助動詞 must の3つの意味と使い方|have to との違い【例文満載】
must は主観的な義務(〜しなければならない)や強い推量(〜するに違いない)を表す助動詞だが、その否定形( must not )は禁止(〜してはいけない)の意味になるという特徴もある。
ここでは、have to(〜しなければならない)との違いなどにも触れながら、must の意味と使い方を学んでいこう。
CONTENTS
助動詞 must の3つの意味と例文
助動詞の must には、
1. 主観的な義務(〜しなければならない)
2. 強い推量(〜するに違いない)
3. 禁止(否定形の must not で/〜してはならない)
という3つの意味がある。それぞれ、実用的な例文も交えながら見ていこう。
1. 主観的な義務
have to との違いはこのあと学ぶとして、まずは主観的な義務(〜しなければならない)を表す must を使った例文をいくつか見てみよう。
(今晩までに報告書を書き終えなくちゃ、週末を空けるために。)
(安全のために自転車に乗るときはヘルメットを着けないといけないよ。)
(私たちは2時間前に空港に着かないといけないよ、チェックインと保安検査を確実にするために。)
こうした義務を表す must からは、話し手の意思や意見といった主観的なニュアンスが感じられる。
must と have to の違い
must が「主観的な義務」を表すのに対して、have to は「客観的な義務」を表す傾向にある。
must の意味として、辞書や参考書には「〜しなければならない」と載っていることが多いが、主観的なニュアンスに寄せるなら「〜しなきゃ」「〜しなくちゃ」という言い回しで押さえておくのもオススメだ。
(〜しなきゃ、〜しなくちゃ)
I must finish this report by tonight in order to free up my weekend.
(今晩までに報告書を書き終えなくちゃ、週末を空けるために。)
(〜しなければならない)
I have to finish this report by tonight because my boss expects it.
(今晩までに報告書を書き終えなければならない、上司がそう期待しているからね。)
ただ、実際のコミュニケーションの中では、こうした違いが意識されないことも多いので、must と have to の違いを気にし過ぎないことも重要だ。
注意|否定的な意味は don’t have to で表す
なお、否定的な意味の義務(〜する必要はない)は、must not ではなく don’t have to や don’t need to 、あるいは助動詞の need を使った need not という形で表現しよう。
↓ 否定的な意味にするなら……
I don’t have to finish this report by tonight, because the deadline is next week.
(今晩までに報告書を仕上げる必要はないんだ、締め切りは来週だからね。)
↓ 否定的な意味にするなら……
You don’t have to wear a helmet when cycling in the calm park.
(静かな公園をサイクリングするときには、ヘルメットをつける必要はありません。)
↓ 否定的な意味にするなら……
We need not arrive at the airport three hours in advance, as it’s a domestic flight.
(私たちは3時間前に空港に着く必要はないよ、国内線だからね。)
must not は禁止(〜してはならない)の意味になる(後述)ので、注意が必要だ。
2. 強い推量
助動詞の must は強い推量(〜するに違いない、〜するはずだ)を表すこともある。
(彼女は私たちの秘密を知っているに違いない。)
(彼はもう仕事に行っているに違いないよ、車が駐車場にないから。)
(道は合っているはずだよ、橋が地図上の表記と同じだから。)
must が義務(〜しなければならない)なのか推量(〜するに違いない)なのかは、文脈から判断しよう。(文脈情報が足りなければ、義務なのか推量なのかが判別できないこともある。)
注意|否定的な意味は cannot で表す
なお、否定的な意味の推量(〜するはずがない)を表す場合には、must not ではなく cannot を使おう。
↓ 否定的な意味にするなら……
She cannot know about our secret.
(彼女が私たちの秘密を知っているはずがない。)
↓ 否定的な意味にするなら……
He cannot be at work already, because his car is in the parking space.
(彼が仕事に行っているはずはないよ、車が駐車場にあるんだから。)
↓ 否定的な意味にするなら……
This cannot be the right road, as the bridge doesn’t match the map's description.
(正しい道のはずないよ、橋が地図上の表記と違うんだから。)
ここも must not だと禁止(〜してはならない)の意味になるので、注意が必要だ。
3. 禁止(否定形の must not で)
must not(短縮系は mustn’t )は禁止(〜してはならない)の意味になる。
must に義務や推量の意味があるからと言って、must not( mustn't )が否定的な義務(〜する必要はない)や否定的な推量(〜するはずがない)になるわけではないので、気を付けよう。
(街中を運転するときは制限速度を超えてはならない。)
(外出前にはコンロの火を消すのを忘れてはならない。)
(安全のために子供は交通量の多い道のそばで遊んではいけない。)
なお、must not(〜してはならない)はルールなどを背景にした強い禁止を表すものだ。友人などにアドバイスをするような比較的フラットな場面では、should not(〜しない方がいい)を使う方が適切だ。
“must have 過去分詞” の意味
“must have 過去分詞” は「〜したに違いない」という意味で、過去のことを推量するときの形だ。
(彼は渋滞を避けるために別の道を通ったに違いない。)
“must have 過去分詞(〜したに違いない)” について、詳しくは以下のページで学んでおこう。
さいごに|英文法をマスターしたいあなたへ
ここでは、助動詞 must の意味や have to との違いについて学んだが、英文法(語順のルール)は読解力や表現力の土台になるものだ。
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きっと、英文法への苦手意識を克服するキッカケになるはずだ。