excitingは「興奮している」じゃない!?現在分詞・過去分詞の4つの意味
受験生やTOEICの勉強に励む人にとって、今日の話はとても重要だ。
分詞には、大きく分けると現在分詞と過去分詞の2種類があるが、おそらくはこの「分詞」という言葉自体にしっくり来ていない人が多いことだろう。
そこで今日は、そもそも「分詞」とはいったい何者なのかを明確にし、その上で現在分詞・過去分詞についての基本的な知識を確認することにしよう。
また、特に現在分詞については、以下の動画講義でもお話ししているので、併せて参考にしてほしい。
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分詞は、形容詞の一種!
形容詞というのは、名詞を説明するときに用いる詞(コトバ)だ。例えば、目の前に一人の男性が立っているとしよう。この男性がどんな人物なのか、好みの形容詞を使って説明してみてほしい。もちろん、心理テストをしようってわけじゃないのでご安心を。
「優しい ⇒ 男性」
「裕福な ⇒ 男性」
「かっこいい ⇒ 男性」
まだまだたくさんあるだろうが、ここで用いた言葉はすべて純粋な形容詞だ。「純粋な」というのは、辞書で調べたときに形容詞として載っているということ。優しい(tender)も、裕福な(rich)も、かっこいい(handsome)も、すべて純粋な形容詞だ。
けれども、こういった「純粋な形容詞」だけでは、どうしても表現に限界がある。場合によっては、
「つまらない話をしている ⇒ 男性」
「人をイライラさせる ⇒ 男性」
「彼女にフラれた ⇒ 男性」
と言いたいこともあるだろう。そして、これらの「つまらない話をしている」「人をイライラさせる」「彼女にフラれた」という言葉は、純粋な形容詞ではない。(辞書で「つ」のところを調べても、「つまらない話をしている」という形容詞は出てこないはずだ。)むしろ、「~している」や「~させる」という部分からは動詞に近いような印象さえ受ける。
だが、「男性」という名詞を修飾しているという点では、非常に形容詞に近い働きをしている。
「分詞」というのは、この「つまらない話をしている」「人をイライラさせる」「彼女にフラれた」などに当たるものだ。表現の幅を広げるために、動詞を形容詞っぽくしたもの、それが「分詞」である。
自動詞が現在分詞になると「~している」という意味
現在分詞としてもっとも有名なのは、次のような「~している」という意味を持つものだろう。
I saw a flying bird.
私は飛んでいる鳥を見た。
The man standing over there is my father.
あそこに立っている男性は、私の父親です。
ここで押さえておきたいのは、「~している」という意味を持つflyingやstandingが、自動詞が姿を変えたものだということだ。
fly(飛ぶ)⇒ flying(飛んでいる)
stand(立つ)⇒ standing(立っている)
このように、元になっている動詞が自動詞であれば、現在分詞は進行(~している)の意味を持つ。
なお、こういった分詞というものを勉強していく上でも、やはり自動詞・他動詞の区別ができなければならない。自動詞・他動詞の違いについては以下の記事の中で詳しく解説しているので、必要であれば参考にしてもらいたい。
参考記事:なぜ自動詞・他動詞が区別できないと、英語の勉強が無駄になるのか?
他動詞が現在分詞になると「~させるような」という意味
さて、現在分詞というと先ほどの進行(~している)の意味を持つものが有名だが、実は現在分詞にはもう一つ別の意味を持つものがある。
That is a surprising discovery.
それは驚くべき(人を驚かせるような)発見だ。
It was an exciting game.
それはおもしろい(人を興奮させるような)試合だった。
ここでのsurprisingやexcitingを、進行(~している)の意味で訳すことができないのは明らかだ。
a surprising discovery
驚いている発見(×)
an exciting game
興奮している試合(×)
surprise(を驚かせる)やexcite(を興奮させる)は他動詞だ。このように、元になっている動詞が他動詞なら、現在分詞は能動(人を~させるような)の意味を持つことを、しっかり押さえておこう。
自動詞が過去分詞になると「~し終えた」という意味
続いて、過去分詞だ。現在分詞と同様に、自動詞が元になっているのか、他動詞が元になっているのかによって、その意味が変わって来る。
She swept the fallen leaves.
彼女は落ち葉(落ちてしまった葉っぱ)を掃いた。
The police are searching for the escaped prisoner.
警察はその脱獄犯を捜索中だ。
過去分詞というと、「~される・~された」という意味が有名だが、ここでのfallenやescapedをそのように訳すことはできない。
the fallen leaves
落とされた葉っぱ(×)
(落ち葉というのは、落とされた葉っぱではないはずだ。)
the escaped prisoner
逃がされた囚人(×)
(大問題すぎる。)
fall(落ちる)やescape(逃げる)は自動詞だ。こういう、自動詞が元になっている過去分詞は受動(~される・~された)の意味にはならないので注意しよう。自動詞の過去分詞は完了(~した・~し終えた)の意味になる。
他動詞が過去分詞になると「~された」という意味
受動(~される・~された)の意味になる過去分詞は、他動詞が元になっているものだ。
These expressions are rarely used in spoken English.
こういった表現は口語の(話される)英語ではめったに使われない。
He recovered his stolen money.
彼は盗まれたお金を取り戻した。
speakは原則として自動詞だが、言語名と共に用いるときだけ他動詞となる。steal(を盗む)は明らかに他動詞だ。
ここまで見て来たように、現在分詞も過去分詞も、元になっている動詞が自動詞なのか他動詞なのかによって大きく意味が変わって来る。「分詞」というものを勉強する上で、もっとも基本的かつ重要な部分なので、4つともしっかり覚えよう。
補語Cの位置に置かれる現在分詞・過去分詞
さて、ここまででご紹介した分詞(現在分詞と過去分詞)は、すべて名詞を修飾する働きをしているものだった。
だが、名詞を修飾するだけが形容詞の働きではない。形容詞には、もう1つ大切な働きがあった。補語Cになるという働きだ。
She brought me a red rose.
(redが名詞を修飾している)
Your face is red.
(redが補語Cになっている)
最初に確認したように「分詞」は「形容詞」の一種なので、現在分詞や過去分詞が補語Cになることもしばしばある。
そこで最後に、分詞が補語Cになっている例を確認しておこう。なお、補語Cについては、以下の記事の中で詳しく説明しているので参考にしてほしい。
参考記事:補語は品詞じゃないよ!英語の文法を勉強するなら知っておこう
第2文型の補語Cになる
■自動詞の現在分詞(進行)がSVCのC
He was running with his shoes off.
彼は靴を脱いだまま走っていた。
■他動詞の現在分詞(能動)がSVCのC
His stories are boring.
彼の話は退屈だ(人を退屈させるようだ)。
※boreは「を退屈させる」という意味の他動詞
■自動詞の過去分詞(完了)がSVCのC
She is married.
彼女は結婚している(結婚し終えている)。
■他動詞の過去分詞(受動)がSVCのC
I was surprised to hear the news.
私はその知らせを聞いて驚いた(驚かされた)。
※surpriseは「を驚かせる」という意味の他動詞
第5文型の補語Cになる
■自動詞の現在分詞(進行)がSVOCのC
I saw a bird hopping.
私は鳥が飛び跳ねているのを見た。
■他動詞の現在分詞(能動)がSVOCのC
I found the job very boring.
私はその仕事がとても退屈だ(人を退屈させる)と気付いた。
■自動詞の過去分詞(完了)がSVOCのC
I smell something rotten.
何かが腐ってしまった匂いがする。
※rotは「腐る」という意味の自動詞
■他動詞の過去分詞(受動)がSVOCのC
I heard my name called.
私は自分の名前が呼ばれるのを聞いた。
まとめ
いかがだっただろう。まずは、現在分詞・過去分詞が持つそれぞれの意味を、しっかりと覚えてほしい。受験生やTOEICの勉強をしている人にとっては必須の知識だ。
そして、分詞が形容詞の一種である以上、第2文型と第5文型への理解も欠かせない。
分詞が苦手だと思っている人の半分以上は、実は第2文型・第5文型への理解が不十分だったりもする。この機会に、第2文型・第5文型をもう一度復習してみるのもいいだろう。
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