as as 構文(原級比較)をマスター|2つの as は意味も品詞も違う

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as ... as 構文は「〜と比べて同じくらい…だ」という意味の表現で、原級比較(同等比較)と呼ばれるものだ。

2つの as の間には、形容詞や副詞の原級(比較級や最上級になる前の形)が表現される。

ここでは、2つの as の意味や品詞の違いにも注目しながら、as ... as 構文の基礎をマスターしていこう。

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as ... as 構文(原級比較)の基礎

as ... as 構文は「〜と比べて同じくらい…だ」という意味の表現で、2つの as の間には、形容詞や副詞の原級(比較級や最上級になる前の形)が表現される。

She is as tall as he.

(彼女は彼と比べて同じくらい背が高い。)

※ tall(背が高い)は形容詞

She runs as fast as he.

(彼女は彼と比べて同じくらい速く走る。)

※ fast(速く)は副詞

このように、形容詞や副詞の原級を使うことから、as ... as 構文は「原級比較」と呼ばれている。また、「程度が同じくらい」であることを表すので、「同等比較」と呼ばれることもある。

前の as は副詞(同じくらい)

as ... as 構文の最初の as は「同じくらい」という意味の副詞で、直後の形容詞や副詞を修飾している。

She is as tall as he.

as tall:同じくらい → 背が高い

She runs as fast as he.

as fast:同じくらい → 速く

副詞は「動詞を修飾する」というイメージが強いかもしれないが、「形容詞や副詞を修飾する」というのも副詞の大きな働きだ。

※ご参考:副詞の4つの働きとは?

as tall(同じくらい背が高い)や as fast の(同じくらい速く)の as が副詞なのは、very tall(とても背が高い)や very fast(とても速く)の very が副詞なのと同じだ。

後ろの as は接続詞(〜するのと比べて)

as ... as 構文の2つ目の as は「〜するのと比べて」という意味の接続詞で、比較の対象(何と比べてか)を表している。

She is as tall as he.

as he:彼が背が高いのと比べて

She runs as fast as he.

as he:彼が速く走るのと比べて

なお、接続詞 as には他にもいくつかの意味があるので、興味や必要性があれば、以下のページで確認しておこう。

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接続詞 as の後ろは省略されやすい

as ... as 構文の2つ目の as は接続詞なので、後ろには完全文(SV構造)が続くのが原則だが、主節と同じ文構造の場合には省略が起こったり、慣習的に主格( I や they など)ではなく目的格( me や them )を使ったりすることがよくある。

接続詞 as(〜するのと比べて)の後ろの文構造は次の3通りで、それぞれのニュアンスが少し違う。

原級だけを省略した形

She is as tall as he is (tall).

→ 比較的フォーマルな印象

動詞と原級を省略した形

She is as tall as he (is tall).

→ フォーマル、かつ、やや古風な印象

主格が目的格になった形

She is as tall as him.

→「接続詞の後ろは主語S」という英文法からは外れている分、比較的カジュアルな印象

これらはニュアンスの違いはあれど、どれもよく使われる形だ。いずれにしても、as ... as 構文の2つ目の as は接続詞(〜するのと比べて)だということを押さえておこう。

as ... as 構文(原級比較)の例文

それでは、これまでの基礎を踏まえて、

1. as 形容詞 as
2. as 副詞 as
3. not so/as ... as

の3つに分けて、as ... as 構文を使った例文に触れていこう。

1. as 形容詞 as

The ocean is as vast as the sky.

(海は空と同じくらい広い。)

The water in the lake is as clear as crystal.

(湖の水は水晶と同じくらい透き通っている。)

This dish is as delicious as the one I had in Paris.

(この料理は私がパリで食べたものと比べて、同じくらい美味しい。)

2. as 副詞 as

She finished the exam as quickly as the top student in the class.

(彼女はクラスでトップの生徒と比べて、同じくらい早く試験を終えた。)

The child answered the questions as confidently as an adult.

(その子供は大人と比べて同じくらい自信を持って質問に答えた。)

He saves money as wisely as a financial expert.

(彼は金融の専門家と比べて、同じくらい賢明にお金を貯めている。)

3. not so/as ... as

as ... as 構文を否定文で使うと、「〜に比べると同じくらい(それほど)…ではない」という意味になり、比較級のようなニュアンスになる。

また、否定文では、副詞の as(同じくらい)が so(それほど)になることもあるが、not so ... as の方がフォーマルな(あるいは古風な)印象になる。

He's not as/so tall as his older brother.

(彼は兄に比べるとそれほど背が高くない。)

This cake is not as/so sweet as the one I had last week.

(このケーキは先週食べたものに比べるとそれほど甘くない。)

I can't type as/so fast as my colleague.

(私は同僚ほど速く入力できない。)

応用|第2文型(SVC)以外で使う as ... as 構文

これまでに見てきた例文は、as ... as 構文の形容詞が第2文型(SVC)の補語Cになっているものが多く、比較的シンプルだった。

ただ、( as ... as 構文に限らず)形容詞は第5文型(SVOC)の補語Cになったり、名詞を修飾したりする(修飾語Mになる)こともある。

※ご参考:形容詞の2つの働き

as ... as 構文が「第5文型(SVOC)の補語C」や「修飾語M」になっているときには、文の形が少しわかりにくくなるので、予め「そういうパターンもある」ということを知っておこう。

第5文型(SVOC)で使われる as ... as 構文

as ... as 構文が第5文型(SVOC)の補語Cになった例文は、次のようなものだ。第5文型(SVOC)の本質である「 O=C 」にも注目しながら見ていこう。

I found the play as entertaining as the movie.

(私はその舞台が映画と同じくらい面白いと思った。)

the play:目的語O
as entertaining:補語C

We should keep the garden as beautiful as the public park.

(私たちは庭を公共の公園と同じくらい綺麗にしておく方がいいよ。)

the garden:目的語O
as beautiful:補語C

We made our website as user-friendly as the top sites on the internet.

(私たちは、自身のウェブサイトを上位サイトと同じくらい使いやすくした。)

our website:目的語O
as user-friendly:補語C

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修飾語Mになる as ... as 構文

as ... as 構文が名詞を修飾する修飾語Mになった例文は、次のようなものだ。

He is as talented a musician as his teacher.

(彼は先生と比べて同じくらい才能のある音楽家だ。)

She wrote as interesting a book as her previous one.

(彼女は以前のものと比べて同じくらい面白い本を書いた。)

The restaurant has as beautiful scenery as that cafe.

(そのレストランはあのカフェと比べて同じくらい眺めがいい。)

このように、「 as + 形容詞」が修飾する名詞が可算名詞であれば、形容詞と名詞の間に冠詞 a が入る。そうすると、「形容詞が名詞を修飾している」と気付きにくくなるので気を付けておこう。

さいごに|英文法では「品詞」と「文型」を大切に

ここでは、2つの as の品詞が違うというところに注目しながら、as ... as 構文(〜と比べて同じくらい…だ)の意味と使い方を学んだ。

また、as ... as 構文では「形容詞」が使われることが多いので、形容詞の働き(補語Cになる/名詞を修飾する)についての理解が欠かせないこともわかった。

as ... as 構文に限らず、英文法(語順のルール)は「品詞」と「文型」を大切にしながら学んでいこう。そうすれば、読解力や表現力に繋がる文法力が身に付くはずだ。