なぜ「時や条件を表す副詞節」では未来形を現在形にするのか?

英文法英文法の基礎
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英語を学んでいると、「時や条件を表す副詞節」では未来形を現在形にするという、一見謎めいた、けれども、とても重要な英文法(語順のルール)に出会うことがある。

ここでは、単なる丸暗記ではなく、「なぜそうなるのか?」に注目することで、この謎を解き明かしていこう。

CONTENTS

副詞は動詞を修飾する

「時や条件を表す副詞節」では未来形を現在形にするという英文法(語順のルール)を理解するために、まずは副詞の働きを簡単に確認しておこう。

副詞には「動詞を修飾する」「形容詞を修飾する」「副詞を修飾する」「文全体を修飾する」という4つの働きがあるが、中でも重要なのが「動詞を修飾する」という働きだ。

- 副詞は動詞を修飾する -

The package will arrive tomorrow.
(荷物は明日届くだろう。)

※副詞 tomorrow が動詞 will arrive を修飾している。(明日 → 届く)

I always drink coffee in the morning.
(いつも朝にコーヒーを飲むんだ。)

※副詞 always が動詞 drink を修飾している。(いつも → 飲む)

こうした英文法の基礎を踏まえて、なぜ「時や条件を表す副詞節」では未来形を現在形にするのかを見ていこう。

未来形を現在形にするのは「副詞節」だから

「時や条件を表す副詞節」で未来形を現在形にするのは、修飾先の動詞が未来形なら、副詞節も「未来のこと」だとわかるからだ。

If it rains, I will stay indoors.

(雨が降るなら、家にいます。)

○ rains(現在形)
× will rain(未来形)

※副詞節 If it rains は動詞 will stay を修飾している。(もし雨なら → いる)

Please call me when you reach the airport.

(空港に着いたら私に電話してください。)

○ reach(現在形)
× will reach(未来形)

※副詞節 when you reach the airport は動詞 call を修飾している。(空港に着いたら → 電話する)

※命令文は純粋な未来形ではないが、ニュアンスとしては「未来のこと」を表している。

「『時や条件を表す副詞節』では未来形を現在形にする」という英文法(語順のルール)は、単に丸暗記するものとして紹介されがちだが、副詞が持つ「動詞を修飾する(動詞と繋がっている)」という働きに注目することで、「わざわざ未来形を使う必要もないな」と理解することができる。

未来形を現在形で表す例文

それでは、未来形を現在形で表す例文をいくつか見てみよう。

If it rains, I will stay indoors.

(雨が降るなら、家にいます。)

Please call me when you reach the airport.

(空港に着いたら私に電話してください。)

You should visit the museum before you leave the city.

(街を出る前に、その博物館に行った方がいいよ。)

Let's grab some dinner after the movie ends.

(映画が終わったら、ディナーを食べようよ。)

As soon as I hear from him, I'll inform you.

(彼から連絡があったら、お伝えします。)

You can use my office until I come back.

(私が戻って来るまで、事務所を使ってくれていいですよ。)

Once the clock strikes twelve, the event will begin.

(12時になったら、イベントが始まります。)

I will not buy the dress unless it is on sale.

(セールじゃない限り、そのドレスは買わないよ。)

未来完了形も現在完了形にする

なお、未来完了形( will have done )も未来形の一種なので、「時や条件を表す副詞節」の中では現在完了形( have done )にしよう。

I will buy a new car after I have saved enough money.

(十分お金が貯まったら、新しい車を買うよ。)

She'll probably relax when she has completed all her exams.

(彼女は本当にホッとするだろうね、試験をすべて終えたら。)

We won't start the meeting unless everyone has read the report.

(全員がその報告書を読み終えるまで、私たちはミーティングを始めません。)

「名詞節」では未来形を使う

また、副詞節ではなく名詞節のときには、未来のことは未来形で表す。特に、if と when には、副詞節ではなく名詞節を作る働きもあるので気を付けよう。

if が導く名詞節(〜するかどうか)

接続詞 if は「節の品詞」によって意味が変わる接続詞だ。

if 節が「副詞節」⇔ もし〜するならば

I'll be really happy if she comes to the party.

(彼女がパーティに来るなら、本当に嬉しいよ。)

※副詞節( will be happy を修飾)なので、現在形 comes が適切。

if 節が「名詞節」⇔ 〜するかどうか

I don’t know if she will come to the party.

(彼女がパーティに来るかどうか、わからない。)

※名詞節(他動詞 know の目的語O)なので、未来形 will come が適切。

なお、後者は間接疑問文(疑問文の意味を持つ名詞節)の一種だ。詳しくは以下のページで解説しているので、必要に応じて学んでおこう。

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when が導く名詞節(いつ〜するのか)

when も「節の品詞」によって意味が変わる言葉だ。

when 節が「副詞節」⇔ 〜するときに

Please call me when you reach the airport.

(空港に着いたら私に電話してください。)

※副詞節( call を修飾)なので、現在形 reach が適切。

when 節が「名詞節」⇔ いつ〜するのか

Please tell me when you will reach the airport.

(あなたがいつ空港に着くのかを教えてください。)

※名詞節(他動詞 tell の目的語O)なので、未来形 will reach が適切。

後者の when は疑問詞(いつ〜するのか)で、こちらも間接疑問文(疑問文の意味を持つ名詞節)を作っている。

さいごに|英文法は「品詞と文型」に注目して学ぼう

ここでは「時や条件を表す副詞節」では未来形を現在形にするということについて学んだが、英文法(語順のルール)を学ぶときには、どんな単元でも「品詞と文型」に沿って学んでいこう。

そうすれば、無理な丸暗記ではなく、理解を楽しみながら英文法(語順のルール)を身に付けられるだろう。

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