関係代名詞 that のみを使う3つの場合とその理由
先行詞が「物事」の場合、関係代名詞は which または that が使われる。
基本的にはどちらを使ってもよいが、「あるもの」が先行詞になった場合には、関係代名詞は that がかなり好まれる。
ここでは、関係代名詞 that が好まれる3つの場合について「なぜ that が好まれるのか?」という理由とともに整理していこう。
この記事を読んで得られること
- 関係代名詞 that が好まれる3つの場合を覚えられる
- なぜ、関係代名詞 that が好まれるのか、感覚的にもわかる
CONTENTS
関係代名詞 that が好まれる3つの場合
学校の授業や参考書などでは、「先行詞に all the, every, any, the first, the only, the biggest, no などが添えられている場合には、関係代名詞は that にしてください!」と説明される(押し付けられる)こともあると思うが、これだと納得感もなければ記憶にも残りにくい。
そこで、関係代名詞 that が好まれる場合については、次の3通りに分けて整理しておくのがオススメだ。
1. 先行詞が「すべてのもの」を表す場合
関係代名詞 that が好まれる一つ目の場合は、先行詞が「すべてのもの」を表す場合だ。具体的には、
・all(すべての)
・every(あらゆる)
・any(どんな・何でも)
という言葉(形容詞)が先行詞に添えられる場合、which ではなく that がかなり好まれる。(絶対に that しか使えないわけではない。)
(私は今日起こったすべてのことを決して忘れない。)
(もっとも重要なのは人生を楽しむこと。幸せであること。それが、大切なすべてのことよ。)
- オードリー・ヘップバーン
※ここでの all は名詞(すべてのこと)で、matters は「重要である」という意味の自動詞。
2. 先行詞が「唯一のもの」を表す場合
関係代名詞 that が好まれる二つ目の場合は、先行詞が「唯一のもの」を表す場合だ。具体的には、
・only(唯一の)
・very(まさにその)
・序数詞(first, second, third ...)
・最上級(biggest, simplest ...)
などが先行詞に添えられると、which ではなく that がかなり好まれる。(絶対に that しか使えないわけではない。)
(変わらない唯一のものは、変化だ。/変化以外に永続的なものはない。)
- ヘラクレイトス(ギリシア人哲学者)
3. 先行詞が「無」を表す場合
関係代名詞 that が好まれる三つ目の場合は、先行詞が「無」を表す場合だ。具体的には、先行詞に no が添えられると、which ではなく that がかなり好まれる。(絶対に that しか使えないわけではない。)
(例外のないルールはない。)
ここがポイント! なぜ、関係代名詞 that が好まれるのか?
さて、ここまでに整理したのは「知識」だが、せっかくなので「感覚」の部分まで踏み込んでみよう。
先行詞が「すべてのもの・唯一のもの・無」を表す場合に、どうして関係代名詞は which ではなく that がかなり好まれるのか? その理由は、which と that のイメージの違いに目を向けると腑に落ちやすい。
which という言葉は「関係代名詞」ではなく「疑問詞」として使うこともあるが、その場合には「どれかというと……」という意味が表面化する。同じ which という言葉なので、そうしたニュアンスが関係代名詞 which にも含まれている。
一方で、that という言葉は「関係代名詞」ではなく「単なる代名詞」として使うことも多く、その場合には「それはね……」という意味だ。同じ that という言葉なので、そうしたニュアンスが関係代名詞 that にも含まれている。
つまり、関係代名詞 which と関係代名詞 that の感覚的な違いは、次のようになる。
「どれかというと……」といったニュアンスで、いくつかのモノの中から選び取るイメージで先行詞を説明する。
「それはね……」といったニュアンスで、それほど限定せずに軽く先行詞を説明する。
そして、ここまで読んだあなたならお気付きかもしれないが、先行詞が「すべてのもの・唯一のもの・無」の場合には、比較の対象がないので、which の気持ち(どれかというと……)が湧いてこない。これが、関係代名詞として that(それはね……)が好まれる理由だ。
なお、これは補足だが、たとえ先行詞が「すべてのもの・唯一のもの・無」だったとしても、それが「人」であれば who を使うこともあるので気を付けよう。
さいごに|関係詞は英文法(語順のルール)の肝
ここでは、先行詞が「すべてのもの・唯一のもの・無」の場合には、関係代名詞 that がかなり好まれることを学んだ。
こうした知識に限らず、関係詞(関係代名詞と関係副詞)への理解は、英語の読解力や表現力に大きく影響するものだ。ぜひ、早い段階でマスターしておこう。