形容詞的用法の不定詞で前置詞が必要なたった1つの理由

“Do you have something to write with?” や “I’m looking for friends to talk to.” など、形容詞的用法の不定詞では、前置詞( with や to など)を表現しないと不適切になるケースがある。
学校の授業などでは、「そういう決まりだから覚えなさい」と押し付けられがちだが、実際には、どうして前置詞が必要なのかは論理的に説明がつくものだ。
ここでは、形容詞的用法の不定詞を関係詞節に置き換えることで、前置詞が必要な理由を探っていこう。
なお、形容詞的用法の不定詞の全体像については、以下のページがお役に立てるだろう。
CONTENTS
形容詞的用法の不定詞=関係詞節
「形容詞的用法の不定詞」や「関係詞節」という言葉の表面だけに捉われると、両者は違うものに思えるが、視点を変えるとある共通点が見えてくる。
その共通点とは、どちらも大きな形容詞だというものだ。
そう言ったのは君が初めてだよ。
※形容詞的用法の不定詞 so say that は、名詞 person を修飾する形容詞句
You are the first person who said that.
そう言ったのは君が初めてだよ。
※関係詞節 who said that は、名詞 person を修飾する形容詞節
このように、品詞という視点で見ると、形容詞的用法の不定詞も関係詞節も、どちらも形容詞のカタマリだ。
そこで、(名詞を修飾する)形容詞的用法の不定詞は、関係詞節に置き換えて考えるようにしよう。SVがない形(句)よりも、SVがある形(節)の方が、文構造(語順)を把握しやすいからだ。
もしも前置詞 with がなかったら?
「何か書くためのもの(道具)を持っていませんか?」と表現する場合、前置詞を使わずに “Do you have something to write?” と表現するのがどうして不適切なのか? 形容詞的用法の不定詞を関係詞節に置き換えて考えてみよう。
× Do you have something to write?
↓ 関係詞節で表現するとしたら……
× Do you have something which can write? ……(1)
× Do you have something which I can write? ……(2)
主格の関係代名詞を使った(1)は、「something『が』書く」という意味なので不適切だ。
また、目的格の関係代名詞を使った(2)も、「something『を』書く」という意味になり、こちらも不適切だ。
このように、適切な関係詞節に置き換えることができないというのが、 “Do you have something to write?” が不適切な表現である理由だ。
適切な関係詞節の形は?
それでは、「何か書くためのものを持っていませんか?」を関係詞節を使って表現する場合、どう表現すればいいのかを考えてみよう。
この文脈では、「もの『が』書く」わけでもなければ、「もの『を』書く」わけでもない。
「書くためのもの」というのは、「私が『それを使って』書くことができるもの」という意味だ。
つまり、あえて2つの文で表すとしたら、次のように表現できる。
そして、この2つの文を、関係代名詞を使って1つの文にすると、
と表現できる。
このように、something を修飾する関係詞節(形容詞節)としては、前置詞 with を使った “which I can write with” が正しい形だとわかる。
関係詞節で with が必要なら、不定詞でも with が必要
最初に述べたように、品詞という視点で見れば、形容詞的用法の不定詞と関係詞節は「同じもの」だ。
この前提に立てば、「関係詞節で with が必要だから、形容詞的用法の不定詞でも with が必要」だと理解することができる。
= Do you have something to write with?
「関係詞節で前置詞が必要なら、形容詞的用法の不定詞でも前置詞が必要」だという点を押さえておこう。
さいごに「丸暗記ではなく論理的に学びたいあなたへ」
ここで学んだように、日本語に比べると、英語の文法は論理的なものだ。
もちろん言語なので、意味の繋がりや文脈への観察も怠ることはできないが、もしもあなたが、英文法(語順のルール)を丸暗記ではなく論理的に身に付けたいとしたら、英語学習ボックスの無料講義(全31回)がお役に立てるだろう。