英語の受け身(受動態)を徹底攻略|作り方やニュアンスは?

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受動態の作り方

受動態とは、「 be 動詞 + 過去分詞( be + done )」という形で表され、「〜される」という受け身の意味を持つ動詞Vのことだ。

これに対して、「〜する」という能動的な意味の動詞Vを能動態という。

ここでは、受動態と能動態を対比させながら、受動態への理解を深めていこう。

CONTENTS

受動態の作り方

「能動態の文」から「受動態の文」を作るときには、以下の3ステップを踏まえれば大丈夫だ。

受動態_thumbnail

1. 目的語Oを「主語S」にする
2. 他動詞Vを「 be 動詞 + 過去分詞」にする
3. 動作主を「 by 〜」で表す(自明・不明なら省略)

※「不規則活用の過去分詞」に
不安がある場合はこちら >>

この3ステップに沿って、「能動態の文」を「受動態の文」にすると、具体的には次のようになる。

練習1

My cat broke this mug.
(ネコがこのマグカップを壊したの。)

↓ 受動態にすると……

This mug was broken by my cat.
(このマグカップ、ネコに壊されたの。)

練習2

We welcome anyone.
(私たちはどんな人でも歓迎します。)

↓ 受動態にすると……

Anyone is welcome (by us).
(どんな人でも歓迎されます。)

※ welcome は不規則活用の動詞で、過去分詞も welcome という形
※動作主 by us は文脈から自明なので省略

練習3

Someone stole my wallet.
(誰かが私の財布を盗んだ。)

↓ 受動態にすると……

My wallet was stolen (by someone).
(財布が盗まれた。)

※動作主 by someone は不明なので省略

なお、受動態に慣れるまでは「能動態に戻して考える」というのも重要だ。能動態への戻し方については、詳しくは以下のページで解説しているので、必要に応じて押さえておこう。

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受動態の5つの時制

受動態には、能動態と同じように、現在形・過去形・未来形・進行形・完了形という5つの時制(形)がある。

「受動態の作り方」に慣れるよう、ここも能動態の文と比較しながら、それぞれの受動態を見てみることにしよう。

現在形

能動態:Many people use this room.

受動態:This room is used by so many people.

(この部屋は多くの人に使われます。)

過去形

能動態:He wrote the letter.

受動態:The letter was written by him.

(その手紙は彼に書かれました。)

未来形

能動態:The carrier will deliver the package tomorrow morning.

受動態:The package will be delivered by the carrier tomorrow morning.

(その荷物は配送業者によって明日の朝、配達されます。)

進行形

「進行形の受動態」は少し難しく感じられるかもしれないが、doing が being done になっているところを押さえておこう。(能動態の do が受動態の be done になるのと同じ感じ。)

能動態:My father is washing the car.

受動態:The car is being washed by my father.

(車は父に洗われているところです。)

完了形

「完了形の受動態」も少し難しく感じられるかもしれないが、do という動詞を現在完了形にすると have + done になるのと同じように、be done という受動態を現在完了形にするなら have + been done になると押さえておこう。

能動態:The event planner has decorated the room.

受動態:The room has been decorated by the event planner.

(その部屋はイベントプランナーによって装飾されました。)

※ご参考:現在完了形とは?
3つの用法を徹底解説 >>

受動態の否定文

受動態の否定文では、not は be 動詞の後ろに置こう。これは be 動詞を使った普通の(能動態の)文と同じだ。

I am not understood by most people.

(私はほとんどの人に理解されていない。)

受動態の疑問文

受動態の疑問文では、be 動詞を先頭に回して「 be + S + 過去分詞 」という語順にしよう。be 動詞を使った普通の(能動態の)疑問文と同じ形だ。

Was the problem resolved?

(その問題は解決されましたか?)

疑問詞を使うなら先頭に

なお、疑問詞( what, who, which, when, where, why, how )を使った疑問文であれば、疑問詞を先頭に置こう。

How was the problem resolved?

(どうやってその問題は解決されましたか?)

受動態を使う5つの場合

ここまで、受動態を使った英文を見てきたが、「言っている内容が同じなんだから、能動態を使えばよくない?」と考えることもできそうだ。

確かに、「ネコがコップを壊した(能動態)」も「コップがネコに壊された(受動態)」も、同じ事実を述べている。

そこでここでは、受動態を使うケースやニュアンスを整理していこう。いくつかあるが、共通して言えるのは、受動態では「動作主を軽視している」ということだ。

1. 動作主がわからないとき

動作主(誰がやったのか?)がわからないときには、受動態で表現する方が自然だ。

My wallet was stolen yesterday.

(昨日、財布を盗まれた。)

日本語でも、動作主がわからないときには、能動態で「誰かが財布を盗んだ」と言うよりも、受動態で「財布を盗まれた」と言う方が自然に感じられると思うが、それと同じ感覚だ。

2. 事実や対象にフォーカスがあるとき

受動態を使うと、動作主ではなく、事実や対象にフォーカスしている印象が強くなる。

The package was delivered by the driver.

(荷物が届けられた、ドライバーによって。)

→ 動作主(ドライバー)よりも、「荷物が届いた」という事実にフォーカスしている感じ。

I’m not allowed to go alone by my parents.

(一人で行くのを許されてないんだよね、親に。)

→ 動作主(親)よりも、「私」という対象や、「許されていない」という事実にフォーカスしている感じ。

3. 一般的な話のとき

世間一般の人々( we, you, people など)が意味上の主語になる一般的な話の場合、受動態で表しても違和感がない。

In many cultures, the owl is considered a symbol of wisdom.

(多くの文化では、フクロウは知恵の象徴として考えられている。)

こうした文脈では「動作主が軽視されている(重要ではない)」とも言えそうだ。

4. 科学的な話のとき

科学的な話においても、受動態が使われることが多い。

The new vaccine was developed by the company.

(新たなワクチンが開発されました、その会社によって。)

科学の世界においては、「誰がやったのか?」よりも「何がわかったのか?」の方が重要だとも言えるし、2と同様に、動作主よりも事実に注目しているとも言える。

5. 動作主に言及したくないとき

文脈によっては、動作主に言及したくない(できない)こともあるだろう。

A mistake was made.

(間違いがありました。)

→ 動作主(誰がやったか?)には触れない感じ。

この場合も、動作主を軽視しているので、受動態が使われる。

動作主を by 以外で表す場合

受動態では、動作主は「 by 〜」で表すのが基本だが、ときには by 以外を使うこともある。以下はその代表例だ。

感情を表す場合( at, about, with など)

satisfy(を満足させる)や disappoint(をがっかりさせる)など、「人の感情を表す他動詞」を受動態にした場合、その動作主(何がそうさせたのか?)を by ではなく with, at, about などで表すことが多い。

I’m satisfied with the result.

(私は結果に満足している。)

→ 動作主は the result(結果が私を満足させた)

I was disappointed at his actions.

(私は彼の行動にがっかりした。)

→ 動作主は his action(彼の行動が私をがっかりさせた)

be known to

また、“be known to(〜に知られている)” も、by を使わない受動態の代表だ。

This song is known to almost every child.

(この歌はほとんどの子供に知られている。)

→ 動作主は almost every child(子供がこの歌を知っている)

類似表現の “be familiar to(〜によく知られている)” と関連付けて押さえておくのもよさそうだ。

【注意】前置詞の後ろが「動作主ではない」こともある

なお、by 以外の前置詞を使うことがあるとは言え、前置詞の後ろが必ずしも動作主とは限らないので、文脈をよく考えるようにしよう。

She is known for her amazing singing voice.

(彼女はその美しい歌声で知られている。)

→ 動作主は世間一般の人々( we, people など)。歌声「が」知っているわけではない。

He is known as the best chef in town.

(彼は町で一番のシェフとして知られている。)

→ 動作主は世間一般の人々( we, people など)。シェフ「が」知っているわけではない。

応用編|さまざまな受動態

ここまで、主には第3文型(SVO)の受動態について見てきたが、読解力や表現力の土台である英文法(語順のルール)をマスターするために、他の文型の受動態についても学んでおこう。

「受動態の作り方」でも確認したように、「受動態の主語S」は「能動態の目的語O」と対応しているので、目的語Oがある能動態であれば、受動態で表現できることがある。

第4文型(SVOO)の受動態

第4文型(SVOO)では目的語Oが2つあるが、それぞれの目的語Oを主語Sにした受動態が考えられる。

He told me the truth.

主語S:He
動詞V:told
間接目的語O(人):me
直接目的語O(もの):the truth

● me(私)を主語Sにした受動態の文

I was told the truth by him.

(真実を教えてもらったんだ、彼に。)

● the truth(真実)を主語Sにした受動態の文

The truth was told to me by him.

(真実が私に伝えられた、彼から。)

→ 直接目的語O(もの)が主語Sになる場合には、to me になりやすい。

※ご参考:第4文型(SVOO)とは?

第5文型(SVOC)の受動態

第5文型(SVOC)も目的語Oを使った文型なので、受動態にすることができる。

My forgetful father left the window open.

主語S:My forgetful father
動詞V:left
目的語O:the window
補語C:open(形容詞)

● the window を主語Sにした受動態

The window was left open by my forgetful father.

(窓は開けっ放しにされていた、忘れっぽい父に。)

※ご参考:第5文型(SVOC)とは?

句動詞(大きな動詞)の受動態

句動詞には、“take care of(を世話する)” や “look into(を調査する)” など、「大きな他動詞」だと見なせるものがあり、これらを受動態にすることもできる。

Volunteers take care of these animals.

↓ “take care of” を大きな他動詞だと見て、受動態にすると……

These animals are taken care of by volunteers.

(これらの動物はボランティアの人たちに世話をされている。)

The police looked into the case of the missing child.

↓ “look into” と大きな他動詞だと見て、受動態にすると……

The case of the missing child was looked into by the police.

(行方不明の子供の件は、警察によって調査された。)

こうした受動態の文では、見かけ上、前置詞の後ろに名詞が来ないので奇妙に思えるかもしれないが、前置詞がなければ、句動詞としての意味も出てこない。能動態と受動態をしっかりと照らし合わせて、前置詞が必要なことを確認しよう。

使役動詞の受動態

使役動詞( make, have, let )は、原形不定詞( to がない不定詞)を従えて「人に〜させる」という意味を持つ他動詞だが、このうち make を使った文は受動態で表現することができる。受動態の文では to が復活するというところに注意しよう。

My father made me clean the room.

↓ 受動態にすると、to が復活して……

I was made to clean the room by my father.

(私は父に部屋を掃除させられた。)

※ご参考:使役動詞とは?

知覚動詞の受動態

知覚動詞( see や hear など)も、不定詞が続く場合には原形不定詞( to がない不定詞)を使うが、受動態にしたときには to が復活する。

You can see owls enter the forest in search of their prey.

↓ 受動態にすると、to が復活して……

Owls can be seen to enter the forest in search of their prey (by you).

※ by you は世間一般の人々なので省略

(フクロウが獲物を探して森に入るのが見られる。)

※ご参考:原形不定詞とは?

準動詞(不定詞・動名詞・分詞・分詞構文)の受動態

受動態は準動詞(不定詞や動名詞など)の中でもよく使われる。

ここはそれぞれの準動詞を学んだ後でもいいかもしれないが、「準動詞にも動詞の意味があるのだから、そこが受動態になることもある」ということは押さえておこう。

受動態の不定詞( to be done )

The document needs to be signed before it can be officially submitted.

(その書類はサインされる必要があります、正式に提出される前に。)

The package was supposed to be delivered yesterday.

(その荷物は昨日届くことになっていました。)

受動態の動名詞( being done )

He denied being given money.

(彼はお金を受け取ったことを否定した。)

I remember being told that I can be anything I want to be.

(私はこう言われたのを覚えています。なりたいものになれる、と。)

※ご参考:準動詞とは?

さいごに|受動態は能動態に戻して考えよう

ここでは「受動態の作り方」や「さまざまな受動態の形」について学んだ。

英文法(語順のルール)に慣れるまでは、受動態のままだと理解しにくいことが多いと思うので、元の能動態に戻して考えるのがオススメだ。そうすれば、文型や意味がわかりやすくなるはずだ。

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