完了形の分詞構文 “having 過去分詞” の2つの意味と作り方
分詞構文は「動詞の意味を持つ副詞」の一種で、副詞節をシンプルにした表現だ。
普通、副詞節から分詞構文を作るときには、「 do → doing 」「 be → being 」のように動詞を ing 形にするが、
・動詞に「時間差」がある場合
・動詞が「完了形」の場合
には、「 do → having done 」「 be → having been 」のように「完了形」と呼ばれる分詞構文 “having 過去分詞” を使う。
ここでは、完了形の分詞構文 “having 過去分詞” のニュアンスと作り方を学んでいこう。
CONTENTS
基本のおさらい|分詞構文の作り方
副詞節から分詞構文を作るときには、
2. 同じ主語Sなら消す
3. 動詞を ing にする
という3ステップに従うのが基本だ。
詳しくは以下のページで学ぶことができるので、必要があれば、分詞構文の作り方・3つのステップを理解した上で、完了形の分詞構文 “having 過去分詞” を学んでいこう。
“having 過去分詞” を使う場合
「副詞節の動詞」と「主節の動詞」が同じ時制であれば、単純形( 単なる doing )の分詞構文を使うのに対して、次の2つの場合には、完了形( having 過去分詞 )の分詞構文を使う。
1. 動詞に「時間差」がある場合
2. 動詞が「完了形」の場合
それぞれ、詳しく見てみよう。
1. 動詞に「時間差」がある場合
副詞節の動詞:過去形( saw )
Though I saw her about a year ago, I can’t recall her name.
↓ 動詞に「時間差」があるので……
Though I Having seen her about a year ago, I can’t recall her name.
(一年くらい前に彼女に会ったけど、名前を思い出せない。)
副詞節の動詞:大過去( had bought )
I found this book really helpful, although I had bought it a long time ago.
↓ 動詞に「時間差」があるので……
I found this book really helpful, although I having bought it a long time ago.
(かなり前に買ったんだけど、この本が本当に役立つと気付いた。)
2. 動詞が「完了形」の場合
副詞節の動詞:現在完了形( has experienced )
As he has experienced so many deceptions, he is prone to suspect everyone.
↓ 動詞が「現在完了形」なので……
As he Having experienced so many deceptions, he is prone to suspect everyone.
(幾度となく騙されてきたので、彼はすべての人を疑う傾向がある。)
副詞節の動詞:過去完了形( had read )
As she had read the book, she returned it to the library.
↓ 動詞が「過去完了形」なので……
As she Having read the book , she returned it to the library.
(彼女はその本を読み終えたので、図書館へ返した。)
2つの意味の見分け方
このように、完了形の分詞構文 “having 過去分詞” には、
1. 主節の動詞との「時間差」を表す
2. 現在完了形(過去完了形)の意味を表す
という2つの働きがある。
では、どのようにして “having 過去分詞” の意味を見分けたらよいのだろう?
“having 過去分詞” の意味を見分けるためには、「過去形」と「現在完了形」の違いが理解できていれば大丈夫だ。
過去形は「現在との繋がり」が薄い
過去形は「現在との繋がり」が薄い動詞だ。例えば、次のように。
(高校のときにウェブサイトを作ったんだ。)
※過去の事例を挙げているだけで、「今」については言及していない。
現在完了形は「現在との繋がり」が濃い
一方で、現在完了形は「現在との繋がり」が濃い動詞だ。
(これまでたくさんウェブサイトを作ってきたんだよ。)
※「今もそういう仕事をしてるんだ」という含みがある。
「現在との繋がり」の濃さで判断できる
つまり、完了形の分詞構文 “having 過去分詞” が、主節の動詞との「時間差」を表しているのか、「現在完了形」のニュアンスを表しているのかは、主節の動詞との「繋がりの濃さ」が一つの判断基準になる。
(一年くらい前に彼女に会ったけど、名前を思い出せない。)
※「会ったこと」と「思い出せないこと」は繋がりが薄いので、この “having seen” は「過去形」のニュアンス。
(幾度となく騙されてきたので、彼はすべての人を疑う傾向がある。)
※「騙されたこと」と「疑う傾向がある」ことは繋がりが濃いので、この “having experienced” は「現在完了形」のニュアンス。
さいごに|動詞の時制に注目しよう
ここでは、完了形の分詞構文 “having 過去分詞” の2つの意味を学んだ。「副詞節の動詞」と「主節の動詞」の時制に注目して、
・動詞が「完了形」の場合
には、完了形の分詞構文 “having 過去分詞” を使うようにしよう。
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