英単語の覚え方・8つの手順!こういう緻密な手法を待ってたぜ!
先日、ある読者の方から「英単語の覚え方」についてご質問をいただいた。
英単語を覚えられなくて苦労している人は多いと思うので、ここでは、ご質問への回答を記事として残しておこう。
この記事を読んで得られること
- かなり詳細な「英単語の覚え方」がわかる
- 英単語の暗記を継続するための「心構え」がわかる
- 英単語の暗記に前向きになれる
ご質問「先生はどうやって英単語を覚えていましたか?」
メールの読者さんからいただいた質問は、次のようなものだった。
森先生
今晩は。先生ちょっと質問させて頂いて宜しいですか?
今英単語を覚えようとしてますがなかなか頭に入りません。先生はどのように覚えたのですか? やはり何回も言って覚えたのですか?
すみません。くだらない質問で申し訳ありません。もしよかったら教えて下さい。
一般的には、「英単語の覚え方」というと、どうしてもその「方法」に目が行くと思う。
★1時間に何個くらいを覚えるのが理想的か?
★声に出して覚えるのがいいのか、書いて覚える方がいいのか?
★オススメの単語帳は?今ならアプリを使った方がいいの?
など、学習者としては気になるところが盛りだくさんだ。
ただ、私自身の経験を振り返ると、「どういった意識で日々の英単語の暗記に取り組んでいたのか」という部分が、単語を覚えられない人と大きく違っていたように思う。いわゆる、マインド的な部分だろうか。
英単語の覚え方を知っても、それを実行・継続できなければ意味がない。
そこで、英単語の覚え方を「マインド編」「テクニック編」の二部に分けてお話ししよう。
英単語の覚え方「マインド編」
地元で近所の大阪大学に何としても現役で行きたかった、大学受験の一年間。私は、朝1時間と寝る前の1時間を、毎日、英単語・英熟語を覚える時間に当てていた。
別に、学校に時間通りに出席することが目的ではなかったので、まずは自分の勉強を優先し、大抵は遅刻して行ったものだ。
私がどうしてそこまで「英単語の暗記」に時間をかけ、継続することができたのか?
それは、次のような5つの認識を持っていたからだ。ここでは、これらをアドバイスとしてお届けしよう。
1. インプットしただけでは「覚えた」とは言わない
どの時点で自分にOKを出すのか?
どの時点で「英単語を覚えた」と認識するのか?
まずはその基準を明確にしておこう。
例えば、目の前に英単語が100個あるとする。1時間ほどかけて、この100個の意味をすべて覚えたとしよう。この時点で「英単語を100個覚えた」と言って満足してよいだろうか?答えは、NOだ。
私自身の感覚値としては、一時的に100個覚えたとしても、どうせ次の日には50%くらいは忘れてしまっている。だから、一時的に100個覚えたとしても、それを「覚えた」とは認識しないこと。
「半年ぶりの再会だったとしても、即座にその英単語の意味を思い出せる」
これが英単語を「覚えた」と言える状態だ。そこまで辿り着いて、ようやく自分にOKを出す。こうやって、自分が満足できるレベルを高いところに置いておくからこそ、そこを目指して努力を継続できるわけだ。
2. 英単語を覚えることが「目的」ではない
私たちは、学校の授業や受験勉強を通して、
「英単語は覚えるべきものだ!レッツゴー、単語テスト!」
と言われ続けてきている。
そのため、どうしても英単語を覚えること自体が目的化してしまいがちだが、それではなかなか意欲的に勉強を進めることはできない。
そもそも英単語の暗記は、何かを達成するための「手段」であり、がんばって単語を覚えた先にどんな未来が待っているのかを知っておく必要がある。
ある程度英単語を覚えれば、受験生なら格段に長文が読みやすくなるだろう。英会話を勉強中の人なら、コミュニケーションに対する恐怖心がグッと下がるだろう。
そういった、手に入れたい未来へ辿り着くための「手段」として、英単語をしっかりと覚えていこう。
3. 暗記はそれなりに労力のかかるものである
「どうしてあの人は、あんなにサラッと英単語を覚えられるんだろう……」
「がんばっているのに、なかなか英単語を覚えられない。自分には能力がないのかも……」
こういう風に思ってしまうのは、英単語の暗記にはそれなりに労力がかかるという認識がないからだ。
私だって、大学受験のときは「1日2時間×約300日」を英単語の暗記に費やした。(もちろん知識のメンテナンス、つまり復習も含めてだが。)
焦る必要はないので、丁寧に進めて行こう。英単語の暗記は、そもそも骨の折れる作業なのだ。
4. 忘れることを前提にしておく
ドイツの心理学者・エビングハウスが提唱する「忘却曲線」というものがあるように、記憶というのは忘れられて当然のものだ。
エビングハウスによると、人は記憶した情報を「20分後に42%、1時間後に56%、1日後に74%忘れる」という。
ただ、ここで言いたいのは「だから忘れたとしても安心してね!」ということではない。
忘れて当然、ということは、繰り返し復習して当然、ということだ。後々、同じ範囲を復習する必要があることを想定しておこう。
5. 知識が増えるのを楽しむ
英単語の知識が増えること自体を楽しめれば最高だ。知的欲求にまかせて、どんどん勉強を進めることができる。
「そんなこと言われても、単語の暗記なんて楽しくないモン!」
というそこのあなた。「英単語を暗記する」という行動を自分が選択しているということに気付こう。「やらされてる感」や「義務感」を持つから楽しくないわけで、イニシアチブ(主導権)を自ら握れば、知識が増えるのを楽しむ余裕が生まれる。
自分の内面をよく見つめてほしい。きっと知的欲求が見つかるはずだ。
英単語を覚えるときに
知らないと損をする、
自動詞と他動詞の違いとは? >>
英単語の覚え方「テクニック編」
ここからは具体的に、私が大学受験のときに実践していた英単語の覚え方をご紹介しよう。
もちろん、勉強にかけられる時間は人それぞれだと思うので、あくまで一つのモデルに過ぎない。必要があれば、本質を抽出し、自分オリジナルの方法にカスタマイズしてもらいたい。
1. インプットとアウトプットを並行する
英単語の覚え方の話になると、
「黙読で覚えるのか?」
「声に出すのか?」
「書きながら覚えるのか?」
という議論になりがちだが、これは本当に人による。
私が以前働いていた進学塾でも、単語帳をジッと見つめて覚える高校生もいたし、不審者のようにブツブツ呟きながら覚える生徒もいた。
私はと言うと、なかなか覚えられない単語を、コピー用紙に書き出して覚えたりしていたものだ。(個人的には書き出すのとブツブツ声に出すのを並行していました。)
重要なのは、センター試験の英語で9割以上得点したり、国公立・私立大学を問わず志望校に合格したりしている人たちの中には、英単語を声に出して覚えていた人も、書きながら覚えていた人も、黙読で覚えていた人もいるということだ。
だから、「見る・声に出す・書く」という暗記のスタイルについては、人それぞれ、自分に合ったものを探せばいい。
ただ、暗記のスタイルがどうであれ、肝心なのはインプットとアウトプットを組み合わせるということだ。詳細に説明しよう。使っていたのは、市販の単語帳だ。
英単語を見る ⇒ 日本語の意味を頭の中で繰り返す
※大抵の単語帳では、1つの英単語に複数の意味が載っているので、それらをすべて覚えようとする。
日本語を隠して、もう一度その英単語を見る ⇒ 日本語の意味を言ってみる
※複数の意味がある場合には、そのすべてを言おうとする
ここで、次の2つの場合が考えられる。
⇒ 次の単語に進む
⇒ ステップ1へ戻り、覚え直す
ここで、単語帳の日本語の意味を見直す。
時間はかかるが、こうやって緻密に進めて行くと、確実に頭に入る。
2. 1時間でインプットできる単語数の目安を掴む
次に、先ほどの方法で1時間あたりに覚えられる単語数の目安を把握する。
最初は時速30個でもいいし、時速50個~100個の間なら上出来だろう。ポイントは、確実に覚えられる個数を目安すること。あくまでも継続できなければ意味がない。「これくらいなら毎日(定期的に)続けられそうだな」という自分なりのペースを知っておこう。
3. 必ず「確認テスト」をする
一日の英単語の勉強は、これだけでは終了しない。最後に必ず「確認テスト」をしよう。
時速50個が自分のペースだとすれば、50個を一通り学習した直後に、その50個を本当に覚えているかどうかのテストをする。このとき、覚えていなかったものをピックアップしておこう。
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4. 「確認テスト」でピックアップしたものを覚え直して、その日は終了
5. 翌日にも、前日に覚えた英単語の「確認テスト」をする
人間の頭はザルみたいなものだ。一時的に覚えたとしても、必ず忘れる。そのザルの目をなるべく詰めるために、翌日にもしっかりと復習しよう。前日に覚えた単語の意味を確認するだけなので、そこまで時間はかからないはずだ。
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ここでも、覚えきれていなかった単語をピックアップしておこう!
6. 隙間時間に覚えるのは「覚えられていなかった単語」
移動中や休み時間などの隙間時間に「よし、新たに英単語を覚えよう!」という人もいるかも知れないが、正直、あまり集中できたものではない。
隙間時間は、あらかじめピックアップしておいた「覚えの悪い英単語」の復習にあてよう。これなら、一度か二度は見たことのある単語だし、そう数も多くないはずだ。
7. 中期的にも、同じ範囲を復習する
英単語の覚え方「マインド編」の4番目でもお話ししたように、「エビングハウスの忘却曲線」というものがある。人の記憶は、1日後には74%が忘れ去られてしまうというのだ。(ちなみに、1か月後だと77%が忘却されるという。)
記憶というのはそれほど抜けやすいものなので、翌日の復習だけでなく、数週間~1か月後くらいにも、同じ範囲を復習する必要がある。
その際、もう一度インプットし直してもいいし、1か月前の知識がどこまで残っているのかを確認するのもいいだろう。
大して覚えていなかったとしても、自信を失くさないように。残っている知識はせいぜい20~30%ほどなのだから、そこから丁寧に復習することが大切だ。
8. 最低でも半年~1年は継続する
英単語を「覚えられない」と言っている人の大半は、実は、そもそも今日お話ししたぐらいの時間をかけていなかったり、復習をしていなかったりする。
英単語の暗記はそれなりに労力のかかることなのだから、少なくとも半年~1年くらいは、根気よく続けてみよう。いずれきっと、量が質に転化する瞬間がやってくる。効率の良さを求めるのは、ある程度の量をこなしてからでもよいのではないだろうか。
さいごに
いかがだっただろう。今日お話ししたのは、私個人の体験に基づいた「英単語の覚え方」だが、何か参考になるところがあれば幸いだ。
一番大切なのは、ある程度時間のかかるものだと覚悟して継続すること。単純だが、これに尽きると思う。
英単語を覚えるのに苦労しているのはみんな一緒なので、丁寧に進んで行こう。