
現在分詞とは、動詞の ing 形のうち「形容詞の働きをするもの」のことで、普通の形容詞( good や tall )と同じように、名詞を修飾したり、補語Cになったりする。
ここでは、現在分詞というわかりにくい言葉について、形容詞という比較的身近な観点から整理していこう。
・現在分詞の2つの意味と使い方がわかる
・現在分詞が苦手だった原因がわかる
・他の ing 形(動名詞・分詞構文)との違いが明確になる
この記事の目次
基本の確認:形容詞の2つの働き
現在分詞が形容詞の一種だとすれば、まずは形容詞の働きをよく理解しておく必要があるので、簡単に確認しておこう。
1. 名詞を修飾する
長い髪の方がに合うと思うよ。
※「長い ⇒ 髪」というように、形容詞 long が名詞 hair を修飾している。
2. 補語Cになる
私の部屋は散らかっている。
※ my room = messy という関係が成り立っていて、形容詞 messy が第2文型(SVC)の補語Cになっていることがわかる。
私はいつも部屋を綺麗にしている。
※ my room = clean という関係が成り立っていて、形容詞 clean が第5文型(SVOC)の補語Cになっていることがわかる。
英文法(語順のルール)を丸暗記ではなく理解しながら記憶に残すためには、こうした「品詞の働き」についての理解が欠かせない。
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現在分詞は形容詞の一種
それでは、現在分詞(動詞の ing 形のうち「形容詞の働きをするもの」)を使った表現をいくつか見てみよう。
現在分詞が名詞を修飾する
家に帰る途中にスカンクが走ってくる車に引かれるのを見ちゃったよ。
※「走っている ⇒ 車」というように、現在分詞 rushing が名詞 car を修飾している。
(現在分詞 rushing が名詞 car を修飾)
現在分詞が補語Cになる
そのアイデアは素晴らしいね!
※ your idea = amazing という関係が成り立っていて、現在分詞 amazing が第2文型(SVC)の補語Cになっていることがわかる。
水を出しっぱなしにしちゃダメだよ!
※ the water = running という関係が成り立っていて、現在分詞 running が第5文型(SVOC)の補語Cになっていることがわかる。
(現在分詞 running が第5文型の補語C)
こうして見てみると、現在分詞(~ing)も普通の形容詞(long や messy など)と同じように、名詞を修飾したり、補語Cになっていることがわかる。
現在分詞という言葉に目を奪われると見えなくなりがちだが、現在分詞とは「動詞の意味を持つ形容詞」なのだ。
現在分詞の2つの意味
それでは、現在分詞について、もう少し詳しく見ていこう。現在分詞には、次の2つの意味がある。
1. 進行(~している)
自動詞の現在分詞や一般的な他動詞の現在分詞は、進行(~している)の意味になる。
家に帰る途中にスカンクが走ってくる車に引かれるのを見ちゃったよ。
(rush は自動詞)
彼ならあそこで泳いでいるよ。
(swim は自動詞)
水が流れているままにしちゃダメだよ!
(run は自動詞)
その公園にギターを弾いている二人組がいたよ。
(ここでの play は他動詞/ the guitar が目的語O)
メッセージを入力しているときに携帯を見られるのは嫌なんだよね。
(ここでの type は他動詞/ a message が目的語O)
犬を助けるために誰かが車の窓を壊しているのを見た。
(ここでの break は他動詞/ a stranger’s car が目的語O)
現在分詞と現在進行形は違う!
なお、言葉の定義なので、英文法を手段として学ぶのであればこだわり過ぎる必要はないが、一応、現在分詞と現在進行形は違うということに触れておこう。
形容詞の働きをする「動詞の ing 形」の部分
現在進行形:
「be 動詞+進行(~している)の意味を持つ ing 形」のことで、述語動詞Vを指す言葉
具体的には次のようになる。
現在分詞:swimming
現在進行形:is swimming
a rushing car
現在分詞:rushing
現在進行形:なし
I’m typing a message.
現在分詞:typing
現在進行形:am typing
過去進行形が “was swimming” や “was typing” という形であるここと対比すると、現在進行形が “is swimming” や “am typing” のことだと理解しやすいかもしれない。
2. 能動(人を~させるような)
注意が必要なのは、surprise(~を驚かせる)や excite(~を興奮させる)など、人の感情を引き起こす他動詞の現在分詞は、進行(~している)の意味にはならないということだ。
人の感情を表す他動詞の現在分詞は、その他動詞が元々持っている意味合いが強く残り、能動(人を~させるような)の意味になる。
今夜は素晴らしい(人を興奮させる)試合を期待しているよ。
※試合が「興奮している」わけではない。
そのアイデアは素晴らしい(人をビックリさせる)ね!
※アイデアが「ビックリしている」わけではない。
仕事ばかりで遊びがないと、人生が退屈になる(人生があなたを退屈させるようになる)。
※人生が「退屈している」わけではない。
~ing という形は、どうしても「~している」という意味だというイメージが強いので、気を付けよう。
人の感情を表す他動詞の一覧
人の感情を表す他動詞のうち、基本的なものはザッと以下のようなものだ。
excite(を興奮させる)
tire(を疲れさせる)
interest(に興味を持たせる)
bore(を退屈させる)
satisfy(を満足させる)
upset(を動揺させる)
relieve(を安心させる)
please(を喜ばせる)
delight(を大喜びさせる)
disappoint(をがっかりさせる)
frighten(をぎょっとさせる)
confuse(を混乱させる)
attract(を魅了する)
irritate(をイライラさせる)
annoy(をうんざりさせる)
amaze(を驚嘆させる)
astonish(をビックリさせる)
繰り返しになるが、これらの動詞は現在分詞(~ing)になっても進行(~している)の意味にはならない。人の感情を表す他動詞の現在分詞は「能動(人を~させるような)」の意味になる。ここが大きなポイントだ。
他の ing 形との違い
ここまで、
・人の感情を表す他動詞の現在分詞は「~している」ではなく「人を~させるような」
という2つの要点について見てきた。
あとは、現在分詞と他の ing 形との違いについてお話ししておこう。
現在分詞と動名詞の違い
現在分詞が「動詞の意味を持つ形容詞」であるのに対して、動名詞は「動詞の意味を持つ名詞」だ。名詞なので、主語S・補語C・目的語Oになる。
サッカーをすることは私の新しい趣味です。
(動名詞 Playing soccer が主語S)
人生で最も重要なことは、自分の価値観に沿って生きることだ。
(動名詞 living according to your values が補語C)
運転しながら歌うのが好きなんだ。
(動名詞 singing when I’m driving が他動詞の目的語O)
現在分詞と分詞構文の違い
現在分詞が「動詞の意味を持つ形容詞」であるのに対して、分詞構文は「動詞の意味を持つ副詞」だ。副詞なので、主には動詞を修飾する。
彼の経験を考えると、彼があなたのチームの新メンバーにもっとも適任だと思うよ。
(分詞構文 Considering his experience が、述語動詞 is most qualified を修飾)
さいごに「現在分詞は形容詞」
現在分詞というのは、結局は形容詞の一種なので、名詞を修飾するために使われたり、第2文型(SVC)や第5文型(SVOC)で使われたりする。
こうした文型への理解が曖昧なために、現在分詞が苦手だと思い込んでしまっているケースは多い。
「現在分詞についての知識がなかった」のか「第2文型(SVC)や第5文型(SVOC)を疎かにしていた」のかを見極めることが、現在分詞を使いこなせるようになるための突破口かもしれない。
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