不定詞の副詞的用法の3つの使い方|目的・程度・文修飾など【例文満載】
副詞的用法の不定詞とは、単語一語の副詞( fast や so など)と同じように、動詞や形容詞・副詞を修飾する不定詞( to do )のことだ。
いくつかの意味があるが、「〜するために」や「〜するほど」といった意味がもっともよく使われる。
ここでは、例文を交えながら、副詞的用法の不定詞の意味や使い方を整理していこう。
CONTENTS
副詞が修飾するものは何か?
副詞的用法の不定詞は「副詞の一種」なので、大前提として、英文における副詞の使い方を確認しておこう。
1. 動詞を修飾する
I always reply as soon as I can.
(私はいつもできるだけ早く返信をするようにしている。)
※副詞 always が動詞 reply を修飾している。(いつも ⇒ 返信する)
2. 形容詞・副詞を修飾する
This song is so beautiful.
(この歌はとても美しい。)
※副詞 so が形容詞 beautiful を修飾している。(とても ⇒ 美しい)
He explained his answer so elaborately.
(彼は自分の回答をとても入念に説明した。)
※副詞 so が副詞 elaborately を修飾している。(とても ⇒ 入念に)
3. 文全体を修飾する
Certainly, your idea will be better.
(確かに、あなたの考えの方がいいだろう。)
※副詞 certainly(確かに)が文全体を修飾している。
なお、「形容詞を修飾する副詞」と「副詞を修飾する副詞」をひとまとめにしているのは、それらの「程度を表す」という共通点があるからだ。
こうした副詞の働きに沿って、副詞的用法の不定詞を整理していくと、腑に落ちやすいのでオススメだ。
副詞的用法の不定詞の3つの使い方
普通の副詞と同じように、副詞的用法の不定詞には、大きく分けると次の3つの使い方がある。
1. 動詞を修飾する
2. 形容詞・副詞を修飾する
3. 文全体を修飾する
それぞれ詳しく見ていこう。
1. 動詞を修飾する
動詞を修飾する副詞的用法の不定詞には次の5つの意味があるが、多くは目的(~するために)の意味で使われるという前提を押さえた上で、それぞれの意味を覚えていこう。
目的(〜するために)
(健康でいるために、サイクリングを始めたんだ。)
(試験で良い結果を残せるよう、彼女は一生懸命勉強している。)
(彼は毎朝走ってるんだ、今度のマラソンで上手くいくようにね。)
なお、このあとの他の副詞的用法の不定詞と区別するために、目的(〜するために)を表す場合には、目印として in order が添えられることも多い。
感情の原因(〜して)
(みなさんにお会いできて光栄です。)
(仕事でミスをして焦った。)
(私たちは古い方針を廃止できてホッとしました。)
判断の根拠(〜するとは)
(本当に優しいよね、知らない人に席を譲ってあげるなんて。)
(みんなの前でそんなことを言うとは、彼は本当に動揺していたに違いない。)
(彼女はすごく自信があるんだね、メモなしで話すなんて。)
結果(そして〜する)
(彼女は大きくなって医者になった。)
(箱を開けたんだけど、結局何も見当たらなかった。)
(彼は毎日ピアノを練習していたけれど、結局は披露することがなかった。)
このように、結果(そして〜する)を表す副詞的用法の不定詞には、しばしば only や never が添えられる。
また、結果(そして〜する)を表す副詞的用法の不定詞は動詞にかかっていない(訳し下げしている)ので、「副詞だ」という認識を持ちにくいかもしれない。ここは、英文の中で不定詞 to do が置かれている場所が「副詞の場所」だから、副詞的用法なのだと押さえておこう。
条件(〜するならば)
(彼女が話すのを聞くと、あなたはきっと彼女が日本人じゃないかと思うよ。)
(彼の動きを見れば、彼がプロだと信じられると思います。)
(彼の料理を味わうと、五つ星レストランで修行したんじゃないかと思うだろうね。)
なお、副詞的用法の不定詞を条件(〜するならば)の意味で使える文脈は限られていて、例えば、上記のような「〜すると(すぐに)……だと思うだろう」といった場合だ。条件や仮定を表すなら、一般的には接続詞 if を使っておく方が無難だ。
2. 形容詞・副詞を修飾する
形容詞や副詞を修飾する副詞的用法の不定詞は、それらの意味を補ったり、程度を表したりする。
意味を補う(〜するのが)
(黙っておくのが難しい秘密もある。)
(彼の文字は読むのが不可能だ。)
(そのドレスは洗うのが難しい。)
程度を表す(〜するほど)
(その布は赤ちゃんを優しく包んであげられるくらい柔らかい。)
(その水は泳げるくらい温かい。)
(その歌は忘れられないほど魅力的だ。)
なお、engoug to や too ... to 構文で使われる不定詞は、こうした「形容詞・副詞を修飾する副詞的用法の不定詞」を使った表現だ。
3. 文全体を修飾する
“to be honest” や “to be short” など、慣用的な副詞的用法の不定詞は、文全体を修飾する副詞として使われる。
(正直に言うと、お寿司は好きじゃなかったんだよね。)
(要するに、彼とのデートは楽しくなかったってことだよね?)
なお、以下は副詞的用法の不定詞を使った慣用表現の一覧なので、必要に応じて学んでおこう。
※音声はこちら
慣用表現 | 日本語 |
---|---|
to be honest | 正直に言うと |
to tell the truth | 実を言うと |
to be frank | 率直に言うと |
to be brief/short | 手短に言うと |
to make/cut a long story short | 手短に言うと |
to put it simply | 簡単に言うと |
to sum it up | 要するに |
to say the least | 控えめに言っても |
not to mention | 言うまでもなく |
to say nothing of | 〜は言うまでもなく |
not to speak of | 〜は言うまでもなく |
to make matters worse | さらに悪いことに |
to put it clearly | はっきり言うと |
so to speak | いわゆる |
to return to the subject | 本題に戻ると |
to change the subject | 話は変わるが |
to conclude | 結論を言うと |
to give you a heads up | 予め知らせておくと |
to be fair | 公平に言うと |
to begin/start with | まず始めに |
to be sure, but ... | 確かに ... だが |
to do someone justice | 〜を正当に評価すると |
補足:形容詞的用法の不定詞との違い
なお、不定詞の副詞的用法(〜するために)と形容詞的用法(〜するための)を区別しにくければ、「意味の違い」に加えて「品詞の違い」も押さえておこう。
例:生きるために → 食べる( eat to live )
↓ 動詞を修飾するのは副詞なので……
「〜するために」は副詞的用法
例:生きるための → 場所( place to live )
↓ 名名詞を修飾するのは形容詞なので……
「〜するための」は形容詞的用法
さいごに|英文法は「品詞と文型」に沿って学ぼう
ここでは、副詞の働きに沿って、副詞的用法の不定詞の意味と使い方を学んだ。
不定詞に限らず、どんな単元や表現でも「品詞と文型」に沿って学んでいこう。そうすれば、丸暗記に依存する機会が減っていくはずだ。
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