【重要】使役動詞とは? make, have, let, get の違いと使い方
使役動詞とは「人に〜させる」という意味を持つ動詞のことで、代表的なものに make, have, let, get の4つがある。
特に、make, have, let を使うときには、原形不定詞( to がない不定詞)が続くので注意が必要だ。
ここでは、それぞれの使役動詞のニュアンスの違いに加えて、使役動詞が作る文型などにも触れながら、使役動詞の使い方をマスターしていこう。
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4つの使役動詞の一覧
一口に使役動詞と言っても、そのニュアンスや使い方には次のような違いがある。
このように、make > have, get > let の順に強制力は弱くなる。
また、文法的には、make, have, let が原形不定詞( to がない不定詞)を従えるのに対して、get は普通の不定詞( to do )を従えるというところもポイントだ。
こうした違いを踏まえて、それぞれの使役動詞を使った例文を見ていこう。
使役動詞 make の例文
使役動詞の make は「無理やり〜させる」というニュアンスの他動詞で、強制力の強い表現だ。そのため、それなりに上下関係がある関係性や文脈(上司と部下、親と子など)で使われることが多い。
文法的には、後ろに原形不定詞( to がない不定詞)が続くというのがポイントだ。
(プロジェクトを完了させるために、上司は私たちに残業させた。)
(彼女は子供たちにお菓子を食べる前に夕食を食べさせた。)
(外の音がうるさくて、私は早く起こされた。)
使役動詞 have の例文
使役動詞の have は「やって当然のことを〜してもらう」というニュアンスの他動詞で、比較的フラットな印象の表現だ。仕事やサービスをやってもらったり、丁寧な依頼をしたりするときによく使われる。
ここも文法的には、後ろに原形不定詞( to がない不定詞)が続くというのがポイントだ。
(私は修理工に車のブレーキを見てもらった。)
(その会社は従業員を研修に参加させた。)
(アシスタントに書類を送らせます。)
使役動詞 let の例文
使役動詞の let は「自由に〜させる」「〜するのを許可する」というニュアンスの他動詞で、強制力の弱い表現だ。
make や have と同様に、let の後ろにも原形不定詞( to がない不定詞)が続く。
(私は子供にしたいことをさせている。)
(日中は猫を庭で走らせているんです。)
(その先生は生徒が授業中にタブレットを使って調べものをするのを許可している。)
使役動詞 get の例文
使役動詞の get は「お願いして〜してもらう」というニュアンスの他動詞で、比較的フラットな印象の表現だ。
使役動詞の make, have, let とは違い、普通の不定詞( to do )が続くので気を付けよう。
(私は友人に自転車を直してもらった。)
(私はすぐに修理工に車を見てもらった。)
(旅行中は隣の人に犬を見ておいてもらうよ。)
使役動詞の文法的なポイント
なお、使役動詞( make, have, let, get )の文法的なポイントとして、
1. 受動態にできるのは make だけ
2. 第5文型(SVOC)を作っている
3. have / get + O + done は使役動詞に含めない
という3つのポイントを押さえておこう。
1. 受動態にできるのは make だけ
4つの使役動詞のうち、受動態にできるのは make だけだ。また、受動態にすると、原形不定詞が普通の不定詞になるというところも併せて押さえておこう。
(上司は私たちに残業させた。)
↓ 受動態にすると……
We were made to work overtime by the boss.
(私たちは上司に残業させられた。)
なお、こうした受動態の文に不安があれば、以下のページで基礎から学んでおこう。
2. 第5文型(SVOC)を作っている
原形不定詞( to がない不定詞)という形ばかりが注目されがちだが、ask(人に〜するよう頼む)や tell(人に〜するように言う)といった普通の他動詞と同じように、実は、使役動詞は第5文型(SVOC)を作っている。
第5文型(SVOC)とは、OとCの間に「主語-述語の関係(OがCだ、OがCする)」がある文型だが、ask や tell を使った文であれ、使役動詞( make, have, let, get )を使った文であれ、目的語O(人)と補語C(不定詞)の間には「OがCする」という主語-述語の関係が成り立っている。
(私は友人にウェブサイトを作るよう頼んだ。)
目的語O:my friend
補語C:to design the website
(私たちはプロのコーダーにウェブサイトを作ってもらった。)
目的語O:a professional coder
補語C:design the website
こうした「他動詞 + 人 + (to) do 」という形は、第5文型(SVOC)の典型だ。
( make, have, let では)原形不定詞を使うという表面的な特徴に振り回されずに、使役動詞は第5文型(SVOC)を作る動詞の一種だと押さえておこう。そうすれば、使役動詞がグッと身近になるはずだ。
なお、第5文型(SVOC)について不安があれば、以下のページで全体像を押さえておこう。
3. have / get + O + done は使役動詞に含めない
第5文型(SVOC)を作る have や get の後ろには、原形不定詞( to がない不定詞)ではなく過去分詞( done )が続くこともあるが、その場合の have や get は使役動詞に含めない方がいい。
なぜなら、確かに「 have / get + O + 過去分詞」が「Oを〜してもらう」という使役のニュアンスになることもあるが、文脈によっては、「Oを〜される」という被害のニュアンスになることもあるからだ。
(昨晩の嵐で庭が損害を受けてしまった。)
※ここでの had (have) は使役動詞には含めない。
(私はカフェで携帯を盗まれた。)
※ここでの got (get) は使役動詞には含めない。
あくまでも、使役動詞とは、人を目的語Oに取った上で、不定詞を従える make, have, let, get のことだと押さえておこう。
なお、「 have / get + O + 過去分詞」については、別途、以下のページで学んでおこう。
さいごに|使役動詞を特別扱いしない
ここでは、使役動詞( make, have, let, get )のニュアンスや使い方を学んだが、原形不定詞( to がない不定詞)を使うという表面的なところだけでなく、第5文型(SVOC)を作るという本質的なところも押さえておこう。
そうすれば、使役動詞がより身近なものになり、さらには、読解力や表現力に繋がる文法力も養われていくはずだ。
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