【質問回答】これも a と the の違い!英語の冠詞がグッと身近になる話

英文法
最終更新日:
冠詞aとtheの違い-1

先日、英語学習ボックスの無料動画授業を利用されている方から、aとtheの違いについてのご質問をいただいた。

今日は、そのご質問と回答をシェアすることで、冠詞(a, the)に対する理解を一歩深めていこう。

冠詞(a, the)は私たち日本人がもっとも苦手とするものの一つなので、ぜひ参考にしてほしい。

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「この a は the じゃダメなんですか?」

冠詞aとtheの違い-1

メールでいただいたご質問は、次のようなものだった。

(ここから)
 
a world と the world の違いについて
 
To be yourself in a world that is constantly trying to make you something else is the greatest accomplishment.
あなたのことを絶えず他の何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けることは、大変な偉業である。
 
この文について、英文校正アプリである Grammarly が、「a world は(正しくは)the world だ」と言っています。どうして the world ではなく a world になっているのでしょうか?難しい回答になると思いますが、よろしくお願いします。
 
(ここまで)

 
細かなところに思うかもしれないが、こういった部分にも気を配ることが、冠詞の感覚を養ってくれる。
 
題材となっている文自体が少々複雑なので、まずは全体の文構造を簡単に確認した上で、a と the の違いについてお話ししていくことにしよう。

文構造の簡単な解説

To be yourself in a world that is constantly trying to make you something else is the greatest accomplishment.
あなたのことを絶えず他の何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けることは、大変な偉業である。

まず、この文では "To be yourself …" で始まる名詞的用法の不定詞が主語Sになっている。

"… something else" までが大きな不定詞だ。

To be yourself in a world that is constantly trying to make you something else is the greatest accomplishment.

次に、この不定詞の中の関係詞節に注目しよう。

a world を先行詞とする関係詞節「that is constantly trying to make you something else」だ。
 
関係詞節の中の動詞 make は第5文型(SVOC)をよく導く動詞で、ここでも「you(O)を something else(C)にする」というような第5文型(SVOC)となっている。
 
「第5文型ってなに?」という人はこちら
>> 第5文型SVOCを100%理解できるようになる話

 
こういった文構造を押さえた上で、

・主語から訳す
・関係詞節を前の名詞にかけて訳す

という基本に忠実に訳せば、

「あなたのことを絶えず他の何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けることは、大変な偉業である」

という和訳にも自然と辿り着けるだろう。

回答「theではなくaが使われている理由」

冠詞aとtheの違い-2

それでは本題に入ろう。ご質問いただいた英文で、
 
「どうして定冠詞 the ではなく、不定冠詞 a になっているのか?」だ。
 
こちらについては、質問者さまへの回答をほぼそのまま載せておくので、参考にしてほしい。

(私の回答)
 
メッセージとご質問、ありがとうございます。
 
さて、定冠詞 the ではなく不定冠詞 a を用いる理由ですが……
 
基本的に、定冠詞 the には限定する働きがあることはご存じでしょうか?
 
簡単な例で言うと、
 
Give me the apple.(そのリンゴちょうだい!)
⇒ どのリンゴなのか、指定されている。
Give me an apple.(リンゴちょうだい!)
⇒ どのリンゴなのかは、指定されていない。
 
というところですね。
 
ここで、問題の
 
To be yourself in a world that is constantly trying to change you something else is the great accomplishment.
 
ですが、
 
人ひとりひとりが存在している「世界」というものは、人によってさまざまですよね。
 
・家族のために大きな組織の中で動き回るサラリーマン
・仕事と育児に奮闘しているお母さん
・アルバイトで生計を立てながら夢を追うバンドマン
・ネットの仕組みを駆使してカフェで仕事をするノマドワーカー……
 
確かに、関係詞節 "that is constantly trying to change you something else" によって修飾されている名詞 world ですが、ここで定冠詞 the を使ってしまうと、「それがどのような世界なのか」がたった一つに限定されてしまうわけです。
 
「人それぞれ、住んでいる世界は違う」
 
こういった感覚が筆者にあるため、不定冠詞 a になっているんだと思います。
 
(ここまで)

さいごに

いかがだっただろうか。確かに、関係詞節というものは「先行詞を限定する(先行詞がどういったものなのかを明確にする)はたらき」を持つが、だからと言って、必ずしも先行詞に定冠詞 the が付くわけではない。

今回のご質問とそれに対する回答が、a と the の違いを理解する一つのキッカケになれば幸いだ。
 
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