という2つのポイントに加えて、最後にもう1つ押さえておきたいポイントがある。
それは、間接疑問文そのものの文構造を考えるという視点だ。
間接疑問文では、疑問詞や、疑問詞に修飾されている語が先頭に回ってくるので、本来の語順とは異なる語順になってしまっていることが多い。
そのために、文の形を見抜けず、
と戸惑ってしまった経験があなたにもあるだろう。
英文の意味を正しく理解するためには、文構造を把握する必要がある。
そこで最後に、間接疑問文そのものの文構造を考える練習を、2つの例文でやっておこう。
1. what Tom is like
1つ目はこちら。
(文構造、和訳は?)
間接疑問文 “what Tom is like” の文構造はどうなっているだろう?
like が前置詞(~のような)だということに着目すれば、もともとは
トムが何のようであるのか
という語順だったということがわかる。この文(Tom is like what)の疑問詞 what が先頭に回ってきたのが、間接疑問文 “what Tom is like” だ。
こうして文構造を考えることで、ひとまずは「私はトムが何のようであるかを知らない」という直訳に辿り着ける。
あとはこの直訳を柔らかい日本語に整えよう。
「トムがどのような人物なのかを知らない」という、日本語らしい訳が見えてくるはずだ。
2. how important it is to change …
2つ目はこちら。
(文構造、和訳は?)
こういった文も、直感的に訳しにくい場合には、まずは間接疑問文そのものの文構造から考えるとよい。
上の文の間接疑問文では、形容詞 important が疑問詞 how に修飾されているために、先頭に回って来ている。
この “how important” という大きな形容詞を、あるところに移動させて、文構造がわかりやすい語順にしてみよう。
⇒ it is how important to change my way of thinking(△)
確かに “it is how important to change my way of thinking” は英文としては間違った語順だが、こうして it is の後ろに how important を置くことで、間接疑問文が形式主語構文になっていることが明確になった。
あとはこの書き換えた文を参考に、間接疑問文の部分を直訳してみよう。(直訳とは、文構造通りに和訳をすることだ。)
形式主語構文なので、it は to 以下を指している。
(it is how important to change my way of thinking(△))
自分の考え方を変えることが、どれほど重要かということ
これが、間接疑問文の部分の直訳だ。ここまでわかれば文全体を訳すことも難しくはないだろう。
私は、自分の考え方を変えることがどれほど重要かということに気付いた。
このように、いきなり文全体を訳そうとするのではなく、まずは間接疑問文の文構造だけを考えるという考え方を、ぜひ取り入れてみてほしい。
まとめ
いかがだっただろう。
2. 疑問詞ではなく、接続詞の whether (if) を用いた間接疑問文もある
3. 間接疑問文の文構造を考えることがとにかく重要
この3つが、間接疑問文のポイントだ。
一読するだけですべてを覚えられるわけでもないと思うので、このページをブックマークしたり印刷したりして、ぜひ復習にも役立ててほしい。
ここがわかると英語の勉強が加速する