【社会人向け】ビジネス英語の勉強法を徹底解説〜おすすめ教材も紹介〜
このページでは、私の友人でビジネス英語のコーチングをされている大和博(やまとひろし)さんに「ビジネス英語の勉強法」についてお話ししていただきます。
「部署異動になり、急に英語が必要になった」
「キャリアアップのために英語を身につけたい」
このようにビジネス英語の必要性は感じるけれど、難しそうで敬遠してしまう……。
この記事は、こんな方に向けて書いています。
「ビジネス英語」と聞くと、難しいフレーズや業界用語を使うイメージがあるかもしれません。しかし、実際には小手先のテクニックよりも、基礎をしっかり学ぶのが重要です。逆に、中学レベルの基礎を身につけるとビジネスの実践で使える英語力が身につきます。
この記事の前半では「ビジネス英語を学ぶべき理由」と「ビジネス英語のレベル」を解説。後半では「勉強法」と「おすすめ教材」を紹介します。
記事を読むと「ビジネス英語は、こんな風に学習すれば良いのか」というイメージが掴めるはずです。
社会人がビジネス英語を学ぶべき3つの理由
最初に、社会人がビジネス英語を学ぶべき理由を解説します。
1. キャリアアップにつながる
2. 収入が増える
3. 論理的なコミュニケーション力が身につく
1. キャリアアップにつながる
ビジネス英語を身につけるとキャリアアップに繋がります。なぜなら仕事のチャンスが増えるから。
最近は、日本企業の海外展開が進んでおり、海外企業相手の仕事が増えています。JETRO(日本貿易振興機構)の調査によると、日本企業の6割近くが海外進出を拡大する意向で、8割の企業が輸出強化を図ると回答しています。
出典:JETRO
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2020/0401/5108acfbc2e84313.html
筆者の勤務先でも、以前は日本企業相手の仕事がほとんどでした。しかし、数年前から急に海外企業相手の仕事が急激に増えました。
そして、海外の仕事は社内で重要なことが多いのです。なぜなら、企業が売り上げを伸ばすには海外の仕事を成功させる必要があるから。
海外の仕事に成功すると昇進につながるケースもあります。実際、筆者も海外企業とのプロジェクトで成果を出したことが認められ、昇進のチャンスを得た経験があります。
社内の昇進だけでなく、ビジネス英語を身につけると外資系企業への転職のチャンスも出てきます。
特にITの分野では、仕事のスキルは変わらなくても、英語ができるだけで仕事の選択肢が広がり収入アップのチャンスも得られます。
2. 収入が増える
先ほど説明したように、ビジネス英語ができるとキャリアアップに繋がります。以下2つのケースですね。
・社内で重要な海外プロジェクトを任され、昇進につながる
・給料の高い外資系企業に転職しやすくなる
いずれのケースでも、収入が上がりやすくなります。
実際、マクロミル(日本のマーケティング・リサーチ企業)の調査によると、英語ができる人は年収が高い傾向にあります。
出典:https://careerindex.jp/contents/column-report/ranking/1707/
筆者の場合は、海外企業とのプロジェクトで成果を出したことが認められ、昇進のチャンスを得て結果的に収入も増えました。
また、筆者はかつて転職活動をしたことがあります。その時に転職エージェントが口を揃えて言っていたことがあります。
「専門性があって、ビジネス英語ができる人は市場価値が高い」
実際、紹介された外資系企業は年収1,000万円以上の案件ばかり。結局、転職はしませんでしたが、英語ができると収入を上げやすくなると実感しました。
3. 論理的なコミュニケーション力が身につく
ビジネスを進めるには、論理的なコミュニケーションが欠かせませんよね。
それで、英語を習得すると自然と論理的なコミュニケーション力が身につきます。なぜなら、英語自体が論理的な言語だから。
どういうことか説明しますね。
たとえば日本語は「起承転結」というように、結論が最後です。小説などの物語であれば、この順番で問題ありません。
しかし、ビジネスの場合は最初に結論が好まれます。その理由は、話の全体像が見えやすいから。忙しいビジネスパーソンは結論を先に知りたがります。
日本語とは異なり英語では、次の順番で話すことが多いです。
・結論
・理由、根拠
・具体例
・再度、結論
ポイントは最初に結論を示すことと、必ず理由や根拠を伝えること。この2つを意識すると、相手に伝わりやすくなります。
だから英語で話す訓練をすると、自然と論理的なコミュニケーションが身につきます。
ビジネス英語に求められるレベル
続いてビジネス英語に求められるレベルを紹介します。
1. 中学英語の文法と単語を使いこなせる力
2. 相手の発言を聞き取れるリスニング力
3. 間をおかずに発言できるスピーキングの瞬発力
TOEICで言うと800点くらいが目安です。
「やっぱりレベル高いな……」と思いましたか? たしかに簡単ではないかもしれませんが、後で紹介する勉強法を実践すれば、誰でも到達できます。
1. 中学英語の文法と単語を使いこなせる力
1つ目は中学英語の文法と単語が使えることです。ビジネス英語に難しい文法や単語は必須ではありません。
なぜかと言うと、グローバルに仕事をしている人の大半はノンネイティブだから。世界中の英語スピーカーのうち、70%以上はノンネイティブです。彼らノンネイティブは、シンプルな英語でガンガン発言をします。
ビジネスでは難しい英語や美しい英語は不要です。きちんと言いたいことを伝え、相手とコミュニケーションをとって仕事を前に進めるのが重要。
だから、中学レベルの英語でシンプルに伝えればOKです。
「知ってる」と「使える」は別物
ここで重要なのは実践で「使える」ということ。文法や単語を「知っている」だけでは不十分です。
たとえば、次の文章を英語にできますか?
「残念ながら配送に遅れが生じており、事情は少々込み入っています。」
中学英語が使えれば、わかるはずです。
“Unfortunately, there’s been a delay in the delivery, and It’s a little complicated.”
おそらく英文を見ると「あ、こう言えばよかったのか!」と思ったはずです。それなのにパッと英語が出てこない場合は、「知っている」英語が「使える」英語になっていないのです。
自分の専門分野の単語を覚える
中学の英単語に加えて覚えておくと便利なのが、自分の専門分野の英単語です。なぜなら、専門用語のキーワードがわかるだけでも、会話についていきやすくなるから。
専門用語と聞くと難しそうに思えるかもしれませんが、普段仕事で使っている馴染み深い言葉なので、意外とすぐに覚えられます。
金融、IT、マーケティングなど自分の専門分野で使われる英単語を覚えると、すぐに実践に活かせるのでおすすめです。
普段、仕事で英語を使う場合は、わからない単語に出会った時に調べるだけでも専門分野の英単語が着実に増えていきます。
2. 相手の発言を聞き取れるリスニング力
次に、相手の発言を聞き取れるリスニング力が必要です。その理由は、ミーティングで相手の話を理解できないと仕事にならないから。
相手の発言を聞き取れないせいで、合意事項を勘違いしたり、交渉の条件を間違えたりしたらビジネスはうまくいきません。
TOEICテストの音声を聞き取れるレベルを目指す
具体的にどのくらいのリスニング力があれば良いかというと「TOEICテストの音声が無理なく聞き取れるレベル」です。
TOEICの音声は、普段ネイティブが話す速度よりゆっくりです。しかしネイティブに「少しゆっくり話してもらえますか」とお願いするとTOEICの音声と同じくらいの速度で話してもらえます。
まずはTOEICの音声を聞き取れるレベルを目指しましょう。
3. 間をおかずに発言できるスピーキングの瞬発力
最後はスピーキングの瞬発力です。
ネイティブのような綺麗な発音は必要ありませんが、言いたいときに言いたいことをバシッと言える瞬発力が重要。
なぜかというと、外国人とのミーティングでは参加者がどんどん発言をするので、タイミングを逃すと言いたいことを言えなくなってしまうから。
そうなると何も発言できずに終わってしまい「こいつは何の意見を持っていない」と烙印を押されてしまいかねません。グローバルに仕事をする際には「発言しない人=仕事ができない人」と思われてしまいます。
ミーティングで話せず悔しい思いをした
実際、筆者もミーティングで悔しい思いをしたことがあります。
事前に筆者が調べていたトピックが話題になり、「あ、この話題については言いたいことがある!」と思いました。
しかし、英語がパッと口から出てこないせいで、他の参加者が話し出してしまい筆者は発言するタイミングを逃してしまったのです。結局、この日は一言も話せずに終わりました。
後になって「日本語ならいっぱい言いたいことがあったのに、瞬発力がないせいで一言も話せなかった……」と自己嫌悪に陥りました。
必要な時に発言するために、スピーキングの瞬発力が重要です。
ビジネス英語の勉強法
さて、ここからビジネス英語の勉強法を解説します。
1. 明確な目標を設定する
2. 英語学習の大原則を知る
3. 中学英語の文法と単語をマスターする
4. リスニング力を鍛える
5. スピーキング力を鍛える
6. 最低限のフレーズを覚える
小手先ではない本物の英語力を身につけるには、上記のステップで学習するのが効果的です。
ステップ1、2は学習を始める準備段階、ステップ3〜6が実際の学習法です。
1. 明確な目標を設定する
勉強を始める前に、明確な目標を設定しましょう。なぜかと言うと、目標を設定しないと無駄な努力になりかねないからです。
たとえば、次の例を見てください。
・英語でプレゼンができるようになりたい人
・英語メールをスラスラ書けるようになりたい人
・英語で議論や交渉ができるようになりたい人
上記3人とも目指す姿が違うので、取り組むべき学習内容が変わってきます。プレゼンができるようになりたいのに、メールの例文を暗記するのは遠回りですよね。
「そんなこと、するわけないよ!」
こう思う人もいるかもしれませんが、目標が曖昧なせいで回り道をしてしまう人が意外と多いので注意してくださいね。
2. 英語学習の大原則
効率的な英語学習の大原則は「大量のインプットと少量のアウトプット」のバランスで勉強することです。
第二言語習得論と呼ばれる学問領域があります。人が外国語を習得するプロセスを研究する学問。
この第二言語習得論の研究結果で、効率的に外国語を身につけるには「大量のインプットと少量のアウトプット」のバランスが良いと言われています。具体的にはインプット:アウトプット=7:3〜8:2程度。
・インプット:文法、語彙、リーディング、リスニング
・アウトプット:ライティング、スピーキング
ビジネス英語を学ぶときも「大量のインプットと少量のアウトプット」のバランスで取り組むのが効果的です。つまり「ビジネス英会話ができるようになりたい!」と思う人も、英会話レッスンを受けるだけでは不十分。しっかりと文法、語彙、リーディング、リスニングに取り組むのがおすすめです。
ここから、具体的な学習法について解説します。
3. 中学英語の文法と単語をマスターする
「中学英語が怪しいかも……」という場合は、文法と単語のマスターを目指しましょう。ここで大事なのは、単に文法や単語を覚えるだけでなく「使える」ようにすること。
では、どうしたら文法や単語を使えるようになるのでしょうか?
もちろん単語帳や文法書に取り組むのは素晴らしいことです。ただ「単語帳や文法書を読むだけでは覚えられない……」と感じたことはありませんか。
筆者のおすすめは、覚えたい単語や構文を使って自分で例文を作ってみることです。それも、実際のビジネスの場面をイメージするのが効果的。
たとえば “complicated” (複雑な、ややこしい)という単語を覚えたいとき。ビジネスシーンを想像して例文を作ってみましょう。
“The situation is complicated.” (状況は複雑だ。)
みたいな感じです。
作った例文を呟いてみると記憶に定着しやすくなります。この方法は、どうしても時間はかかりますが、圧倒的に記憶に残りやすくなります。「この単語や文法がどうしても覚えられない!」という場合は、試してみてくださいね。
4. リスニング力を鍛える勉強法
記事の前半で、ビジネス英語には「相手の発言を聞き取れるリスニング力」が必要だと説明しました。この章ではリスニング力を伸ばす方法を紹介します。
リスニングは3つのステップで学ぶのが効果的です。
(1) 英語ネイティブの発音の仕方を知る
(2) シャドーイングと音読に取り組む
(3) 「多読」でインプット速度を上げる
一つずつ解説します。
(1) 英語ネイティブの発音の仕方を知る
ネイティブは英語を教科書通りに発音してくれません。なぜなら「省エネ」で発音しているから。
たとえば “get it” は「ゲット・イット」ではなく「ゲリ」のように発音します。同様にビートルズの名曲 “Let it be.” は「レット・イット・ビー」ではなく「レリビー」となる。楽に発音できるからです。
このように教科書通りに発音してくれないから、読めばわかるのに聞き取れないのです。
逆に言うと「英文を読めば意味がわかるのに聞き取れない」という場合は、ネイティブの発音の仕方を身につけるとリスニング力が飛躍的にアップします。
とはいえ「ネイティブの発音の仕方をどうやって学べば良いの?」と思いますよね。
実はネイティブが発音で使っている「英語の音の変化は」5つのルールにまとめることができるんです。
※『5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる』を参考に作成
https://book.mynavi.jp/9784839971915/
まずは、英語の音の変化のルールを覚えてしまいましょう。
(2) シャドーイングに取り組む
とはいえ、音の変化の表を見ただけではピンときませんよね。英語の音の変化を定着させるのに有効なのがシャドーイングと呼ばれるトレーニングです。
※シャドーイング:英語音声の後に続いて発声するトレーニング
その理由は、実際に自分で発音できる英語は聞き取れるようになるから。
シャドーイングは次のステップで行います。
1. 教材を選び、音声と文章(スクリプト)を準備する。長くても数分の音声がおすすめ。
2. 文章を見ずに音声を聞く。
3. 文章を読み、わからない単語や表現を調べる。
4. 文章を見ながら音声を聞き、「英語の音の変化」をチェックする。
5. 文章を見ながら、オーバーラッピング(*)する。
6. テキストを見ずにシャドーイングをする。
7. シャドーイングを30回くらい繰り返す。
(*)オーバーラッピング:英語音声に重ねて音読するトレーニング
ポイントは、スピーカーになり切ってモノマネする感じで発声すること。身振り手振りをつけてもOKです。
そうすることでネイティブの発音の仕方が身につき、自然と英語が聞き取れるようになっていきます。
シャドーイングは負荷がかかるトレーニングですが効果は絶大です。「最強の英語学習法」と呼ばれることもあるので、ぜひトライしてみてくださいね。
シャドーイングのより詳しいやり方を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
※ご参考:
シャドーイング8つのコツと正しいやり方【最強の英語トレーニング】
(3) 「多読」でインプット速度を上げる
「英語の音は聞き取れるようになったけど、ネイティブのスピードについていけない……」という人におすすめなのが「多読」です。
多読とは、簡単な英文をたくさん読む練習です。
「なぜリスニンング力を強化するのに、リーディングの勉強をするの?」と思うかもしれません。
実はリーディングもリスニングも「英語をインプットして理解する」という点で、同じ脳の回路を使っています。なので、英文を早く読めるようになると、早い英語を聞き取れるようになるんです。
では、なぜ英語を早く読めないのでしょうか? それは、英語の語順で読む訓練をしていないから。
例を挙げて説明します。次の例文を読んでみてください。
“The restaurant where I had lunch was near the station.”
(私が昼ごはんを食べたレストランは駅に近かった。)
この文、どのように読みましたか?
文を前から後ろに読み進められればOKです。しかし、中には次のように読んだ人もいるのではないでしょうか。
「 “where I had lunch” の “where” は関係詞で、 “The restaurant” にかかっている。だから、『私が昼ごはんを食べたレストラン』が主語になるんだな。」
学生時代に、このような読み方を習ったはずです。このように英語を日本語の語順で読む方法を「返り読み」と呼びます。
返り読みは、文章を精読する時には役立ちます。文章構造を把握して、一つ一つ丁寧に理解していく。一方で、返り読みをしている限り英語を早く読むことはできません。
なぜかというと「英語を読む→日本語の語順に直す→日本語に訳す→理解する」のように、理解するまでに多くのステップが必要だからです。
返り読みのクセを持っている人は、聞くときも同じプロセスで英語を理解しています。「英語を聞く→日本語の語順に直す→日本語に訳す→理解する」。だからネイティブが早口で話すと脳の処理が追いつかなくなり、聞き取れなくなってしまうわけです。
なので、瞬時に英語を理解するには「返り読み」のクセを取り除くのが重要。そのために、やさしい英文を大量に読む「多読」が効果的。繰り返しになりますが、多読をする時は英語の語順で読み進めるのがポイントです。
記事の後半で多読におすすめの教材を紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
5. スピーキング力を鍛える勉強法
続いてスピーキング力を鍛える勉強法について紹介します。
(1) 英語で独り言を呟く
(2) 「瞬間英作文」に取り組む
(3) 英語の「型」で話す練習をする
(4) オンライン英会話を活用する
一つずつ解説します。
(1) 英語で独り言を呟く
英語の独り言はスピーキング力アップに効果的です。独り言も立派なアウトプットだからです。
日常生活や仕事の場面で、思いついたことを英語にする感じで取り組みます。
「次のミーティングに向けてプレゼン資料の準備をしよう」と思ったら、 “I’m going to prepare the presentation material for the next meeting.” と呟いてみる。
とはいえ、仕事に集中していると独り言を呟くのを忘れてしまうかもしれません。通勤時間や休憩時間などを使って、独り言を習慣にすると続けやすくなります。
この繰り返しで、瞬時に英文を作るスキルが鍛えられます。いつでもどこでも一人で出来るトレーニングなので、おすすめです。
(2) 「瞬間英作文」に取り組む
「中学英語の文法や単語を覚えたけど、パッと英語が口から出てこない……」という人におすすめなのが、瞬間英作文トレーニングです。
瞬間英作文は、日本語を英語に変換する回路を高速化する練習。日本語の例文を次から次へと英訳していきます。
『どんどん話すための瞬間英作文』という書籍やスマホアプリを使って練習できます。
ポイントは英文を覚えようとするのではなく、毎回ゼロから英作文すること。そうすることで、日本語→英語の変換が早くなります。
瞬間英作文の詳しいトレーニング法を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
※ご参考:
【注意】瞬間英作文のやり方を間違えると効果が出ない|正しいトレーニング法を解説
(3) 英語の型で話す練習をする
日本語に「起承転結」の型があるように、英語にも話の型があります。
1. 最初に結論を述べる
2. 続いて理由や根拠を伝える
3. 最後に、再度結論を言う
上記の通りです。結論を最後に話す日本人にとって、英語の型を身につけるには簡単ではありません。意識的にトレーニングする必要があります。
実はこの訓練には、英語を話す必要はありません。日本語で仕事の報告やプレゼンをする際に、上記の型で話す練習をすればOK。なぜなら、英語に限らずビジネスでは結論を先に伝えるコミュニケーションが好まれるから。
仕事の報告もわかりやすくなりますし、英語の型も身につくので一挙両得です。
(4) オンライン英会話を活用する
アウトプットの練習としてオンライン英会話を活用するのも良いでしょう。このときに重要なのは、レッスンを受ける目的を明確にすること。その理由は、漫然とレッスンを受けても英語力が伸びないから。
「自己紹介だけ上手になったのに、一向にビジネス英語は話せない……」なんてことになったら悲しいですよね。
具体的には次のような目的を設定するのがオススメ。
・最近覚えた単語 “contribute” を一回は使ってみよう
・関係代名詞を使って話してみよう
・「英語の型」で意見を言ってみよう
こんな感じでテーマを決めてレッスンに取り組むと、どんどんスピーキング力を伸ばせるので試してみてくださいね。
6. 最低限のビジネス英語のフレーズを覚える
ある程度、英語でやりとりができるようになってきたら、ビジネスで使えるフレーズを覚えるとコミュニケーションの幅が広がります。
注意するのは学ぶ順番です。最初に基礎的な英語力を身につけ、その後にビジネス英語のフレーズを覚えるのがおすすめ。
なぜなら、最初にフレーズ暗記に走ってしまうと、小手先のフレーズに頼ってしまい、本質的なコミュニケーション力が身につかないからです。
(1) とっさのフレーズを覚える
英語のミーティングをしていると、相手の発言を聞き取れなかったり、言いたい英語表現が出てこなかったりすることがあります。
そんな時に、ピンチを切り抜けたり時間を稼いだりするフレーズを覚えておくと便利です。
たとえば次のようなフレーズ。
“Could you repeat your question?”
(もう一度、質問を話してもらえますか?)
“I’d appreciate if you could speak more slowly.”
(もう少しゆっくり話してもらえるとありがたいのですが。)
“Let me confirm my understanding.”
(理解できているか確認させてください。)
“Let me see...”
(えーっと……)
これらを覚えておくと、とっさの場面で場をつなぐのに使えます。
(2) ビジネスで使われる略語を覚える
海外の方とメールでやり取りをしていると、多くの略語に出会います。最初は意味が分からず戸惑うかもしれません。
ビジネスでよく使われる略語を覚えておくとやり取りがスムーズになります。ここでは、よく見かけるビジネス英語の略語を紹介します。
TBD( To be determined / 後ほど決定します)
FYI( For your information / ご参考まで)
ASAP( As soon as possible / できるだけ早く)
ETA( Estimated time of arrival / 到着予定日、到着予定時刻)
N/A( 1. Not applicable / 該当なし)
N/A( 2. Not available / 該当なし)
BTW( By the way / ところで)
w/( with / 〜を含めて)
w/o( without / 〜を含まずに)
・メールで簡潔に要件を伝えるとき
・プレゼン資料など紙面の制約があるとき
などに略語を使うと便利です。
ビジネス英語勉強におすすめの教材
この章では、ビジネス英語勉強におすすめの教材を紹介します。
1. 英文法の教材
2. 英単語の教材
3. リスニング用の教材
4. スピーキング用の教材
1. 英文法の教材
英文法のおすすめ教材は2つです。
(1) 英文法の鬼100則
出典:明日香出版社( https://www.asuka-g.co.jp/book/english/en-grammar/011227.html )
1つ目は『英文法の鬼100則』という書籍です。この本が通常の文法書と違うのは、英文法のイメージやネイティブの感覚を説明している点です。
一つ例を挙げてみます。
たとえば “will” と “be going to” の感覚の違いがわかりますか? 学校教育で「どっちも同じ意味」と習った人もいるかもしれません。
『英文法の鬼100則』によると、次のような違いがあります。
・Will:心が揺らいでパタンと傾いて「よし、やろう。やるよ。」という感覚、相手が言ったことに反応して「今やると決めた」感じ
・be going to:未来に向かって事態が進んでいる感覚、客観的に粛々と事態が未来に向かって進んでいる感じ
こう見ると "will" と "be going to" は、かなりニュアンスが違うことが分かりますよね。このように、文法表現のイメージや感覚を詳しく解説してくれます。「文法を丸暗記するのが苦手……」という人におすすめです。
ちょっと分厚い本ですが、イラスト満載で読みやすいですよ。
(2) 英語学習ボックス
英語学習ボックスでは、無料講義「暗記のいらない英文法(全31回)」で英文法の基礎を学ぶことができます。
これが、めちゃくちゃ分かりやすい。1本の動画は10分程度で無理なく続けられるので、ぜひチェックしてみてください。
苦手意識のある人でも英文法が身につくように、白板を使って分かりやすく解説してくれます。
「暗記は苦手だけど、今度こそビジネス英語力を身につけたい」という方におすすめです。
2. 英単語の教材
英単語のおすすめ教材も2つあります。
(1) DUO3.0
出典:Amazon( https://www.amazon.co.jp/dp/4900790052/ )
1つ目は『DUO3.0』。DUO3.0のすごいところは、少ない例文で多くの重要単語を覚えられること。
560個の例文で、1600単語と1000の熟語をカバーしています。とっても効率的ですよね。
短期間で一気に重要単語をマスターしたい人におすすめです。
(2) キクタン
出典:アルクHP( https://www.alc.co.jp/entry/7019048 )
英単語は目で見るだけでなく、耳で聞くと記憶に残りやすくなります。子供の頃を思い出してみてください。新しい言葉を覚えるとき、周囲の大人が話す音を聞いてことばを覚えたはず。英単語も同じで、耳で聞きながら学習すると覚えやすくなります。
キクタンは耳で覚えるのに適した教材。専用アプリで音声をダウンロードすれば、いつでもどこでも隙間時間を使って単語学習を進められます。
ベーシックな単語帳なので、万人におすすめできます。
3. リスニング用の教材
続いてリスニングにおすすめの教材を紹介します。
(1) 5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる
出典:マイナビBOOKS( https://book.mynavi.jp/9784839971915/ )
タイトルの通りで、英語の音の変化のルールを学べる本です。
この本の良い所は、音声をスマホにダウンロードして実際にトレーニングできることです。
もちろんルールを知るのは大事ですが、それだけでは英語の音声変化は身につきません。音源を聞きながら、実際に自分でも発声する練習をすると、だんだんネイティブの英語が聞き取れるようになります。
※「5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる」の詳細を見る
(2) TED
TEDは著名人のスピーチを無料で聴けるサービスで、英語学習にも使えます。
スピーチの中には、スクリプト(英語の書き起こし)と日本語訳がついているものもあります。これらの音声を教材に音読やシャドーイングに取り組むと、活きた英語が身につきます。
TEDがおすすめ理由は、スピーチの内容が面白いことです。一般的なシャドーイング教材の英語はつまらないものが多いですが、TEDは超一流の人のスピーチなので、繰り返しシャドーイングをしても飽きづらい。
まずは興味を持った内容のTEDスピーチを聞いてみることをおすすめします。
(3) ラダーシリーズ(多読用)
出典:IBCパブリッシング( https://ibcpub.co.jp/ladder/books/9784794600523 )
多読におすすめなのが『ラダーシリーズ』。やさしい単語で書かれた、1時間〜2時間くらいで読める薄い本です。難易度別に1〜5のレベルに分けられており、階段を登るように少しずつレベルアップできます。
多読をする際のポイントは、英文を読む速度を測ること。「1分間に何文字読めるか?」を表すWPM (Words per minute) が指標になります。
英語初心者はWPM150を目指すのが良いと言われています。なぜならTOEICのリスニングパートの音声が、およそWPM150だから。つまりWPM150で英文を読めれば、TOEICのリスニングについていけるようになります。
ただ、英文を読むときにいちいち「1分間に何文字読んだ!」と記録するのは大変ですよね。
ラダーシリーズには1冊に使われている英単語数が書かれています。なので、1冊読むのにかかった時間を測っておけばWPMを計算できます。たとえば1冊9,000文字で、読むのに60分かかったら、WPM=9,000÷60=150となります。
ラダーシリーズは著名人の伝記など内容も面白いので、おすすめです。
※『アインシュタインストーリー、ラダーシリーズ』を詳しく見る
4. スピーキング勉強用の教材
最後にスピーキング学習用の教材を紹介します。
(1) 瞬間英作文トレーニング
出典:ベレ出版( https://www.beret.co.jp/books/detail/249 )
この記事でも紹介した『瞬間英作文』に取り組める書籍です。
この本に取り組むと、英文が口からパッと出てくるようになります。「ある程度、英語の基礎を学んだけど、なかなか話せない……」という人におすすめのトレーニングです。
(2) スピークバディ(スマホアプリ)
出典:スピークバディ公式HP( https://app.speakbuddy.me/ )
「英会話をやってみたいけど、いきなりレッスンを受けるのは恥ずかしい……」という方におすすめなのがスマホアプリの『スピークバディ』。
アプリを立ち上げるとAIキャラクターと会話ができます。「AIキャラクター相手に、まともに会話になるの?」と思うかもしれませんが、まったく問題ありません。実際、筆者も試してみましたが音声認識の精度が高く普通に人と会話をしている感覚になりました。
AI相手なので、失敗しても恥ずかしくありませんし、うまく話せるとキャラクターが褒めてくれるのでモチベーションが上がります。
1レッスンは10〜15分。オンライン英会話と違って予約不要なので、忙しい社会人でも隙間時間に取り組めます。
また、1レッスンごとに実践的な表現がテーマになっています。たとえば "for your reference.(ご参考までに)" など。この表現を使ってリスニングや英会話をしていくので、実践的なフレーズが自然と身につきます。
ビジネス英語に特化したメニューもあるので、実践的な表現をコツコツ増やせます。
1週間の無料体験があるので、ぜひ試してみてくださいね。
(3) DMM英会話
オンライン英会話には多くのサービスがありますが、筆者がおすすめするのはDMM英会話。
なぜなら「テーマ別会話」というコンテンツがあるからです。テーマ別会話では、決まったトピックに対して自分の意見を話す練習ができます。
具体例を挙げて説明します。
たとえば「E-books vs Paper books」というお題のとき。次の主張に対して、賛成か反対かを英語で話します。
1. Paper books give a more personal reading experience than e-books.
(紙の本では電子書籍よりも、個人的な読書体験が得られる。)
2. E-books are better for the environment than paper books.
(電子書籍は紙の本より環境にやさしい。)
3. Paper books help readers take a break from the world of technology.
(紙の本を読むとテクノロジーの世界から離れることができる。)
4. E-books are cheaper.
(電子書籍の方が安い。)
5. Paper books are more convenient.
(紙の本の方が便利だ。)
出典:DMM英会話「E-books vs Paper books」
ポイントは単に賛成、反対を伝えるだけでなく、理由をセットで話すこと。
1. 最初に結論を述べる(賛成か反対か)
2. 続いて理由や根拠を伝える
3. 最後に、再度結論を言う
先ほど説明した「英語の型」とまったく同じですね。テーマ別会話で練習をすると、英語の型が身につくのです。
英語の型を身につけると、ビジネスシーンでの議論や交渉が怖くなくなります。英語の基礎力が身についたらチャレンジしてみてくださいね。
まとめ
この記事ではビジネス英語に求められるレベルや、具体的なビジネス英語の勉強法について解説しました。
実は「ビジネス英語」といっても、業界用語や専門用語を覚えるのは本質ではありません。基礎をしっかり身につけることで、自ずとビジネスで通用する英語力が身につきます。逆に、業界用語や小手先のテクニックばかり覚えても実践では使い物になりません。
この記事で紹介した勉強法を実践して、ぜひビジネスで使える英語を身につけてくださいね。
改めて、ビジネス英語の勉強法のポイントをまとめておきます。
1. 明確な目標を設定する
2. 英語学習の大原則を知る
3. 中学英語の文法と単語をマスターする
4. リスニング力を鍛える
5. スピーキング力を鍛える
6. 最低限のフレーズを覚える