英語の文法でよく聞く「譲歩」とは? 5つの譲歩構文まとめ
英文法を学んでいると「譲歩」という言葉に出会うことがあるが、日本語での譲歩(譲って妥協する)とは少しニュアンスが違うので、戸惑うこともある。
ここでは、英文法でよく聞く「譲歩」の意味をハッキリさせた上で、代表的な5つの譲歩構文を学んでいこう。
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英語の「譲歩」とは?
日本語と英語の間には、譲歩( concession )という言葉のニュアンスに次のような違いがある。
→ 譲った結果、妥協する(集団を大事にする)
英語での譲歩
→ 譲った上で、主張する(個人を大事にする)
どちらも「譲る(周りの情報を理解する)」というところは共通しているものの、その結果として、妥協するのか主張するのかが大きな違いだ。これは、「集団を大事にする文化」と「個人を大事にする文化」の違いに起因するとも考えられる。
また、もう少し詳しく押さえるなら、英語での譲歩には「一般論を踏まえて、それとは違った主張をする」という方向性がある。
こうしたニュアンスの違いを踏まえて、代表的な譲歩構文を学んでいこう。
5つの譲歩構文
譲歩(〜だが……だ)を表す表現として、次の5つを押さえておこう。
1. though / although
もっとも代表的なのは接続詞 though, although(〜だが)だ。文頭では although を使う傾向がある。
(彼はお金持ちだが、お金に対して執着はない。)
(彼女は仕事に対してとても自信がある。ミスをすることはあるけどね。)
なお、言葉というものは省略されるほどカジュアルになる(※)が、though と although にもそれは当てはまる。よりシンプルな though の方が口語的で、副詞(けどね)として使ったりすることもある。“It’s expensive, though.(高いけど)” など。
※関係代名詞の目的格を省略するかどうかや、目的格として whom と who のどちらを使うかにも、この「省略するほどカジュアル」という視点を応用できる。
2. even if / even though
even if(たとえ〜だとしても)と even though(確かに〜だが)も、譲歩構文として有名だ。
(たとえ雨が降っても、私はそのイベントに参加するつもりだ。)
(確かに時代遅れだが、私はそのジャケットを着続ける。)
even though は「たとえ〜だとしても」と訳されることもあるので、even if との違いが分かりにくいが、even if が「仮定」を表すのに対して、even though は「事実」に基づく譲歩構文だ。
詳しくは以下のページで解説しているので、必要に応じて学んでおこう。
3. whoever / no matter who など
複合関係代名詞と呼ばれる whoever は、順接的な意味(〜する人は誰でも)の他に、逆接的な意味(誰が〜しようとも)で使うこともある。後者が譲歩構文の一種で、その場合の whoever は no matter who にも置き換えられる。
また、whichever = no matter which(どれが〜しようとも)、whatever = no matter what(何が〜しようとも)、whenever = no matter when(いつ〜しようとも)、wherever = no matter where(どこで〜しようとも)も同様だ。
No matter who made the mistake, we need to fix the issue as a team.
(誰がミスをしても、私たちはチームとしてその問題に対応する。)
No matter where you hide the cookies, I'll eventually find them.
(どこにクッキーを隠しても、結局は見つけるよ。)
whoever について、詳しくは以下のページで解説しているので、必要に応じて学んでおこう。
4. 分詞構文
分詞構文(動詞の意味を持つ副詞)には6つの意味があるが、譲歩(〜だが、〜するけれども)を表すこともある。
(あなたの言うこともわかるけど、賛成はできないな。)
(バランスの取れた食事が大事なのもわかるけど、ジャンクフードの魅力にはかなわないや。)
分詞構文は「そんなの実際には使わない」と悪者扱いされがちだが、使わないのではなく、「出てきていても分詞構文だと気付きにくい」というのが本当のところなので、別途、しっかりと学んでおこう。
5. 副詞( certainly / generally / typically など)
1〜4の譲歩構文は副詞節や副詞句という形になっていたが、単語一語の副詞( certainly / generally / typically など)を使って譲歩(〜だが……だ)を表すこともでき、この場合には but や however といった接続詞がペアになることが多い。
(その本の内容は確かによく研究されたものだったが、私には少しつまらなかった。)
(一般的には、この街は静かで平穏だけれど、お祭りでは活気付く。)
(典型としては、庭の花は春先までに咲き誇るが、今年は寒かったので遅れている。)
さいごに|英文法に伸び代があるあなたへ
ここでは、代表的な譲歩構文(〜だが……だ)を学んだが、関係代名詞や分詞構文など、基本的な英文法(語順のルール)が身に付いていないため、苦労した人もいるかもしれない。
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