これが関係代名詞の使い方|who, which, that の違いや省略について

関係代名詞は「名詞をもっと説明したいな!」と思ったときに使える便利な言葉だ。
基本的なものには who, which, that の3つがあり、これらは関係詞節の中で「代名詞」として使われる。
ここでは、関係代名詞 who, which, that の基本的な使い方やそれぞれの違いについて学んでいこう。
この記事を読んで得られること
- 関係代名詞の使い方がわかる
- who, which, that の違いがわかる
- 関係代名詞への苦手意識がなくなる
CONTENTS
関係代名詞は「名詞を説明したいな!」というときに使う
メールでも会話でも、「誇りの持てる ⇒ 人生」や「チャックの開いた ⇒ 男性」のように、名詞を説明したい場面はよくやってくる。
そんなときによく使うのが関係代名詞(who, which, that)という表現だ。
まずは who, which, that の基本的な違いから確認しよう。
「人」を説明するときに使う who
関係代名詞の who は「人」を説明するときに使う。例えば、次のように。
(歌を歌いながらその道を歩いていた女性は、私の母だ。)
上の文では、 “who was walking on the street while singing” が woman(女性)の説明に当たる。
「物(人以外)」を説明するときに使う which
関係代名詞の which は「物」を説明するときに使う。
「物」と言っても「時計」や「財布」などの物質的な名詞とは限らない。「話」や「人生」などの抽象的な名詞もそこには含まれる。
つまり「人以外の名詞」を説明するときに使うのが、関係代名詞の which だ。
(一生使える時計がほしいわ。)
(それ、彼女が私に言ってた話よ。)
“which will last forever” は名詞の watch(時計)を、 “which she told me” は名詞の story(話)を説明している。
「人」でも「物」でも説明できる that
説明する名詞を選ばないのが関係代名詞の that だ。that は「人」でも「物」でも説明できる。
(隣に住んでいる男性は自営業だ。)
(自分が誇りを持てる人生を歩みなさい。)
"that lives next door" は名詞の man(男性)を、 "that you're proud of" は名詞の life(人生)を説明している。
補足1:名詞を修飾する部分を「関係詞節」という
なお、この先の学習のために、ここで2つの言葉を整理しておこう。
1つ目は「関係詞節」という言葉で、これは「名詞を説明しているSVのカタマリ」を指している。

※「節」というのは、SVの形がある単語2つのカタマリのこと。
補足2:関係詞節に修飾されている名詞を「先行詞」という
2つ目は「先行詞」という言葉で、これは「関係詞節に修飾されている名詞」のことだ。

日本語だと「一生使える ⇒ 時計」のように、被修飾語(時計)は修飾語(一生使える)の「後」にやってくる。
これに対して英語では、watch(時計)を「先」に言って、その後に修飾語 “which will last forever” を続ける。
「日本語と違って修飾語(関係詞節)に先行している言葉だよ!」という感覚で、先行詞という言葉を押さえておくと良いだろう。
関係代名詞には主格・所有格・目的格がある
次に押さえておきたいのは、普通の代名詞(he や it など)と同じように、関係代名詞にも主格・所有格・目的格があるということだ。
所有格 …「~の」を表す形(his や its)
目的格 … 名詞や代名詞を目的語Oとして使うときの形(him や it)
関係代名詞の主格・所有格・目的格は、次の表のような形となる。

これを踏まえて、具体的に英文をいくつか見ていこう。
主格の関係代名詞を使った例文
(歌を歌いながらその道を歩いていたのは、私の母だった。)
※ who は “was walking” の主語Sになっている。
(一生使える時計がほしい。)
※ which は “will last” の主語Sになっている。
(隣に住んでいる男性は自営業だ。)
※ that は lives の主語Sになっている。
こうした英文を見てみると、主格の関係代名詞は関係詞節の中で主語Sになっていることがわかる。
「なぜ主格の関係代名詞を使うのか?」については、このあと詳しく学んでいこう。
所有格の関係代名詞を使った例文
(ズボンのチャックが開いた男が、雄弁に話していたよ。)
※ “whose fly” で「その人のチャック」
(彼らは私が意味を知らない言葉を使っていた。)
※ “whose meanings” で「その言葉の意味」
このように、所有格の関係代名詞は関係詞節の中で「~の」という意味を持つ言葉としてはたらいている。
目的格の関係代名詞を使った例文
(彼女は私がもっとも尊敬する人物だ。)
※ whom は respect の目的語O
(それ、彼女が私に言ってた話よ。)
※ which は told の目的語O
(自分が誇りを持てる人生を歩みなさい。)
※ that は of の目的語O
こうした英文を見てみると、目的格の関係代名詞は関係詞節の中で目的語Oになっていることがわかる。
ここも詳しくはこのあと説明しよう。
なお、目的格の関係代名詞が「前置詞の目的語O」になる場合については、以下のページで別途詳しくお話ししている。
※ご参考:「前置詞+関係代名詞」について|前置詞はどこに置けばいいの?
whom は今はあんまり使われない!?
なお、目的格の関係代名詞 whom は現代ではあまり使われず、省略をしたり、代わりに who を使ったりするのが一般的だと言われている。
ただ、もちろんまったく使われないわけでもない。ここは諸説あるところでもあるので、Twitter などで検索してみるのが一番リアルだ。
「whom は使わない」「いや、でも使うこともある」というルールとして押さえるのではなく、実際にどんな風に使われているのかを覗いてみるのがいいだろう。
英語の表現を Twitter で検索するときのコツについては、以下の記事で説明している。
※ご参考:Twitter で上手に検索!留学せずに無料で英語力を磨く方法
who, which と that の違いは?
さて、関係代名詞 that は先行詞が「人」でも「物」でも使えるのだが、そうすると今度は、
「who と that の違いは何なの?」
「which と that の違いは何なの?」
という疑問が生まれる。
文法的にはあまり違いのない who と that、which と that だが、話し手・書き手の気持ち的には次のようなちょっとした違いがある。
「(たくさんの中の)どの人かというと・どれかというと」という感じで、他の複数のものの中から「この人!これ!」と指定するイメージ
that のイメージ
「その人はね・それはね」という感じで、軽く説明に入るイメージ
もちろん、ここでの who や which は「誰」「どれ」という風に訳す疑問詞ではないし、that も「それ」という意味の代名詞ではない。
ただ、文法的には異なれど、疑問詞や代名詞と同じ音(響き)の who, which, that なわけだから、そこには疑問詞や代名詞としてそれらの言葉を使うときのイメージが混ざっている。
ここに注目すると、関係代名詞の who と that、which と that の違いを掴みやすい。
関係詞節の形(語順)に慣れる方法
続いて、関係代名詞をさらに得意にしていくための話をしよう。
関係代名詞がなぜややこしいかと言うと、関係詞節の語順が普通の文の語順とは違っていたり、関係代名詞そのものが省略されていることがあるからだ。
関係詞節の語順に慣れるためには、関係代名詞を使った文は2つの文が組み合わさって出来ていると理解するのが一番だ。
試しに2つほど例を挙げよう。
主格の関係代名詞は「主語S」出身
この2つの文を関係代名詞を使って一つの文にしたい。つまり、「私は一生使える時計がほしい」という文を作ろうというわけだ。
このとき、先行詞の watch が、2つ目の文で主語Sになっていることに注目しよう。

2つ目の文で主語Sになっている It (= the watch) は、主格の関係代名詞 which に姿を変える。

主格の関係代名詞とは、2つ目の文の主語Sが姿を変えた関係代名詞なのだ。
目的格の関係代名詞は「目的語O」出身
続いて、この2つの文を関係代名詞を使って一つの文にしよう。つまり、「彼女は私がもっとも尊敬する人物だ」という文を作りたい。
このとき、先行詞の person が、2つ目の文で他動詞 respect の目的語Oになっていることに注目しよう。

2つ目の文で目的語Oになっている her (= person) は、目的格の関係代名詞 whom に姿を変えて、関係詞節の先頭へやってくる。

目的格の関係代名詞とは、2つ目の文の目的語Oが姿を変えた関係代名詞なのだ。
このように、特に目的格の関係代名詞が使われた場合、普段の語順とは変わってしまう(他動詞 respect の直後に目的語Oが来ない)ので、注意が必要だ。
【重要】関係代名詞の省略について
ここまで、関係代名詞の主格・所有格・目的格や、関係詞節の文構造についてお話ししてきた。
最後に、もう一つ重要な「関係代名詞の省略」についてお話ししよう。
主格の関係代名詞は(基本的には)省略できない
主格の関係代名詞は、原則として省略できない。
I want a watch which will last forever.
The man that lives next door runs his own business.
こういった who や which, that はしっかりと表現しよう。
なお、例外的に省略できる(省略されうる)主格の関係代名詞もあるにはあるが、ここでは置いておこう。英文法の基礎固めの段階では、気にする必要はない。
目的格の関係代名詞は省略されやすい
対して、目的格の関係代名詞はよく省略される。省略するということは、その分、カジュアルさが増すということだ。
= She is the person I respect most.
That’s the story which she told me.
= That’s the story she told me.
Live a life that you’re proud of.
= Live a life you’re proud of.
こうしたときに重要なのが「関係詞節の存在に気付けるかどうか」だ。
「関係代名詞が省略されてちゃあ、関係詞節の存在になんて気付けないよ…!」
と思ったかもしれないが、自動詞と他動詞の違いなど、動詞の性質に注目すればすぐに関係詞節の存在に気付けるようになる。
respect は他動詞
↓
目的語Oがない……
↓
「目的格の関係代名詞が respect の目的語Oで、それが省略されているのか!」
told(tell)は第4文型(SVOO)を作る動詞
↓
目的語Oが一つ(me)しかない……
↓
「目的格の関係代名詞が told のもう一つの目的語Oで、それが省略されているのか!」
このように、関係代名詞を学んでいく上では自動詞と他動詞の区別が必須だ。自動詞と他動詞の違いに自信がなければ、必ず以下のページを読んでおいてほしい。
※ご参考:自動詞と他動詞の決定的な違い|2つの区別がすべてを分ける
さいごに「関係代名詞=接続詞+代名詞」
ここでは、
・目的格の関係代名詞は目的語Oが姿を変えたもの
・関係代名詞は2つの文を繋いでいる
ということを中心に、関係代名詞の基本的な使い方を学んだ。
関係代名詞は代名詞の働きと2つの文を繋ぐ接続詞の働きを兼ね備えた言葉だということをしっかり押さえておこう。
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