動名詞を勉強するときに最初に押さえておきたい3つのポイント
動名詞では、単に「~すること」という訳し方を押さえればいいわけではない。
ここでは、動名詞を勉強するときに押さえておくべきポイントを3つに絞ってお話ししていこう。
CONTENTS
動名詞は「動詞の意味を持った名詞」の代表
本題に入る前に、動名詞のもっとも基本的な性質について確認しておこう。
動名詞は「動詞を名詞化したもの」で、動詞の語尾に "ing" を付けて表現される。「~すること」という訳し方は有名だろう。
believe(信じる)⇒ believing(信じること)
create(~をつくる)⇒ creating(~をつくること)
こういった動名詞はあくまでも「名詞」なので、dog(犬)や idea(考え)といった普通の名詞と同じように、文の中で名詞として働く。
Walking is great for your health.
歩くことは健康にいい。
■動名詞が補語Cになる
Seeing is believing.
見ることは信じることだ。(百聞は一見にしかず。)
■動名詞が他動詞の目的語Oになる
I like walking in the rain.
私は雨の中を歩くことが好きだ。
■動名詞が前置詞の目的語Oになる
I'm good at creating websites.
私はウェブサイトをつくるのが得意だ。
(websites は creating の目的語O)
なお、動名詞を学ぶ上で、「名詞の働き」や「文の要素(S・O・Cなど)」については必ず知っておこう。詳しくは以下の記事で説明しているので、参考にしてほしい。
※「名詞の働き」についての参考記事
英文法の基礎!名詞の5つの働きと、愉快な名詞の仲間たち
※「文の要素」についての参考記事
品詞じゃないので要注意!主語S・目的語O・補語Cって何なの?
ちなみに英語には、decision(決定/decide の名詞形)や belief(信念/believe の名詞形)といった「動詞の名詞形」もたくさんあるが、これらは動名詞ではない。
動名詞とは、動詞の意味を持った名詞のうち、あくまでも語尾が "ing" になっているもののことだ。
1. 名詞的用法の不定詞との違いは、時間的なイメージ
動名詞を勉強する上で押さえておきたい1つ目のポイントは、名詞的用法の不定詞との違いだ。
名詞的用法の不定詞は、動名詞と同様に「~すること」という意味を持つが、そのニュアンスにはちょっとした違いがある。
例えば、
と言う場合、動名詞を用いて
と言うよりも、不定詞を用いて
と言う方が正しいが、これは、不定詞が「未来的なニュアンス」を持つ表現だからだ。
「変える」のは未来の話なので、動名詞よりも名詞的用法の不定詞の方がシックリくる。
これに対して、動名詞は「過去的なニュアンス」や「現在的なニュアンス」を持つ表現だ。
例えば、
と言う場合には、
ではなく、
と言うのが正しい。
「彼に会った」のは過去の話なので、名詞的用法の不定詞ではなく動名詞が適している。
もちろん場合によっては、名詞的用法の不定詞と動名詞をそう大差なく用いることもあるし、中には「必ず不定詞が続く他動詞」「必ず動名詞が続く他動詞」というものもある。
ただ、そういった細かなところを優先しても、なかなか英文法の勉強は進まないだろう。そこでまずは、
⇒未来的なニュアンスの表現
動名詞
⇒過去的/現在的なニュアンスの表現
という点だけでも押さえておこう。
なお、ここでお話しした「動名詞と名詞的用法の不定詞の違い」について、より詳しくは以下の記事で解説している。
2. 現在分詞との違いは、意味と品詞
動名詞を勉強する上での2つ目のポイントは、同じ "ing" という語尾を持つ現在分詞との違いだ。
学校の授業や参考書などでは、この「現在分詞との違い」が取り上げられることは少ないが、ここも文法上、極めて重要なポイントだ。
現在分詞は動名詞と同じように、動詞の語尾に "ing" を添えることで表現されるが、「~している(進行)」や「~させるような(能動)」という意味を持ち、英文の中では形容詞として働く。対する動名詞は、もちろん名詞だ。
The man standing over there is my father.
あそこに立っている男性は、私の父親です。
⇒名詞 man を修飾しているので、standing over there は現在分詞。
That is a surprising discovery.
それは驚くべき(人を驚かせるような)発見だ。
⇒名詞 discovery を修飾しているので、surprising は現在分詞。
Walking is great for your health.
歩くことは健康にいい。
⇒主語Sになっているので、walking は動名詞。
現在分詞は形容詞、動名詞は名詞だということを、英文法の基礎として押さえておこう。
なお、現在分詞について、詳しくは以下の記事で解説している。
※参考記事:excitingは「興奮している」じゃない!?現在分詞・過去分詞の4つの意味
動詞の意味を持っているので、当然「主語」も存在する
そして、3つ目のポイントは、動名詞にも主語が存在するということだ。
ここまで、動名詞は「名詞」だということを強調してきたが、やはり動詞の意味を持っている分、dog(犬)や idea(考え)といった普通の名詞とは一線を画す。動詞の意味が含まれるということは、当然、それに対する主語も存在するということだ。
では、動名詞の「主語」は、どういう形で表せばよいのか?
これは基本的に、名詞や代名詞の所有格(I - my - me の my など)を添えることで表すことができる。
My father was opposed to my going to Europe.
父は「私が」ヨーロッパへ行くことに反対した。
I'm sure of his winning.
私は「彼が」勝つことを確信している。
もちろん、こういった所有格(=主語)が付いていない動名詞もたくさんある。その場合は、「文頭の主語」か「一般の人々」が動名詞の主語になっていることがほとんどだ。
I’m good at creating websites.
私はウェブサイトをつくるのが得意だ。
⇒ "creating websites" をするのは、文頭の主語(I)
Walking is great for your health.
歩くことは健康にいい。
⇒ "Walking" をするのは、一般の人々
こういうルールを知っておくと、「この動名詞って誰の動作なんだろう?」と迷うことが少なくなる。やはり、文法の基本的なルールは知っておいて損はないだろう。
動名詞の主語は「目的格」でもいい?
英文法を少し踏み込んで勉強してきた人からは、
というツッコミが入りそうだ。
確かに、目的格によって動名詞の主語を表すこともあるが、それは「動名詞が他動詞や前置詞の目的語Oになっている場合」に限る。
My father was opposed to my going to Europe.(○)
↓ 前置詞(to)の後ろは、よく「目的格」がやってくるので……
My father was opposed to me going to Europe.(○)
他動詞や前置詞の直後というのは、目的語Oがやってくる場所だ。
例えばあなたも、 "to my" と言うより "to me" と言う方がよっぽど言いやすいだろう。(me は目的格、つまり、目的語Oになるときの形)
他のさまざまな表現で "to me" と言っている「癖」から、動名詞の主語として my が続く場合にも、つい "to me" と言ってしまう。
これが、動名詞の主語が目的格(me や him)になってしまう理由だ。
動名詞の主語は、基本的には所有格(my や his など)で表し、他動詞や前置詞の後ろに続く場合だけ目的格(me や him など)にもなりうると知っておこう。
さいごに
いかがだっただろう。
最後にもう一度振り返っておくと、動名詞を勉強する上で押さえておくべきポイントは
2. 現在分詞との違い
3. 主語の表し方
の3つだ。
それぞれ英文法の基礎として、今回の話を参考にしながらしっかりと復習してほしい。