
「名詞的用法の不定詞」も「動名詞」も、どちらも「~すること」という意味を持った動作を表す名詞だ。
両者は大差なく用いられることもあるが、場合によっては、どちらを用いるのかによって大きく意味が変わってくる表現もある。
ここでは、英語学習の初心者が知っておくべき、基本的な5つの表現について、「名詞的用法の不定詞」と「動名詞」のちょっとした違いに触れながら、わかりやすくお話ししていこう。
この記事の目次
名詞的用法の不定詞と動名詞のちょっとした違い
同じ「動作を表す名詞」でも、名詞的用法の不定詞と動名詞には、次のようなちょっとした違いがある。
名詞的用法の不定詞
…未来の(これから起こる)動作を表す
動名詞
…過去の(すでに起こった)動作を表す
これらは「絶対的なルール」ではないが、一つの目安として利用する価値は十分あるだろう。
どちらが目的語になるかで意味が変わる「4つの表現」
不定詞と動名詞、そのどちらを目的語に取るのかで大きく意味が変わる表現は、次の4つが代表的なものだ。
理解を交えて、しっかりと身に付けてほしい。
1. remember to do / remember doing
remember to doは「(これから先)~するのを覚えておく=忘れずに~する」、remember doingは「(あのとき)~したことを覚えている」という表現だ。
不定詞(to do)が持つ未来的ニュアンスと、動名詞(doing)が持つ過去的ニュアンスが、それぞれ反映された表現になっていることが確認できるだろう。
Remember to send email to him.
彼にメールを送るのを覚えておくように。(忘れずにメールをするように。)
I don’t remember sending this email.
私はこのメールを送ったのを覚えていない。
ちなみに「email」は可算名詞・不可算名詞のどちらとしても用いられる。比較的新しい言葉だから、用法がはっきりと定まっていないというところだ。
2. forget to do / forget doing
forget to doは「(これから先)~するのを忘れる=~し忘れる」、forget doingは「(あのとき)~したことを忘れる」という表現だ。
ここでも、不定詞(to do)と動名詞(doing)のニュアンスの違いが表れている。
I forgot to call my client yesterday.
昨日、クライアントに電話をし忘れた。
I’ll never forget visiting Australia.
私はオーストラリアへ行ったことを決して忘れない。
3. try to do / try doing
try to doは「~しようと試みる、~しようとする」、try doingは「試しに~する」だ。
I tried to create my Instagram account.
私はインスタグラムのアカウントを作ろうとした。
I tried creating my Instagram account.
私は、試しにインスタグラムのアカウントを作ってみた。
前者では、「インスタグラムのアカウントを作る時」が「そうしようと試みた時」よりも未来であることがわかる。
後者では、「インスタグラムのアカウントを作った時」が「そうしてみた時」と同時か、少し過去であることがわかる。
ここも、不定詞(to do)と動名詞(doing)のちょっとした違いに注目すれば、容易に覚えられるだろう。
※インスタグラムは、写真や動画などのヴィジュアルコンテンツをユーザー同士で共有するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だ。私は、アカウントすら持っていないが。
4. regret to do / regret doing
regret to doは「(これから先)~するのを残念に思う=残念ながら~する」、regret doingは「(あのとき)~したことを後悔する」だ。
I regret to inform you that we will not be able to accept your offer.
残念ながら、あなたの提案を受け入れられないことを申し上げなければなりません。
I regret telling her such a thing.
私は彼女にそんなことを言ったのを後悔している。
特に、前者は多少訳しにくいとも思うので、注意して覚えておいてほしい。
stop to do と stop doing の違いは「stop」のはたらきによる
さて、今回のような「不定詞と動名詞の違い」の話になると、決まって登場するのが「stop to do(~するために立ち止まる)」と「stop doing(~するのを止める)」だ。
She stopped to smoke.
彼女はタバコを吸うために立ち止まった。
She stopped smoking.
彼女はタバコを吸うのを止めた。
確かにこれらは異なる意味の表現だが、先程までのように「名詞的用法の不定詞と動名詞のニュアンスの違い」が意味の違いを生み出しているわけではない。
そもそも、「立ち止まる」という意味のstopは自動詞なのだから、ここでのto smokeは副詞的用法の不定詞だ。だからこそ、stop to doは「~するために ⇒ 立ち止まる」という「目的」の意味合いを持つ。(「~するために(目的)」は、副詞的用法の不定詞の代表的な意味。)
一方で、stop doingのstopは「を止める」という意味の他動詞。
最初に挙げた4つと違い、stop to doとstop doingの違いは、「自動詞のstop」と「他動詞のstop」の違いによって生じていることを理解しておこう。
表面的な意味の違いだけを覚えるのではなく、こういったところまで踏み込んで考えることで、キミの文法力は間違いなく磨かれる。
英文法の無料講義(全31回・500分)
まとめ
いかがだっただろう。今日お話ししたように、「名詞的用法の不定詞と動名詞のちょっとした違い」を意識するだけで、格段に覚えやすくなると思う。
やはり暗記には理解が欠かせない。
英文法(語順のルール)を効率的に
身に付けたい人はこちら >>
英文法の無料講義(全31回・500分)