自動詞と他動詞の決定的な違い|2つを見分けて英語を伸ばせ
自動詞とは、動詞そのものに「を・に」が含まれず、目的語Oがいらない動詞のことだ。
一方で、他動詞とは、動詞そのものに「を・に」が含まれる、目的語Oが必要な動詞のことだ。
自動詞と他動詞を見分けられるかどうかは、英文法(語順のルール)が身に付くかどうかの最初の分かれ道なので、丁寧に学んで行こう。
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自動詞と他動詞の違い
英語では自動詞と他動詞の違いが明確で、それぞれ次のような特徴がある。
・「を」「に」が含まれない(※)
・そのため、目的語Oが不要
例:look(見る)、go(行く)、swim(泳ぐ)など
・「を」「に」が含まれる(※)
・そのため、目的語Oが必要
例:watch(を見る)、visit(を訪れる)、enter(に入る)など
自動詞と他動詞の違いを理解するためには、先に「他動詞」の特徴から見ていく方がわかりやすいので、ここでは「他動詞 → 自動詞」の順に深掘りしていこう。
※厳密には、become(になる)や sound(に聞こえる)など、第2文型(SVC)を作る自動詞には「に」が含まれるが、ここはいったん置いておいてOK。まずは自動詞と他動詞の大まかな違いを押さえていこう。
他動詞には「を・に」があるから目的語Oが必要
教科書や参考書などでは、他動詞は「目的語Oが必要な動詞」だと言われることが多いが、英文法(語順のルール)を学び始めた初心者にとっては、目的語Oという言葉そのものがわかりにくいかもしれない。
そこで、他動詞の特徴をもっとわかりやすく掴むために、まずは次の英文の「単語一つひとつ」を訳してみよう。
I:私は
the movie:映画
watched:を見た
→ watched には「を」が含まれる
このように、単語一つひとつを訳すと、watched(を見た)という動詞には「を」が含まれることがわかる。
ここで、watched(を見た)の直後で文を終わらせることができるかどうかを考えてみよう。
I watched.(×)
→「私は を見た」となり、文の形が成り立たない
こうして見てみると、“I watched(私は を見た)” だけだと文の形が成り立たないとわかる。
そこで、こうした「を」を含む動詞の後ろには、「何を?」の「何」にあたる言葉が必要で、これを目的語Oと呼んでいる。
the movie:目的語O
→「私は映画を見た」となり、文の形が成り立つ
このように、他動詞には「を」という意味まで含まれるので目的語Oが必要だということを押さえておこう。
なお、他動詞によっては、call(に電話する)や enter(に入る)など、「を」ではなく「に」を含むものもある。
自動詞には「を・に」がないから目的語Oが不要
一方で、自動詞とは「目的語Oがいらない動詞」のことだが、これは自動詞には「を・に」といった意味が含まれないからだ。
先ほどと同じように、次の英文の「単語一つひとつ」を訳すことで、自動詞の特徴を掴んでいこう。
I:私は
the sunset:夕日
at:を
looked:見た
→ looked には「を」が含まれない
このように、単語一つひとつを訳すと、先ほどの watched(を見た)とは違って、looked(見た)には「を」が含まれていないことがわかる。
ここで、looked(見た)の直後で文を終わらせることができるかどうかを考えてみよう。
I looked.(○)
→「私は見た」となり、文の形は成り立つ
こうして見てみると、意味が十分かどうかはともかく、“I looked(私は見た)” だけで文の形は成り立つことがわかる。
自動詞には「を・に」という意味が含まれていないので、目的語Oが不要だということだ。
補足|実は辞書や単語帳にも書いてくれている
ちなみに、辞書や単語帳をよく見ると、動詞の意味のところに小さく「を・に」と書かれたものと、そうでないものがあることに気付く。
→「他動詞」だとわかる
listen(聞く)、wait(待つ)、participate(参加する)など
→「自動詞」だとわかる
「を・に」の有無によって、他動詞としての意味なのか、自動詞としての意味なのかを示唆してくれているわけだ。
自動詞と他動詞の見分け方
自動詞と他動詞を見分けられるかどうかは、英文法(語順のルール)が身に付くかどうかの最初の分かれ道で、最終的には、英語の読解力や表現力に大きく関わってくる。
そこで続いては、自動詞と他動詞の見分け方を「初心者向け」と「中級者向け」に分けて押さえていこう。
初心者向けの見分け方・3つのポイント
自動詞と他動詞を見分けられるようにするために、まずは次の3つのポイントを押さえておこう。
1. 英語では「他動詞」が圧倒的に多い
2. 間違えやすい「自動詞と他動詞」を覚える
3. 前置詞の有無に注目する
1. 英語では「他動詞」が圧倒的に多い
大前提として、英語では「他動詞」が使われることが圧倒的に多い。「9割くらいが他動詞」だと思っておいてもいいくらいだ。
そこで、数が少ない「自動詞」の方をしっかりと覚えるようにしておくと、自動詞と他動詞を見分けやすくなる。
基本的には、walk(歩く)、run(走る)、swim(泳ぐ)、talk(話す)など、小中学校でも出てきそうな「自分だけで行う動作」が自動詞の代表だ。
※ご参考:自動詞を覚えたいあなたへ
【厳選200個】自動詞の一覧(レベル別)
また、英単語を覚えるときにも、数が少ない自動詞に注意を払おう。先ほど触れたように、単語帳などでは、自動詞には「を・に」が添えられておらず、他動詞には「を・に」が添えられているので、そこを手がかりにしよう。
2. 間違えやすい「自動詞と他動詞」を覚える
動詞の中には、意味から判断すると「自動詞か? 他動詞か?」を間違えやすいものがいくつかある。
これらは TOEIC や英検、大学受験といった試験でも狙われやすいものだし、代表的なものを覚えておくと、自動詞と他動詞の判別が楽になる。
participate(参加する)、refrain(控える・やめる)、insist(主張する)など
visit(を訪れる)、discuss(について議論する)、enter(に入る)など
詳しくは以下のページで一覧(PDF・音声あり)にしているので、必要に応じて活用してもらえると幸いだ。
3. 前置詞の有無に注目する(ただし万能ではない)
自動詞の直後には前置詞が続くことが多く、一方で、他動詞の直後には前置詞が来ないことが多い。
そこで、初心者の場合には、前置詞の有無に注目して、自動詞と他動詞を見分けるのも悪くはない。
I went to Dubai on a business trip.
(出張でドバイに行った。)
Don’t come into my room without knocking.
(ノックもなしに部屋に入ってこないで。)
I visited Dubai on a business trip.
(出張でドバイを訪れた。)
Don’t enter my room without knocking.
(ノックもなしに部屋に入ってこないで。)
ただし、この見分け方は万能ではないし、本質的でもない。実際の英文では、他動詞の直後に前置詞が続くこともあるからだ。
そこで、余力があれば、次の「中級者向けの見分け方」も押さえていこう。
中級者向けの見分け方・2つのポイント
自動詞と他動詞をハッキリと見分けて、英語の読解力や表現力をより正確なものにするのであれば、次の2つのポイントも大切にしよう。
1. 代表的な「名詞句・名詞節」を知っておく
2. 副詞句に惑わされないようにする
1. 代表的な「名詞句・名詞節」を知っておく
他動詞の目的語Oになるのは、book や dog といった単語一語の名詞とは限らない。場合によっては、次の5つのもの(名詞句や名詞節)が他動詞の目的語Oになることもある。
I totally forgot to tell you about that.
(君にそのことを伝えるのをすっかり忘れてたよ。)
他動詞:forgot
目的語O:to tell you about that
Do you remember coming here two years ago?
(二年前、ここへ来たのを覚えてる?)
他動詞:remember
目的語O:coming here two years ago
I believe that equality is a fantasy.
(平等というのは幻想だと思う。)
他動詞:believe
目的語O:that equality is a fantasy
こうした5つのもの(名詞的用法の不定詞/動名詞/ that 節/間接疑問文/関係代名詞 what が導く名詞節)が「他動詞の目的語Oになりうる」ということを知っておくと、他動詞に気付きやすくなる。
2. 副詞句に惑わされないようにする
that 節や間接疑問文など、他動詞の目的語Oが長くなる場合には、副詞句が優先されて、目的語Oが後ろに回ることもある。
(自分が愛されているということを忘れないでください。)
他動詞:keep
目的語O:that you are loved
※ 直後に前置詞 in があるが、keep は他動詞。
こうしたケースでは、「直後に前置詞があれば自動詞」という初心者向けの見分け方が通用しないので、注意が必要だ。
さいごに|自動詞と他動詞の違いがすべての基礎
ここでは、動詞そのものに「を・に」が含まれるかどうかに注目して、自動詞と他動詞の違いを学んだ。
冒頭でも触れたように、自動詞と他動詞を見分けられるかどうかは、英文法(語順のルール)が身に付くかどうかの最初の分かれ道で、最終的には、英語の読解力や表現力に大きく関わってくるので、丁寧に学んでいこう。