品詞じゃないので要注意!主語S・目的語O・補語Cって何なの?
英語を勉強し直そうと思っても、目的語Oや補語C、修飾語Mなどといったわかりにくい言葉が原因で、手が進まないこともあるだろう。
ここではそういった、基本的だけれども掴みどころのない用語についてお話ししていこう。
あなたが英語を楽しく勉強していく手助けになれば幸いだ。
S・V・O・C・Mは「品詞」ではなく「文の要素」
S・V・O・C・Mという記号を見たことがある人はたくさんいると思うが、まずは、これらが名詞・動詞・前置詞などの「品詞」とは違うということをハッキリさせておく必要がある。
品詞というのは、簡単に言うと「他の部分との繋がりを表すルール」のことで、例えば、形容詞は名詞を修飾したり、副詞は動詞や形容詞などを修飾したりする。
… 名詞・助動詞・動詞・形容詞・副詞・接続詞・前置詞・間投詞の8つ
これに対して、S・V・O・C・Mは「文の要素」と呼ばれているもので、これらは簡単に言うと「その文の中での位置(ポジション)」を表す記号だ。
英語では、大抵の場合は文頭が主語Sの位置だし、他動詞や前置詞の後ろは目的語Oの位置だ。主語Sや目的語Oとイコール関係に当たる部分には補語Cがやって来る。
… 主語S・述語動詞V・目的語O・補語C・修飾語M
「これくらいわかってるよ!」と言われるかも知れないが、本当に大切なことなので、一つ確認しておこう。
He thinks things simply.
この文の「He」という単語だが、品詞を答えるなら「名詞」、文の要素を答えるなら「主語S」だ。
このように、同じ単語が「名詞であり、かつ、主語Sでもある」ということなので最初はややこしいかも知れないが、要は、切り口が2つあるということ。
英語のレッスンを受けたり自習をするときなどには、品詞を考えているのか、それとも、文の要素を考えているのかを整理するようにしよう。
主語Sとは?
「主語とは何なのか?」を説明するのは意外と難しいが、私なりに簡単に伝えるとすれば、主語Sというのは「その文の動作や状態の主体となるもので、必ず名詞で表されるもの」である。
単語一語の名詞が主語Sになることもあれば、名詞句や名詞節が主語Sになることもある。
彼は毎朝ジョギングをしている。
⇒ He が主語Sになっている。
自分らしくあることが、あなたができるすべてのことだ。
⇒ 名詞的用法の不定詞(名詞句の一種)To be yourself が主語Sになっている。
あなたがここにいてくれることが私を幸せにしてくれる。
⇒ that節(名詞節の一種)That you are here が主語Sになっている。
ただ、第2文型SVCのときだけ注意が必要だ。S = C という関係が成り立つ第2文型においては「主語S ≠ 動作の主体」ということがしばしばある。
She looks so happy.
彼女はとても幸せそうに見える。
この文の主語Sは当然「She」だが、動作の主体(彼女がとても幸せそうだな~と思っている人)はこの文の話し手だ。
このように、第2文型SVCでは「主語S ≠ 動作の主体」となることがあるので注意してほしい。
主語S
・その文の動作や状態の主体となるもの。
・主語Sになれる品詞は「名詞」だけ。
・ただし、第2文型SVCでは、主語が動作主とは限らない。
述語動詞Vとは?
述語動詞Vは、「その文のメインとなる動作や状態を表す部分で、主語Sの後ろに置くことができるもの」のことだ。
助動詞がなければ動詞1つを述語動詞Vと見なすが、助動詞がある場合には「助動詞+動詞」をその文の述語動詞Vだと見なす。
I ate dinner with him last night.
私は昨日、彼とディナーを食べた。
⇒ ate が述語動詞V。
I will call him up tomorrow.
明日彼に電話してみるよ。
⇒ will call が述語動詞V。
なお、いくら動詞の意味を持っているとしても、不定詞・分詞・動名詞は述語動詞Vにはならない。不定詞・分詞・動名詞をまとめて準動詞と言うが、準動詞については以下の記事で解説しているので、そちらを参照してほしい。
※参考記事:準動詞とはいったい何なんだ!?英文法を勉強中なら知っておこう
述語動詞V
・助動詞がなければ、動詞1つが述語動詞V
・助動詞があれば、助動詞+動詞で1つのV
・準動詞は述語動詞にはなれない
目的語Oとは?
目的語Oとは、他動詞や前置詞の後ろに必ず必要な名詞のことだ。
「他動詞の後ろには、なぜ名詞がなくてはいけないのか?」については、以下のページの動画で詳しく解説している。
また、主語Sの場合と同様に、名詞句や名詞節が目的語Oになることもある。
私はあなたの考えが好きだ。というのも、とても独特だからね。
⇒ your idea が他動詞 like の目的語Oになっている。
彼女はいつも自分の犬について話をする。
⇒ her dog が前置詞 about の目的語Oになっている。
君にそのことを伝えるのをすっかり忘れてたよ。
⇒ 名詞的用法の不定詞(名詞句の一種)to tell you about that が他動詞 forgot の目的語Oになっている。
目的語O
・他動詞や前置詞の後ろの部分
・目的語Oになれる品詞は「名詞」だけ
補語Cとは?
補語Cとは、簡単に言うと「主語Sや目的語Oとイコール関係にある部分」のことだ。補語Cになることができる品詞は形容詞か名詞のいずれかで、補語Cの大半は形容詞だという認識を持っておいて問題ない。
なお、tall や kind といった純粋な形容詞の他に、形容詞的用法の不定詞や分詞などの形容詞句が補語Cになることもある。
とても幸せそうだね。
⇒ happy が第2文型の補語Cになっていて、You(主語S)= happy(補語C)という関係が成り立っている。
あなたの存在が私を幸せにしてくれる。
⇒ happy が第5文型SVOCの補語Cになっていて、me(目的語O)= happy(補語C)という関係が成り立っている。
また、特に第5文型SVOCにおいては、目的語Oと補語Cの間に主語-述語の関係が成り立っていることも特徴的だ。
彼は私に電話を折り返すように言った。
⇒ 形容詞的用法の不定詞 to call him back が第5文型SVOCの補語Cになっていて、me(目的語O)と to tell him back(補語C)の間には主語-述語の関係がある。
私は小さな鳥が飛んでいるのを見た。
⇒ 現在分詞 flying が第5文型SVOCの補語Cになっていて、a little bird(目的語O)と flying(補語C)の間には主語-述語の関係がある。
ここで出てきた第5文型SVOCは、英語では特に重要な文型だ。以下の記事では第5文型の基礎について詳しく解説しているので、そちらもぜひ参考にしてもらいたい。
補語C
・第2文型SVCでは、主語Sとイコール関係
・第5文型SVOCでは、OとCの間にイコール関係(主語-述語の関係)がある
・補語Cになれる品詞は「形容詞」または「名詞」
修飾語Mとは?
修飾語Mとはその名の通り「何かを修飾している部分」のことで、名詞を修飾する形容詞と、動詞などを修飾する副詞がその代表だ。
また、単語一語の形容詞や副詞に限らず、形容詞句・形容詞節や副詞句・副詞節が、修飾語Mになることも非常に多い。
彼は私にかわいいカバンを買ってくれた。
⇒ 形容詞 pretty が名詞 bag を修飾する修飾語Mになっている。
※このように単語一語の形容詞(pretty)が名詞を修飾している場合、実際には a pretty bag で一つの目的語Oだと見なす方が実用的な考えだと思う。
これを入れるビニール袋をもらえますか?
⇒ 形容詞的用法の不定詞(形容詞句)to carry them in が名詞 bag を修飾する修飾語Mになっている。
彼に明日会うんだよ。
⇒ 副詞 tomorrow が動詞 see を修飾する修飾語Mになっている。
若い頃にはよくドライブに行っていたものだよ。
⇒ 副詞節 when I was young が動詞 drive を修飾する修飾語Mになっている。
修飾語M
・何かを修飾している部分
・修飾語Mになれる品詞は「形容詞」または「副詞」
さいごに
いかがだっただろう。
品詞や文の要素について理解しておくことは、英語の勉強を効率良く進めるために必要なことだ。
最後にもう一度、ここでのポイントをまとめておくので、よく定着させてほしい。
・主語Sになれる品詞は「名詞」だけ
・目的語Oになれる品詞は「名詞」だけ
・補語Cになれる品詞は「形容詞」と「名詞」
・修飾語Mとして働く品詞は「形容詞」と「副詞」
ここがわかると英語の勉強が加速する