複合関係代名詞とは?品詞で見分ける2つの意味と使い方
複合関係代名詞とは、シンプルに言えば「先行詞と関係代名詞がくっついた(複合した)言葉」のことだ。
ここでは、複合関係代名詞(whoever, whichever, whatever)の2つの意味と使い方について理解を深めていこう。
この記事を読んで得られること
- 「複合関係代名詞」という言葉に抵抗がなくなる
- whoever, whichever, whatever の2つの使い方がわかる
CONTENTS
代表的な3つの複合関係代名詞
一般的に複合関係代名詞として扱われるのは、whoever, whichever, whatever の3つだ。
※聞き取りに慣れるよう、音声はループ再生されるようにしてあります。
先着順です。
誰が私たちを引き裂こうとしようとも、君に対する私の愛が変わることはないから。
色違いで2つ買ったから、どっちが好きな方を1つあげるよ。
どっちを食べたってカロリー面ではほとんど変わらないでしょ。
彼が言うことは何でも批判されるだろう。
どんな状況だったとしても、それって正当化できないでしょ。
このページでは複合関係代名詞の全体像についてお話ししていくが、それぞれについて詳しく学びたい場合には、以下のページを参考にしてほしい。
※ご参考:複合関係代名詞 whoever の2つの意味と使い方
※ご参考:複合関係代名詞 whichever の2つの意味と使い方
※ご参考:複合関係代名詞 whatever の2つの意味と使い方
関係代名詞 what も一種の複合関係代名詞
なお、先行詞と関係代名詞がくっついた(複合した)言葉のことを複合関係代名詞と呼んでいるので、見方によっては、関係代名詞 what も複合関係代名詞の一種だと考えることもできる。関係代名詞 what は the thing which という働きや意味を持つ言葉だからだ。
His lack of knowledge is what made him successful.
= His lack of knowledge is the thing which made him successful.
彼の知識のなさこそ、彼を成功させたものだ。
このように、比較的身近な関係代名詞 what が複合関係代名詞の一種だということがわかれば、whoever, whichever, whatever に対しても親しみを持ちやすくなるかもしれない。
※関係代名詞 what について詳しく学ぶ場合はこちら >>
複合関係代名詞は「名詞節」または「副詞節」をつくる
複合関係代名詞(whoever, whichever, whatever)を理解する上でもっとも重要なのは、節の品詞に注目するということだ。なぜなら、名詞節をつくる場合と副詞節をつくる場合とでは、意味が違ってくるからだ。
名詞節の場合は「~する人(もの)は誰でも(何でも)」
複合関係代名詞(whoever, whichever, whatever)が名詞節をつくる場合には、「~する人は誰でも」「~するものは何でも」という順接的な意味になる。(名詞節なので、主語Sや目的語Oなどになる。)
Whoever comes first will be served first.
先着順です。(最初にやってきた人なら誰もが、最初にサービスを受けられる。)
I bought two in different colors. I'll give you whichever you like.
色違いで2つ買ったから、どっちが好きな方を1つあげるよ。
Whatever he says will be criticized.
彼が言うことは何でも批判されるだろう。
そして、この場合の複合関係代名詞は、それぞれ、次のように置き換えて表現することもできるので、ここも覚えておこう。
whoever = anyone who
whichever = anything that
whatever = anything that
= Anyone who comes first will be served first.
= Please choose anything that you find most interesting!
= Anything that he says will be criticized.
こうして、「any の付いた先行詞+関係代名詞」に置き換えてみると、単語は違えど、関係代名詞 what を考えるときとまったく同じ文構造になっていることがわかる。-ever という接尾語が付くと難しく見えるが、関係代名詞 what を理解できているとすれば、複合関係代名詞を理解できないはずはないのだ。
注1)any には「どんな・何でも・どれでも」といった意味があり、ここでの any はそれに当たる。
注2)先行詞に all や every, any などが添えられる場合には、関係代名詞は which ではなく that がかなり好まれるので、anything that と表現した。この点について興味があれば、以下のページが役に立つだろう。
※ご参考:関係代名詞 that のみを使う3つの場合とその理由 >>
注3)whichever と whatever の違いは、一言で言うと「選択範囲」の違いだ。限られた範囲の中から「どれでも」と言うのであれば whichever、範囲の制限なく「どれでも」と言うのであれば whatever が適切だ。ただ、文構造を理解する上では、簡単のためにどちらも anything that (anything which) としている。
副詞節の場合は「たとえ誰が(何が)~しようとも」
複合関係代名詞(whoever, whichever, whatever)が副詞節をつくる場合には、「たとえ誰が~しようとも」「たとえどれが(何が)~しようとも」という逆接的な意味になる。(副詞節なので、動詞を修飾する。)
Whoever tries to split us apart, my love for you will never change.
誰が私たちを引き裂こうとしようとも、君に対する私の愛が変わることはないから。
Whichever you eat there's not much difference in terms of calories.
どっちを食べたってカロリー面ではほとんど変わらないでしょ。
Whatever the situation might have been, it can't be justified.
どんな状況だったとしても、それって正当化できないでしょ。
注意点としては、この場合の複合関係代名詞は、さっきのように anyone who や anything that には置き換えられないということだ。
なぜなら、そこが名詞節になってしまう(節の品詞が変わって文全体が繋がらなくなる)からだ。anyone who ~ は「~する人」、anything that ~は「~するもの」という意味で、結局は大きな名詞に過ぎない。副詞節をつくっている whoever, whichever, whatever を anyone who や anything that に置き換えてしまうと、副詞の位置に名詞を置くことになるので、これだと言葉が繋がらなくなってしまうというわけだ。
no matter who (which, what) を使って表現されることもある
副詞節をつくる whoever, whichever, whatever は、それぞれ次のような言葉で表現されることもある。
whoever = no matter who
whichever = no matter which
whatever = no matter what
違いとしては、no matter ~ という表現の方が、否定語の no が表れている分、気持ちの強さが感じられる表現である、というところだ。
副詞節の場合は、実は、複合関係代名詞ではない!?
なお、ここは興味のある場合だけ押さえればいいと思うが、副詞節をつくる whoever, whichever, whatever は、実は複合関係代名詞ではない(と考えることができる)。
なぜなら、no matter who の who が関係代名詞ではなく疑問詞だからだ。もし仮に、この who が関係代名詞だとするなら、先行詞(who の前にくる名詞)は「人」を表す名詞でないといけない。けれども、matter(問題・重要性)という言葉は「物・事」を表す名詞だ。このことから、副詞節をつくる whoever(no matter who と表現されることもある whoever)は、厳密には複合関係代名詞ではない。whichever, whatever についても同様だ。
ただ、いずれにしても、英文法は「目的」ではなく「手段」なので、言葉の定義に固執し過ぎて、あなたの本来の目的(英文法を理解して読解・会話・ライティングのスキルや実績を伸ばす、など)を見失わないようにするのが重要だと思う。
さいごに「節の品詞に注目して、意味を判断する」
要点をまとめると、このようになる。
◆名詞節をつくる場合
「~する人(もの)は誰でも(何でも)」
◆副詞節をつくる場合
「たとえ誰が(何が)~しようとも」
このように、単語一語ではなく、節全体の品詞に注目するという視点は、他の場面でも十分活用できる視点なので、ぜひあなたにも着こなしてほしい。
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