動名詞と不定詞の使い分け|ing と to のイメージの違いとは?

動名詞( doing )と名詞的用法の不定詞( to do )は、どちらも「〜すること」という意味の表現だ。
使い分けるときには、
動名詞:過去のこと、現在のこと
名詞的用法の不定詞:未来のこと
という違いを目安にしよう。
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動名詞と不定詞の違い
同じ「〜すること」という意味の表現でも、動名詞( doing )と不定詞( to do )には次のような違いがある。
動名詞:過去のこと、現在のこと
名詞的用法の不定詞:未来のこと
これはそれぞれ、ing や to という言葉の持つイメージに関連している。
ing のイメージは「目の前のこと」
ing は動名詞(〜すること)の他に、現在分詞(〜している)でも使われる言葉だ。
(猫が隣で寝ている。)
sleeping:現在分詞
現在分詞( doing )には「目の前で起こっている動作の躍動感」を表すイメージがあるが、同じ ing という綴り(音)なので、動名詞( doing )にも似たようなイメージが含まれる。
動名詞が「過去のこと」や「現在のこと」を表す傾向にあるのはそのためだ。
to のイメージは「未来に向かって」
to は不定詞( to do )の他に、前置詞(〜の方へ)として使うこともある言葉だ。
(一歩ずつ夢に近づいて行こう。)
to:前置詞
前置詞の to には「〜の方へ」「未来に向かって」というイメージがあるが、同じ to という綴り(音)なので、不定詞( to do )にも似たようなイメージが含まれる。
不定詞( to do )が「未来のこと」を表す傾向にあるのはそのためだ。
動名詞と不定詞の使い分け
動名詞( doing )を使うのか、名詞的用法の不定詞( to do )を使うのかに迷ったら、
動名詞:過去のこと、現在のこと
名詞的用法の不定詞:未来のこと
という違いを目安にしよう。万能ではないものの、判断基準としては有効だ。
(1) 動名詞だけを使う他動詞
次の他動詞は「動名詞だけを目的語Oにとる他動詞」の代表だ。
一概には当てはまらないものの、過去のこと(これまでやってきたこと)や現在のこと(目の前のこと)を表す文脈が多い。
いくつか例文を挙げておくので、文脈や音声と併せて、動名詞( doing )を続けるイメージを固めよう。
(コーヒーを飲むのをやめてみたら?)
※ stop to do(〜するために立ち止まる)は不定詞を目的語Oに取っているのではなく、自動詞 stop(立ち止まる)に副詞的用法の不定詞 to do(〜するために)が添えられた形。「をやめる」という意味の stop は動名詞だけを目的語Oに取る。
(日本での滞在、楽しんでください。)
(彼は絶対に間違いを認めないと思うよ。)
(この件についてのDMを送ってもらえませんか?)
(髪を切るのを一年以上も先延ばしにしています。)
(長野へ旅行に行こうと思ってるんだ。)
※似たような意味の plan が不定詞を目的語Oに取るのに対して、conside は動名詞を目的語Oに取る。進行形の be considering で使うのが通例。
that 節も目的語Oになるもの
ちなみに、ここで挙げた他動詞は、「動名詞か? 不定詞か?」で考えるなら「動名詞だけ」を目的語Oに取るが、中には that 節を目的語Oに取れるものもある。
※赤字の他動詞は that 節も目的語Oになる
余力があれば、併せて押さえておこう。
(2) 不定詞だけを使う他動詞
次の他動詞は「不定詞だけを目的語Oにとる他動詞」の代表だ。
ここも一概に当てはまるかどうかはともかく、未来のこと(未確定のこと)を表す文脈が多い。
いくつか例文を挙げておくので、文脈や音声と併せて、不定詞( to do )を続けるイメージを固めよう。
(あなたとディナーに行きたいです。)
(どうしてこういった根本的な改善を行おうと決めたのですか?)
(最初の会議は2月に行う予定です。)
(秘密にしておくって約束してくれる?)
(自分が望む生き方に反するように行動したくはありません。)
(その試合のチケットを取り損ねた。)
that 節も目的語Oになるもの
ちなみに、ここで挙げた他動詞は、「動名詞か? 不定詞か?」で考えるなら「不定詞だけ」を目的語Oに取るが、中には that 節を目的語Oに取れるものもある。
※赤字の他動詞は that 節も目的語Oになる
余力があれば、併せて押さえておこう。
(3) 動名詞と不定詞で意味が変わる他動詞
次の他動詞は「動名詞が目的語Oのとき」と「不定詞が目的語Oのとき」とで意味が変わる代表的なものだ。
ここも、動名詞が目的語Oのときは「過去のこと」、不定詞が目的語Oのときは「未来のこと」という基準が参考になる。
(〜したのを覚えている)
I remember saying that to my husband.
(私はそのことを夫に言ったのを覚えているわ。)
(忘れずに〜する)
I need to remember to say this to my husband.
(このこと、忘れずに夫に言わなくちゃ。)
(〜したのを忘れる)
I will never forget loving you.
(あなたを愛したことを決して忘れない。)
(〜し忘れる)
I'm sorry I forgot to reply to this.
(すみません、こちらに返信し忘れていました。)
(試しに〜する)
I tried sending her an email, but she hasn’t responded.
(試しに彼女にメールをしてみたけど、返事はない。)
(〜しようとする)
I tried to send her an email but sent it to him by mistake.
(彼女にメールを送ろうとしたけど、間違えて彼に送っちゃった。)
(〜したのを後悔する)
I regret saying what I said to my wife yesterday.
(昨日妻に言ったことを後悔している。)
(残念ながら〜する)
I regret to say that I don’t know who this is.
(残念だけど、それが誰なのかわからないや。)
(4) 動名詞でも不定詞でもあまり変わらない他動詞
最後に、動名詞と不定詞のどちらを目的語Oに取っても、あまり意味が変わらない他動詞に触れておこう。
It suddenly began to rain.
(突然雨が降り始めた。)
Honestly, I prefer being alone.
(正直に言うと、一人でいるのが好きなの。)
They ceased cooperating.
(彼らは協力するのをやめた。)
※同じ意味の stop や give up が動名詞だけを目的語Oに取るのに対して、cease は不定詞も目的語Oに取れる。やや文語的な表現。
さいごに|全体像を押さえてから細部に入ろう
ここでは動名詞( doing )と名詞的用法の不定詞( to do )の使い分けについて学んだ。すべてを丸暗記していくこともできるかもしれないが、
動名詞:過去のこと、現在のこと
名詞的用法の不定詞:未来のこと
という全体像を押さえた上で細部に入ると、知識を整理しやすいと思う。