付帯状況の with|with O C の3つの訳し方と分詞構文との共通点
「付帯状況の with 」と呼ばれる前置詞は、普通の前置詞( of や in など)とは違い、目的語Oだけでなく補語Cも必要とする欲張りな前置詞だ。
ここでは、分詞構文という視点も交えながら、重要表現 with O C の3つの意味と使い方を体系的に整理していこう。
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付帯状況の with は欲張りな前置詞
「付帯状況の with 」と呼ばれる前置詞が、一般の前置詞( of や in など)と違うのは、後ろに目的語Oだけでなく補語Cも従えるというところだ。
・後ろには「目的語O」だけ
・of them や in the house など
・後ろに「目的語O + 補語C」が続く
・with your mouth open(口を開けたまま)など
付帯状況の with は「〜しながら」「〜のまま」といったニュアンスを持つので、目的語Oだけだと意味が成り立たない(不完全になる)。
彼女は「髪が……しながら」走っていた。(?)
○ She was running with her hair waving.
彼女は髪をなびかせながら走っていた。
目的語Oだけでなく補語Cまで必要なのは、このためだ。
ちなみに、補語Cとは「目的語Oとイコール関係の部分(初心者向け)」あるいは「目的語Oの動作や状態を表す言葉(中級者向け)」で、第5文型(SVOC)でもお馴染みの文の要素だ。
第5文型(SVOC)や文の要素(S, V, O, C, M)についての知識は、付帯状況の with を理解するための土台なので、必要に応じて復習しておこう。
with O C の3つの意味
「付帯状況の with 」とは言うものの、with O C には次の3つの意味がある。
1. 付帯状況(OがCしながら)
2. 条件(OがCするならば)
3. 原因(OがCするので)
またあとで補足するが、こうした意味は分詞構文が持つ意味と共通している。with O C を「分詞構文の一種」と見なすこともできるのは、このためだ。
1. 付帯状況(OがCしながら/OがCのまま)
(口がいっぱいのまま話してはいけません。)
(手を震わせながら、彼はドアに鍵をかけた。)
(彼女は目を閉じたままその歌を歌った。)
2. 条件(OがCするならば/OがCならば)
(水が沸点に達すると、ケトルはピューピュー鳴る。)
(そのボタンを押すと、点灯します。)
(暗証番号が正しく入力されると、施錠が解除されます。)
3. 原因(OがCするので/OがCなので)
(道が凍っているので、運転は危険だろう。)
(財布が盗まれたので、彼女は食事代を払えなかった。)
(多くの目撃者がいるので、真実は明らかになるだろう。)
with O C は「独立分詞構文」に似ている!?
なお、付帯状況(〜しながら)・条件(〜するならば)・原因(〜するので)といった意味や文構造(語順)に共通点が多いことから、with O C は「独立分詞構文(※)に with が添えられたもの」だと見なすこともできる。
※独立分詞構文:意味上の主語が表現された分詞構文
All things considered, you should quit the company.
(あらゆる条件を考えると、あなたは会社を辞めた方がいい。)
With the button pushed, the light turns on.
(そのボタンを押すと点灯します。)
もちろん、分詞構文は「副詞句の一種」だし、副詞句に前置詞 with を添えるのは、厳密には英文法(語順のルール)に反している。
with O C が「独立分詞構文に with が添えられたもの」だという視点は、あくまでも with の後ろのOとCにだけ注目した見方だと押さえておこう。
独立分詞構文とは? 普通の分詞構文とのたった一つの違い
独立分詞構文とは、主語をハッキリと表現した分詞構文のことだ。ここでは、分詞構文の作り方を簡単に確認した上で、独立分詞構文の特徴を押さえていこう。
with O C の様々な形
ここまでは「意味」に注目して with O C を整理してきたが、「補語Cにどんなものが来るか?」に注目するのも大切だ。
第5文型(SVOC)と同じように、with O C の補語Cには、純粋な形容詞・現在分詞・過去分詞・前置詞句・副詞が表現される。
1. Cが形容詞
(音楽がうるさくて、電話が鳴るのが聞こえなかった。)
(料理長が病気のため、そのレストランは夜は休まないといけなかった。)
2. Cが現在分詞
(水が漏れていたので、私たちは配管工を呼んだ。)
(犬が吠えていたので、誰かが玄関にいるとわかった。)
3. Cが過去分詞
(お金が盗まれて、私たちは休暇に行けなかった。)
(その書類にサインされると、取引は成立します。)
4. Cが前置詞句
前置詞句が形容詞句になるとき、多くは修飾語M(名詞を修飾)になるが、in や under などは補語Cになる形容詞句を作ることがある。これは with O C でも同様だ。
(庭が満開で、私たちの家はとても美しく見える。)
(その博物館は改修中なので、観光客は数ヶ月待たなければならない。)
5. Cが副詞
副詞は基本的には補語Cにはならないが、out や down, off といった比較的シンプルな副詞は、例外的に補語Cになる。これは with O C でも同様だ。
(その橋が通れなかったので、私たちは別の道を探す必要があった。)
(インターネットが落ちて、彼らはオンラインのプロジェクトを終えられなかった。)
付帯状況の with の文法問題の解き方
付帯状況の with についての文法問題が苦手な人も多いと思うが、第5文型(SVOC)のときと同じように、OとCだけを文として抜き出して考えるようにしよう。
Q1. with her hair ( )
She was running with her hair ( ).
a. waving / b. waved
a. waving を選んだ場合
with her hair waving
↓ OとCを抜き出すと……
“Her hair was waving.”(髪がなびきながら)で成り立つので a. waving が適切。
b. waved を選んだ場合
with her hair waved
↓ OとCを抜き出すと……
“Her hair was waved.”(髪がなびかせられながら)だと不自然なので b. waved は不適切。
Q2. with the meeting ( )
With the meeting ( ), I have a free afternoon.
a. postponing / b. postponed
a. postponing を選んだ場合
With the meeting postponing
↓ OとCを抜き出すと……
“The meeting was postponing.” になるが、postpone(を延期する)は他動詞なので文構造が不適切。また、「ミーティングが〜を延期する」という意味も成り立たないので、a. postponing は不適切。
b. postponed を選んだ場合
With the meeting postponed
↓ OとCを抜き出すと……
“The meeting was postponed.”(ミーティングが延期された)は文法的にも意味的にも成り立つので、b. postponed が適切。
さいごに|with O C は第5文型的な感覚で
ここでは、with O C の3つの意味(付帯状況・条件・原因)と文構造について学んだ。
途中でも触れたように、with O C を「独立分詞構文に with が添えられたもの」だと扱うこともできるが、文法問題を解いたりする場合には「第5文型(SVOC)っぽい表現」だと押さえておく方が、思考の効率は良さそうだ。
いずれにしても、with O C や分詞構文の基礎になっているのは「文型」や「自動詞と他動詞の違い」なので、不安があれば当サイトの無料講義「暗記のいらない英文法」を活用してみるのもいいかもしれない。
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