
関係詞というのは、関係代名詞と関係副詞の総称だ。(関係形容詞というものもあるが、これに関しては今回は割愛する。)
軸のない直感的な勉強をしていると、
「先行詞(※後述)が place ⇒ where を使う」
「先行詞が reason ⇒ why を使う」
といった初歩的な間違いを犯しやすい。
そこでここでは、関係代名詞・関係副詞を正確に使い分けられるようになることを目的にお話ししていこう。
この記事の目次
1. 基本的な3つの関係代名詞
関係代名詞には、who, which, that, what, whoever, whichever, as, but ……などいろいろとあるが、まずは最初の3つについて理解しておこう。
⇒ 先行詞(※後述)が人の場合に使える
■関係代名詞which
⇒ 先行詞が物・事の場合に使える
■関係代名詞that
⇒ 先行詞が人/物・事のいずれであっても使える
「関係代名詞」はその名の通り、代名詞の働きを持っているものだ。
だから、例えば、単なる代名詞の he に主格・所有格・目的格と呼ばれる形があるのと同様に、関係代名詞にも主格・所有格・目的格と呼ばれる形が存在する。
■代名詞 he
主格 ⇒ he
所有格 ⇒ his
目的格 ⇒ him
■関係代名詞 who
主格 ⇒ who
所有格 ⇒ whose
目的格 ⇒ whom
■関係代名詞 which
主格 ⇒ which
所有格 ⇒ whose
目的格 ⇒ which
■関係代名詞 that
主格 ⇒ that
所有格 ⇒ なし
目的格 ⇒ that
「格」というのは簡単に言うと「形(見た目)」のこと。
主格とは主語Sの位置に名詞(代名詞)を置くときの形、所有格とは名詞の前に置いて「誰々の」を表す形(my book の my など)、目的格とは他動詞や前置詞の後ろに名詞(代名詞)を置くときの形のことだと思ってもらえればよい。
なお、関係代名詞の基本的な使い方について、よく詳しくは以下の記事で解説している。
※参考記事:関係代名詞の基本的な使い方|who, which, that の違いや省略について
2. 基本的な4つの関係副詞
一方で、関係副詞にも、when, where, why, how, whenever, wherever ……などいろいろあるが、ここも最初の4つを基本的なものとして押さえておこう。
■「時」を表す関係副詞 when
■「場所」を表す関係副詞 where
■「原因・理由」を表す関係副詞 why
■「方法・手段」を表す関係副詞 how
関係代名詞と違って、関係副詞には「格」というものはない。
すでにピンと来ている人もいるかも知れないが、関係副詞は副詞の働きをもっているものだ。副詞はどういった場所に置いたとしても、見た目は変化しない。
I was dumped yesterday.
(昨日、振られちゃった!)
こういった普通の副詞(yesterday)と同様で、関係副詞にも見た目の変化(格)がないのだ。
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3. 関係代名詞は(代)名詞が姿を変えたもの
それでは、具体的な話に入っていこう。関係代名詞を用いると、次の2つの文を1つの文にくっつけることができる。
つまり、「こちらがその家です」と「彼がここに住んでいます」を合わせて、「これは彼が住んでいる家です」という意味の文を作ることができるのだ。
↓
This is the house which he lives in.(○)
と、このようになる。
先行詞が house(モノ)なので関係代名詞 that を用いてもらってもよいが、which なのか that なのかを議論しても得られるものは少ないので、今回の話の中では、関係代名詞 that にはお引き取り願おう。
さて、ここで大切なことは、関係代名詞 which はどこから湧いて出たのか?ということだ。
これさえ押さえれば、関係詞の勉強がビックリするほどスムーズに進むので、しっかり理解してほしい。
関係代名詞 which はどこから湧いて出たのか?元の文と見比べると明らかだ。
↓
This is the house which he lives in.
代名詞の it が消えてしまっている。つまり、関係代名詞 which は代名詞 it (= the house) が姿を変えたものということなのだ。
関係代名詞は名詞(または代名詞)が姿を変えたもの。まずはこれをしっかりと押さえておこう。
4. 関係副詞は副詞(句)が姿を変えたもの
ではもう1つ、同じようなことを考えてみよう。次の2つの文を1つの文にまとめるなら、どうなるだろうか?
文の内容自体は先ほどの例と変わらない。関係詞を用いて、「これは彼が住んでいる家です」という意味の文を作ってみよう。
今回は、関係副詞の where を用いて繋ぐことになる。
↓
This is the house where he lives.
ここでも、どうして関係副詞を用いたのかをしっかりと確認するように。「there と where が似てるから!」という曖昧な理由で関係副詞 where を用いたわけじゃない。
関係副詞 where はどこから湧いて出たのだろう?見てわかる通り、there が姿を変えたものだ。
↓
This is the house where he lives.
ここで重要なのが、there の品詞だ。
there や here というと「そこ/ここ」という名詞だというイメージがあるかも知れないが、これらは「そこで/ここで」という意味の副詞なのだ。
最悪、there が副詞だという知識がなくても問題ない。品詞というのは他の部分との繋がりを表すルールなのだから、軽く訳してみて、there が何を修飾しているのかを考えてみればよいだけだ。
彼は「そこに ⇒ 住んでいる」
このように、there は動詞 lives を修飾していて、副詞だということがすぐにわかる。今回の関係副詞 where は場所を表す副詞 there が姿を変えたものなのだ。
関係代名詞が名詞(または代名詞)が姿を変えたものであるのに対して、関係副詞は副詞が姿を変えたものだと理解しておこう。
副詞句が関係副詞になることもある
ここまで、2つのケースを見てきた。
・This is the house. + He lives in it.
・This is the house. + He lives there.
の2つだ。前者は関係代名詞を用いて1つの文にし、後者は関係副詞を用いて1つの文にした。
ここで1つ補足しておきたい話があるので、よく聞いてほしい。関係代名詞を用いて1つの文にした前者だが、実は関係副詞を用いて1つの文にすることもできるのだ。
↓
This is the house where he lives.
前置詞の後ろには必ず名詞がやって来る。前置詞とその後ろの名詞をバラバラのものだと見なすことは当然できるが、一方で、「絶対に後ろに名詞が来るんなら、もう1つのカタマリみたいなもんでしょ!」という感覚も重要だ。
そういった感覚に基づいて、「in + it」をまるで1つの語であるかのように捉えたとき、関係副詞 where を用いて1つの文にすることになる。なぜかと言うと、「in + it」は動詞 lives を修飾していて、まるで1つの大きな副詞であるかのような働きをしているからだ。
おわかりだろうか?
there であろうが in it であろうが、副詞は副詞。そのサイズにこだわっちゃいけない。
ちなみに今回の「in it」みたいに、単語2つ以上のカタマリでSV構造がないものを「句」と呼ぶので、併せて知っておこう。「in it」は副詞の働きをしているから「副詞句」と呼ばれたりする。
くどいようだけれど、関係副詞は副詞が姿を変えたもの。だから、副詞句 in it が関係副詞 where に姿を変えてもぜんぜんオッケーなのです。
5. 重要キーワード「先行詞」と「関係詞節」
さて、面倒だが避けては通れない用語の説明をササッとしておこう。
「関係詞節」というのは、その名の通り、関係詞が作っている節(SV構造のあるカタマリ)のことだ。先ほどの例で言うと、house の直後の「which he lives in」や「where he lives」がそれに当たる。
一方で「先行詞」というのは、この関係詞節に修飾される(説明される)名詞のことだ。先ほどの例で言うところの名詞 house がそれに当たる。
This is the house where he lives.
・先行詞:house
・関係詞節: “which he lives in” や “where he lives”
特にこの先行詞という言葉は、日本語との語順の違いを意識するとより理解しやすいだろう。
日本語では、
というように、ダラダラした説明が「先行」して、肝心の「家」という名詞は最後にやってくる。
一方英語では、
というように、house という名詞が修飾語(今回は関係詞節)よりも先にやってくる。
関係詞節に修飾されている名詞のことを先行詞と言うわけだが、「日本語と違って修飾語(関係詞節)に先行する語」という意味だと理解しておくとわかりやすいだろう。
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6. 関係詞の文法問題は、2つのSV構造に分ければよい
それでは、関係代名詞と関係副詞の違いを理解できているかどうかの確認を最後にやってみよう。
文法問題というか、もはやクイズみたいなものだが、次の空欄に入るのは1番と2番、どちらだろう?
ここ、キミにオススメの場所なんだ!
1. which
2. where
「先行詞がplace(場所)だから、場所を表すwhereが入る!」という風に考えてはいけない。
正解は、1. whichだ。
ここでぜひ、関係詞の問題にパーフェクトに答えるためのノウハウを掴んでほしい。そのノウハウとは、「逆に2つのSV構造に分ける」というものだ。
文法力を鍛えるにはとても有効なノウハウなので、ぜひキミ自身の思考回路として取り入れてもらいたい。
これを、元の2つの文に分けると、次のようになる。
This is the place.
2文目:関係詞節の中身
I recommend to you.(△)
ここで勘のいいキミなら気付いたかも知れない。
「2つ目の文に place に相当する語句がないよね?これじゃあ、関係詞を用いて1つの文にできないから……」
そう、そこが2つのSV構造に分けるときのポイントだ。2文目はまだ完成しておらず、必ず先行詞を2文目で繰り返さなくちゃいけない。
ここでは、recommend の後ろに先行詞 place を繰り返そう。placeが「場所」という意味だから there や here という語として繰り返したくなる気持ちもわかるが、それはまずい。
recommend は「をオススメする」という意味の他動詞だ。there や here は副詞なので、他動詞の目的語Oにはなり得ない。他動詞の目的語Oは、決まって名詞(代名詞)でなくちゃいけない。だから正しくは、
こうやって、先行詞placeを他動詞recommendの目的語itとして繰り返すわけだ。
(結局のところ、自動詞・他動詞の区別ができないと、関係詞は総崩れ。それほど自動詞・他動詞は重要だということだ。もしそれらの区別が曖昧なら、以下の記事がお役に立てるだろう。)
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さあ、2つのSV構造へ分けたものをまとめておくと、
This is the place.
2文目:関係詞節の中身
I recommend it to you.
となる。前半にお話ししたように、
・関係代名詞は、名詞(代名詞)が姿を変えたもの
・関係副詞は、副詞(副詞句)が姿を変えたもの
であった。それなら……最初の空欄に入るのは「1. which」ですよね!代名詞itは関係代名詞に姿を変えるわけだから!
関係詞の問題では、こうやって2つのSV構造に分けて、先行詞を名詞(代名詞)で繰り返すのか、それとも副詞(副詞句)で繰り返すのかに注目しよう。
間違っても、「place ⇒ 場所 ⇒ where!」なんていうヘンな判断をしないようにね!
7. 【動画講義】さらなるレベルアップのために
なお、今日の内容についてはこちらの動画講義の中でもお話ししているので、さらなる訓練のために参考にしてもらいたい。(散髪に失敗したのは見逃してくださいね。笑)
まとめ(3つのポイント)
おつかれさまでした!今日の話をしっかり聞いてくれたなら、関係詞の基礎はカンペキだ。
【1】関係代名詞は名詞(代名詞)出身
【2】関係副詞は副詞(副詞句)出身
【3】2つのSV構造に分けて考える
この3つのポイントを、欲張ってすべて自分のものにしてほしい。
もっと深く関係詞を
理解したい人はこちら >>
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