目的語とは?補語との違いや前置詞の目的語についても
目的語とは文の要素(S, V, O, C, M の総称)の一種で、英語では他動詞や前置詞の後ろに必ず必要な名詞のことだ。
ここでは、英文法(語順のルール)の基礎として、目的語Oについての理解を深めていこう。
なお、「文の要素(S, V, O, C)と品詞は違う」ということを理解できているという前提でお話ししていくので、不安があれば以下のページを参考にしてほしい。
この記事を読んで得られること
- 目的語Oとは何かがわかる
- 目的語Oと補語Cの違いがわかる
- どんな表現が目的語Oになるかがわかる
CONTENTS
目的語とは?
目的語とは文の要素(S, V, O, C, M の総称)の一種で、一般的には「動作の対象となる名詞(人・物・事)」のことだ。
ただ、それだけだと、「前置詞の目的語(後述)」という概念を理解しにくかったり、「目的語と補語の違い(後述)」がわかりにくかったりする。
そこで、もう一つ別の視点として、目的語とは「他動詞や前置詞の後ろに必ず必要な名詞」のことだと押さえておくといいだろう。
他動詞の目的語
他動詞の後ろには、必ず名詞が置かれる。これは、他動詞には動詞そのものに「を」「に」といった意味合いが含まれているからだ。他動詞の直後で文を終わらせてしまっては、文のたちが不完全になってしまう。
新しいノートパソコンを買ったんだよ。
I:私は
bought:を買った
a new laptop:新しいノートパソコン
※ “I bought” だけだと「私は を買った」となり、不完全。他動詞 bought(を買った)の後ろには、a new laptop のような名詞がなければ、文の形が成り立たない。
こうした「他動詞の後ろに必ず必要な名詞」が目的語(Object)と呼ばれるもので、頭文字を取ってOで表されることが多い。
なお、自動詞と他動詞の違いについて自信がない場合には、以下のページで解決できるだろう。
※ご参考:
なぜ look は自動詞で、
watch は他動詞なのか? >>
前置詞の目的語
他動詞と同じように、前置詞の後ろにも必ず名詞が置かれる。
ちょうどそのビーチに着いたところだよ。
I:私は
have just arrived:ちょうど着いた
at:に
the beach:そのビーチ
※ “I’ve just arrived at” だけだと「私はちょうど に着いた」となり、不完全。前置詞 at(に)の後ろには、the beach のような名詞がなければ、文の形が成り立たない。
こうした「前置詞の後ろに必ず置かれる名詞」も目的語(Object)の一種で、他動詞の目的語Oと区別するために、前置詞の目的語Oと呼ばれる。
目的語になる品詞
目的語Oになることのできる品詞は名詞だけだ。形容詞も副詞も、絶対に目的語Oにはならない。
目的語と補語の違い
目的語Oと補語Cには、次の2つの違いがある。
1. 主語Sとイコール関係かどうか
SVの後ろにある言葉は、主語Sとイコール関係かどうかによって、目的語Oなのか補語Cなのかを考えることができる。
目的語Oが主語Sとイコール関係にはならないのに対して、補語Cは主語Sとイコール関係になる。
彼は研究者を尊敬している。
※ He ≠ a researcher なので、ここでの a researcher は目的語Oだとわかる。
彼は研究者になった。
※ He = a researcher なので、ここでの a researcher は補語Cだとわかる。
2. 品詞の違い
目的語Oになる品詞は「名詞」だけだが、補語Cになる品詞は「名詞」と「形容詞」の2つがある。
補語C:「名詞」か「形容詞」
目的語になる4つの表現
あなたが英文法(語順のルール)を学ぶ目的が、英語の語順を正しく把握し、読解力や表現力を伸ばすことだとすれば、「単語一語の名詞以外にどんなものが目的語Oになるか?」を覚えておくことはとても効果的だ。
目的語Oの位置に置ける(=他動詞や前置詞の後ろに置ける)表現としては、次の4つが代表的なものだ。
1. 名詞的用法の不定詞
名詞的用法の不定詞は、名詞句(SVの形がない名詞のカタマリ)の一種だ。
単語一語の名詞と同じように、他動詞の目的語Oとして使うことができる。
君にそのことを伝えるのをすっかり忘れてたよ。
※ “to tell you about that” が他動詞 forgot の目的語Oになっている。
なお、基本的には、名詞的用法の不定詞は前置詞の目的語Oにはならないが、前置詞の but/except(を除いて)に限っては、名詞的用法の不定詞が目的語Oになる。
寝る以外(寝ることを除いて)やることがない。
※ “to sleep” が前置詞 but(を除いて)の目的語Oになっている。
2. 動名詞
動名詞も名詞句(SVの形がない名詞のカタマリ)の一種だ。
単語一語の名詞と同じように、他動詞や前置詞の目的語Oとして使うことができる。
二年前、ここへ来たのを覚えてる?
※ coming here two years ago が他動詞 remember の目的語Oになっている。
あなたを再び失うのが怖い。
※ “losing you again” が前置詞 of の目的語Oになっている。
3. that節
that節は名詞節(SVの形がある名詞のカタマリ)の代表だ。
単語一語の名詞と同じように、他動詞の目的語Oとして使うことができる。
彼は、その夜他の誰かと会っていたということを白状した。
※ “that he had met someone else at the night” が他動詞 confessed の目的語Oになっている。
なお、that節が前置詞の目的語Oになる場合には、前置詞は必ず省略される。前置詞の直後にthat節が続いている表現をほとんど見かけないのは、このためだ。
あなたなら上手くいくと思うよ。
※ “am sure of” の of が省略されている。
4. 間接疑問文
間接疑問文も名詞節(SVの形がある名詞のカタマリ)の一種だ。
単語一語の名詞と同じように、他動詞や前置詞の目的語Oとして使うことができる。
どうやってその問題を乗り越えたのか、教えてもらえませんか?
※ “how you have overcome the problem” が他動詞 tell の目的語Oになっている。
今のところとても上手くいっていることが嬉しい。
※ “how well it’s going so far” が前置詞 of の目的語Oになっている。
なお、間接疑問文(疑問文の意味を持つ名詞節)について、より詳しく学びたい場合には、以下のページがお役に立てるだろう。
さいごに「目的語になる品詞は名詞だけ」
ここで学んだように、
・目的語Oになる品詞は名詞だけ
・名詞と同じ働きをする句や節は4つある
ということを早い段階で押さえておくと、英文法(語順のルール)を身に付けるのがとても楽になる。
また、英文法をより詳しく学びたい場合には、英語学習ボックスの無料動画講義もお役に立てると思うので、興味があればぜひ活用してほしい。