英語を勉強中の人へ!比較級の構文3つを15分でマスターできちゃう話
形容詞や副詞の最後に「-er」を付けたり、直前に「more」を添えたりしたものを比較級という。
まず、英語の比較級を勉強する上で、基礎として外せないポイントが6つほどある。
ここでは、その比較級の基礎について6つのポイントを復習して、さらには、比較級を含む3つの構文についてお話ししていこう。
ここでの話を通して、英語の文法力にさらに磨きをかけてほしい。
CONTENTS
知らなきゃヤバい、比較級「6つの基礎」
比較級を攻略する上で、基礎として押さえておきたいのは、次の6つだ。
1. 短い形容詞には「-er」、長めの形容詞には「more」を付ける
2. thanは接続詞だから、後ろにはSV構造が来る
3. 同じような文じゃないと、比べられない!
4. 「差」を表すなら、前置詞byを使おう
5. 「-or」で終わる特殊な比較級では、thanじゃなくてto
6. shyを「shier」ではなく「more shy」にする場合
4~6が「知識」であるのに対し、1~3は比較級の基本的な「考え方」に関する内容で、その分、重要度も高い。
もちろん、ここに挙げた見出しだけではピンとこない人がほとんどだと思う。それぞれについて、以下の記事にて詳しく説明しているので、まずはそちらの内容をしっかりと確認しておいてほしい。
※重要記事:英語の「比較」が苦手な人へ!比較級で知っておくべき6つのこと
その上で、比較級を含む重要な構文を3つ見ていくことにしよう。
1. (all) the 比較級 for A
世界中のどこを見渡しても、完ぺきな人間なんていない。むしろ、ちょっと抜けたところがある方が、可愛げがあって愛着も湧くものだ。
I like her all the better for her faults.
私は彼女に欠点があるから、その分いっそう彼女が好きだ。
ここでのforは「原因・理由」を表す前置詞だ。前置詞forの代わりに接続詞becauseを用いて、次のように表現することもできる。
I like her all the better because she has some faults.
私は彼女に欠点があるから、その分いっそう彼女が好きだ。
さて、この構文のポイントは「the」という単語の使い方にある。普通は、「the book」や「the girl」のように、名詞の前に置いて「冠詞」として使うのが一般的だが、この構文における「the」は、実は冠詞ではない。「その分」という意味を持つ副詞のtheなのだ。後ろに名詞が置かれておらず、副詞wellの比較級betterが置かれていることから、ここでのtheが副詞だと判断できる。
I like her all the better …
いつもに比べると特殊なtheではあるが、文の前半部分では「私は彼女のことがその分いっそう好きだ」ということが述べられている。そして、ここで聞き手として気になるのが、
「その分って、どの分だよ!?」
ということだろう。それが、前置詞forや接続詞becauseの後ろで述べられているのである。
I like her all the better for her faults (because she has some faults).
私は彼女のことがその分いっそう好きだ!(その分というのは)彼女の欠点が原因となっている分なのだがね。
これをギュッとコンパクトにしたものが、「私は欠点があるのでその分いっそう彼女が好きだ」という和訳だ。副詞のthe(その分)を含む表現として押さえておこう。
なお、ここでのallは「いっそう」という意味を担う強調の副詞で、省略されることもある。
none the less for A
今お話しした「all the better for A(because SV)」と似たような表現に「none the less for A(because SV)」というものがあるのだが、こちらはどんな意味なのだろう?
It is none the less true because it sounds strange.
先ほどの経験を活かして考えてみよう。やはりここでの「the」も冠詞ではなく副詞のthe(その分)だ。後ろに名詞が見当たらないことから、そう判断できる。soundsというのは「に聞こえる」という意味の動詞。ここで、いったん否定語のnoneは無視して和訳をしてみよう。
It is
奇妙に聞こえるので、それはその分いっそう真実ではない。
lessは否定語little(ほとんど~ない)の比較級なので、「the less true」の部分だけで「その分いっそう真実ではない」という否定的な意味になる。
これに、先ほど無視した否定語noneの意味を加えてみよう。
It is none the less true because it sounds strange.
奇妙に聞こえるので、それはその分いっそう真実ではないかと言うとそうではない。
このままではスッキリしない日本語だが、おわかりだろうか?わかりやすく言い換えると、こうだ。
It is none the less true because it sounds strange.
奇妙に聞こえるけれども、それでもなおそれは真実なのだ。
このように、「none the less」というのは「それでもなお」という意味の肯定的な表現だということを覚えておこう。
2. the 比較級 ~, the 比較級 …
こちらの「the 比較級 ~, the 比較級 …」という表現はとても印象的な形をしているので、何となく覚えている人も多いのではないだろうか?「~すればするほど、その分…する」という意味の表現だ。
The older we get, the weaker our memory becomes.
年を取れば取るほど、記憶力は弱くなる。
この何ともテンポのよい表現では、注意すべきポイントが2つある。2つのtheが異なる働きをしているという点と、語順が変則的になるという点だ。1つ準備をした上で、順番に整理していこう。
準備:「主節」「従属節」という言葉について
この先、「主節」や「従属節」という言葉を説明上使って行きたい。「節」というのはけっこう大事な文法用語で、簡単に言うとSVの形が見受けられるカタマリのことだ。これを踏まえて、まずは主節・従属節という言葉を次のように押さえよう。
主節…それだけで意味がわかるSVのカタマリ
従属節…それだけじゃ意味がわからないSVのカタマリ
例えば、次のような例文では、カンマ(,)の前後、どちらが主節でどちらが従属節だろう?
When I was driving on the road, I saw the accident.
道路を走っていたときに、私はその事故を見かけた。
「I saw the accident」という部分は「私はその事故を見かけた」という訳となり、それだけ意味が通じる。こちらが主節である。
一方で、「When I was driving on the road」という部分は「道路を走っていたときに……」という訳になるが、これだけでは意味が通じない。「道路を走ってたとき、何やねん!」というツッコミが入っても仕方がないだろう。こちらが従属節に当たる。
そしてこのように、特に従属節というのは接続詞(今回ならWhen)で始まるという特徴を持つので、主節・従属節というものを、それぞれ次のように理解することもできる。
主節…接続詞のない、むき出しのSV構造
従属節…「接続詞+SV」というカタマリ
少しずつでいいので、主節・従属節という言葉にも慣れて行ってほしい。
注意点1. 2つのtheの働きが異なる
少し準備が長くなったが、本題に戻ろう。
The older we get, the weaker our memory becomes.
年を取れば取るほど、記憶力は弱くなる。
この例文にもSV構造が2ヶ所に含まれているが、どちらが主節でどちらが従属節だろうか?
「記憶力は弱くなる」という部分だけで意味が通じる「the weaker our memory becomes」が主節で、「年を取れば取るほど……」という部分だけでは意味が通じない「The older we get」が従属節だ。
そして先ほど触れたように、従属節というのは接続詞で始まるという特徴を持つ。「The older we get」のTheは、接続詞の働きを持っているTheなのだ。
一方、「the weaker our memory becomes」のtheは、「その分(年を取る分)」という意味を持つ副詞のtheだ。1つ目の構文「all the 比較級 for A」でも使われていた副詞のtheが、ここでも出てきている。
このように、「the 比較級 ~, the 比較級 …」という表現での2つのtheは、それぞれ「接続詞」「副詞」というまったく異なった働きを持つものなのだ。
注意点2. 語順が変則的である
「the 比較級 ~, the 比較級 …」という表現で注意すべき2つ目のポイントは、語順が変則的であるということだ。
「the+比較級」が主節・従属節それぞれの文頭に置かれているが、これは本来のポジションではない。
The older we get, the weaker our memory becomes.
従属節(The older we get)の動詞getは「~になる」という意味で、普通は「I got sick(病気になった)」や「She got angry(彼女は怒った)」などのように、後ろにgetやsickといった形容詞が置かれるものだ。主節(the weaker our memory becomes)の動詞becomeも同様である。
けれども今回、本来getやbecomesの後ろに置かれるべき「older」や「weaker」が、それぞれ先頭に回って来ている。
このように、「The+比較級」が先頭にやって来るため、本来の語順とは少し違った語順となるという点にも注意しておこう。
3. no more ~ than/no less ~ than
比較級を含む表現のうちもっとも厄介なのは、この「no more ~ than」や「no less ~ than」という表現ではないだろうか。
A whale is no more a fish than a horse is (a fish).
鯨が魚じゃないのは、馬が魚じゃないのと同じだ。
こうやって、典型的な例文として「鯨」がよく登場するので、俗に「鯨の構文」と呼ばれたりもする。
さて、さまざまな考え方・説明の仕方がある「鯨の構文」だが、私は「no」という否定語に注目するのが一番わかりやすいのではないかと思う。
「no」というのはかなり強い否定語で、日本語の「とんでもない」みたいなものだ。ここで、「とんでもない」という日本語を使うときの感覚をイメージしてほしい。
このとき、この男性はどんな気持ちで「とんでもない」という言葉を発しているのだろう?「ある一定レベル以下しかオーディションを受ける気はなかった」と伝えたいのか、それとも、「オーディションを受ける気はちょうどこれくらい(ゼロ)だった」と伝えたいのか。もちろん、後者である。
もう一つ例を挙げよう。
こちらも、「自分の能力はまだちょうどこれくらいだ」ということを伝えている言葉だ。
このように、「とんでもない」という言葉は、「以上・以下」ではなく「ちょうどこれくらい」というイコール関係を表す言葉なのだ。これを踏まえて、鯨の構文に戻ってみよう。
A whale is no more a fish than a horse is (a fish).
比較級moreに惑わされてはいけない。noという強い否定語に注目しよう。
「A whale is no more a fish ……」の部分で言っているのは、「鯨が魚だなんてとんでもない!」ということだ。そして、「鯨が魚だなんてとんでもない!」という言葉を聞いた瞬間に気になるのは、「どれくらいとんでもないか?」ということだ。それがthanの後ろ(a horse is a fish)で述べられている。「馬が魚だと言ってしまうのと同じくらい」とんでもないのだ。
A whale is no more a fish than a horse is (a fish).
鯨が魚だなんてとんでもない!馬が魚だと言ってしまうようなものだよ。
結局、鯨の構文で注意すべきなのは、moreやthanに「~より・以上・以下」という意味が含まれていないということ。noが表す「とんでもない・ありえない」という意味が強く反映され、「ちょうどこれくらいありえない」というイコール関係を表す表現だということを覚えておこう。
「no less ~ than」も同じように考えられる
A whale is no less a mammal than a horse is (a mammal).
moreではなく、否定語のlessが使われたこちらの表現も、同じように考えることができる。
lessは否定語なので、「A whale is no less a mammal ……」の部分では「鯨が哺乳類じゃないなんてとんでもない!当然、哺乳類でしょ!」ということが述べられている。「じゃあ、どれくらい当然なのか?」と言うと、than以下(a horse is a mammal)にご注目。「馬が哺乳類なのと同じくらい当然」なのだ。
A whale is no less a mammal than a horse is (a mammal).
鯨が哺乳類じゃないなんてとんでもない!当然、哺乳類でしょ!(どれくらい当然かと言うと)馬が哺乳類なのと同じくらいね。
最後に念を押すが、ここでのthanも「~より・以上・以下」という意味ではない。先入観を捨てて、鯨の構文は「~と同じくらい」という意味のイコール関係を表す表現だということを再確認しよう。
まとめ
いかがだっただろう。今日は比較級を含む3つの構文について勉強した。
・ all the 比較級 for A
・ The+比較級, the+比較級
・ no more ~ than/no less ~ than
かなり濃い内容だったと思うので、どこかでもう一度しっかり復習してもらいたい。
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