
分詞構文は動詞の意味を持った副詞の一種で、「接続詞+SV」という形の副詞節をコンパクトにした省略表現の一種だ。
ここでは、どういう手順で副詞節を分詞構文に変形するのかについて一緒に学んでいこう。
また、本文の最後には、分詞構文のすべてについて語り尽くした「分詞構文パーフェクトガイド」へのリンクも添えているので、そちらもあなたのお役に立てると幸いだ。
この記事の目次
分詞構文の持つ意味は、いったん置いておこう
学校の授業や参考書などでは、分詞構文というと、その意味を覚えることが強調されがちだ。
確かに、
・時(~するとき)
・条件(~するならば)
・原因(~するので)
・譲歩(~するけれども)
・付帯状況(~しながら)
・結果(そして~する)
という分詞構文の6つの意味は、基本的な知識として必要ではある。
けれども、意味を暗記するだけでは、なかなか分詞構文が得意にはならない。
いくら「カルパッチョ」や「アクアパッツァ」という料理名を覚えても、料理の腕が上達するわけではないのと同じだ。
自信を持って「分詞構文は得意です!」と言えるようになるために、「どうやって副詞節を分詞構文に変形するのか」という仕組みそのものを理解するよう心掛けよう。
分詞構文の意味と訳し方が
気になる方はこちら >>
分詞構文の6つの意味と訳し方
迷ったら「~して」と訳してみよう
副詞節を分詞構文にする方法
分詞構文は、副詞節をコンパクトにした表現だ。
次の3つのステップに習って、副詞節を分詞構文に書き換えていこう。
1. 接続詞を消す
↓
「私を見ると、その女性は走り去った。」
男性陣にとっては何とも残念な例文だが、前向きに進んでいこう。きっと、「私」の後ろに彼女の大嫌いなネズミでもいたのだろう。
さて、すでに上に示したが、副詞節を分詞構文にするには、まずは接続詞を消してしまおう。
2. 主節の主語と一致するなら、主語を消す
↓
接続詞を消したら、次は、その後ろの主語(the lady)を消そう。
ここで注意したいのは、接続詞の後ろの主語は、主節の主語と一致するときだけ消せるという点だ。
今回は、the lady = she なので、the lady を消すことができる。
なお、ここではちょっとした気配りが必要だ。the lady を消したら、主節の she は the lady に書き換えておこう。そうでないと the lady(その女の人)という意味が伝わらない。
3. 残った動詞を “~ing” という形にする
↓
接続詞を消して、主節の主語と一致する主語を消したら、仕上げはこうだ。
残った動詞を、必ず “~ing” の形にしよう。
少し勉強をしてきた人なら、
と思うかもしれないが、実は、分詞構文を作るときには、必ず動詞を “~ing” という形にする。
とにかくここが重要なので、お気に入りの赤ペンでノートにメモしておいてほしい。
副詞節の中が「進行形」の場合は、こうなる
それではあと2つ、先ほどとは少し様子の違った英文で、副詞節を分詞構文にする練習をしておこう。
1つ目は、こちらの英文だ。
イナロクを走っているとき、私は事故を目撃した。
「イナロク」とは、関西圏における国道176号線の俗称。昔、ガラケーで「いなろく」と入力して変換すると「176」と出てきたときは驚いたものだ。
さて、これを分詞構文を用いて表現すると、どうなるだろう?
接続詞を消して、主語を消して、残った動詞を “~ing” にするのだから……
↓
このようになる。
ただ、ここで一つ知っておかなければならないことがある。分詞構文を作る過程で出てきた Being は非常に省略されやすいのだ。
be動詞そのものがとっても軽い動詞なので、省略・簡略化を目的とした表現である分詞構文では、Being が省略されるのは合点がいくだろう。
その結果、見かけ上、現在分詞 Driving で始まっているように見える分詞構文が出来上がる。
↓
(Being) driving on National Route 176, I saw an accident.
“~ing” で始まる分詞構文には2種類ある
ここで勘の良いあなたなら気が付いたかもしれないが、どうやら ”~ing” で始まる分詞構文には2種類のものがありそうだ。
動詞が姿を変えた “~ing” で始まる分詞構文と、Being が省略されてもともと “~ing” だった現在分詞で始まる分詞構文だ。
Seeing me, the lady ran away.
※Seeing は、他動詞 See が姿を変えたもの
■Being が省略された分詞構文
(Being) driving on National Route 176, I saw an accident.
※Driving は、もともと Driving という形だった
この2つの違いを理解しておくと、分詞構文がより身近なものになる。
副詞節の中が「受動態」の場合は、こうなる
最後にもう1つ練習しておきたいのが、次のような副詞節を分詞構文にする流れだ。
節約して使えば、このバッテリーは50時間ほどもつ。
ここでよくやってしまいがちな間違いは、「節約して使えば……」という能動的な日本語につられて、
という分詞構文を作ってしまうものだ。
日本語と英語では語順もルールも違うので、日本語で能動的な表現が、英語でも能動的になるとは限らない。
まずは基本に忠実に、英語のルールに則って考えよう。
副詞節を分詞構文にするときには、接続詞を消して、主語を消して、残った動詞を “~ing” という形にするので……
↓
(Being) used economically, this battery will last about 50 hours.
このようになる。
最後の Being は先ほどと同様に省略されて、見かけ上、過去分詞 used で始まっているように見える分詞構文が出来上がった。
補足:時制のズレがある場合は?
また、今回ここで扱ったのは、すべて「副詞節の動詞と主節の動詞が同じ時制」という場合だ。
分詞構文の勉強を進めていくと、
副詞節:過去形(worked)
主節:現在形(mus be so sleepy)
といったケースにも出会うと思うが、このような場合については以下の記事で詳しく解説をしているので、そちらを参考にしてほしい。
※参考記事:完了形の分詞構文 “having 過去分詞” が持つ2つの働き
さいごに「過去分詞で始まる分詞構文なんてない」
今回の主な目標は、
1. 接続詞を消す
2. 主節の主語と一致する主語を消す
3. 残った動詞を “~ing” にする
をしっかりと身に付けることだった。
ただ、できることなら、最後にお話しした
「過去分詞で始まる分詞構文は、直前に Being が省略されている」
という点も押さえておいてほしい。
分詞構文をなるべく効率的に
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