関係代名詞の省略をマスター|見分け方のコツは他動詞と前置詞

英文法関係詞
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関係代名詞の who, which, that は、目的格(関係詞節の中での目的語O)になっている場合、省略することができる

関係代名詞が省略されると、文の形がわかりにくくなり、英文の意味を捉え間違えてしまうことも出てくるので、注意が必要だ。

ここでは、いくつかの例文を通して、関係代名詞の省略の見分け方をマスターしていこう。

CONTENTS

基本の確認|主格と目的格

関係代名詞の省略を正しく理解するために、まずは「関係詞節」「主格」「目的格」という言葉について、簡単に確認しておこう。

「関係詞と関係詞節は違う」
「関係代名詞の目的格は、関係詞節の中で目的語Oになっている」

ということがわかっている場合には、次の「関係代名詞の目的格は省略できる」に進んでも大丈夫だ。

関係詞節とは

関係詞節とは、関係詞(関係代名詞や関係副詞)から始まるSVのカタマリのことだ。

I have a friend who knows many delicious restaurants.

(私には美味しいレストランをたくさん知っている友人がいる。)

関係詞節:who knows many delicious restaurants

基本的には、関係詞節は形容詞節(大きな形容詞)になる。先行詞(直前の名詞)を修飾しているからだ。

※参考書やウェブサイトによっては、「関係詞」と「関係詞節」を混同していることもあるので気を付けよう。

関係代名詞の「主格」とは

関係代名詞の主格とは、関係詞節の中で主語Sになっている関係代名詞のことだ。

He suggested a plan which seemed so effective.

(彼は効果的に思える計画を提案した。)

→ ここでの which は主格( seemed の主語S)

関係代名詞の「目的格」とは

一方で、関係代名詞の目的格とは、関係詞節の中で目的語Oになっている関係代名詞のことだ。

The book which you recommended is fantastic.

(あなたが勧めてくれた本は素晴らしい。)

→ ここでの which は目的格(他動詞 recommended の目的語O)

こうした「関係詞節」「主格」「目的格」という言葉をある程度理解した上で、続いては本題の「関係代名詞の省略」について学んでいこう。

なお、こうした関係代名詞の基礎について不安があれば、別途、以下のページで丁寧に学んでおこう。

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関係代名詞の「目的格」は省略できる

関係代名詞の who, which that は、目的格(関係詞節の中で目的語O)になっている場合、省略することができる

ここでは、関係代名詞が「他動詞の目的語O」になっているケースと、「前置詞の目的語O」になっているケースに分けて、それぞれの例文を見ていこう。

関係代名詞が「他動詞の目的語O」になった例文

以下の例文の関係代名詞は、目的格(他動詞の目的語O)なので省略できる

The letter (which) I received from her is my precious item.

(彼女からもらった手紙は私の宝物だ。)

※ここでの which は目的格(他動詞 received の目的語O)

She's the friend (whom) I trust the most.

(彼女は私がもっとも信頼している友人だ。)

※ここでの whom は目的格(他動詞 trust の目的語O)

That's the movie (that) we watched on our first date.

(それは私たちが最初のデートで観た映画です。)

※ここでの that は目的格(他動詞 watched の目的語O)

関係代名詞が「前置詞の目的語O」になった例文

以下の例文の関係代名詞も、目的格(前置詞の目的語O)なので省略できる

This is the house (which) I grew up in.

(これは私が育った家です。)

※ここでの which は目的格(前置詞 in の目的語O)

She is the person (who) I can share anything with.

(彼女は私が何でも話せる人です。)

※ここでの who は目的格(前置詞 with の目的語O)

The book (which) the movie is based on was better.

(その映画の元になっている本の方がいい。)

※ここでの which は目的格(前置詞 on の目的語O)

関係代名詞を省略した場合のニュアンスは?

なお、ここは日本語でも同じことだが、言葉というものは「省略する方がカジュアル」「表現する方がフォーマル」な印象になる。

関係代名詞の目的格についても同様で、省略した場合には、比較的カジュアルな印象になると押さえておこう。

関係代名詞の「主格」は省略できない

また、関係代名詞の「主格」は、基本的には(※)省略できない。繰り返しになるが、あくまでも、省略できるのは関係代名詞の「目的格」だ。

The tree which grows in our backyard is a sakura.

(うちの裏庭で育っている木は桜の木です。)

→ ここでの which は主格( grows の主語S)なので省略できない。

※発展的な内容として、主格の関係代名詞を省略できるケースもいくつかあるが、基礎固めの段階では後回しで大丈夫だ。

関係代名詞の省略の見抜き方

関係代名詞の目的格を使った表現では、(関係詞節の中の)他動詞や前置詞の直後に目的語Oが来ない。なぜなら、関係代名詞そのものが他動詞や前置詞の目的語Oだからだ。

The letter (which) I received from her is my precious item.

(彼女からもらった手紙は私の宝物だ。)

→ which が他動詞 recieved(を受け取った)の目的語Oなので、received の後ろには何も表現しない。

This is the house (which) I grew up in.

(これは私が育った家です。)

→ which が前置詞 in の目的語Oなので、in の後ろには何も表現しない。

関係代名詞の省略に気付くためには、この「他動詞や前置詞の直後に目的語Oがない」というところに注目するのがポイントだ。

省略に気付けるかどうかは、英文の意味を正確に理解できるかどうかに大きく関わってくる重要なテーマなので、いくつか練習しておこう。

練習1

That's the restaurant I want to try next.

他動詞 try(を試す)の直後に目的語Oがない( next は副詞/副詞は目的語Oにはならない)ので、関係代名詞の目的格 which / that が省略されているとわかる。

That's the restaurant (which/that) I want to try next.

(それは私が今度試してみたいレストランです。)

練習2

The book I borrowed from the library is overdue.

他動詞 borrowed(を借りた)の直後に目的語Oがないので、関係代名詞の目的格 which / that が省略されているとわかる。

The book (which/that) I borrowed from the library is overdue.

(図書館から借りた本の返却期限が過ぎている。)

練習3

He's the person she talks about all the time.

前置詞 about(について)の直後に目的語Oがない( all the time は副詞/副詞は目的語Oにはならない)ので、関係代名詞の目的格 whom / that が省略されているとわかる。

He's the person (whom/that) she talks about all the time.

(彼は彼女がいつも話題にしている人です。)

補足|自動詞と他動詞の違いについて

ここまで読んだあなたなら、「関係代名詞の省略に気付くためには、自動詞と他動詞の違いを理解しておくのが大前提」だと気付いたかもしれない。

以下のページの動画では、自動詞と他動詞の違いについてわかりやすく学ぶことができるので、しっかりと確認しておこう。