今流行りのLCCとは?格安航空会社は本当に危ないのか!?

東京~佐賀 737円!
関空~上海 999円!!
東京~ケアンズ 14,000円!!!
さて、何の数字でしょうか?
小包を送るにはちょっと安いしな~。通話料には高い。んー…
これ全て人間を運ぶ飛行機の航空券代です。
ウソだと思われる方はぜひ検索してみて下さい。今これを執筆中に私が検索して出てきた運賃です。
ちなみに例えば東京~大阪間をJALとかANAといった皆さんよくご存知の会社で飛ぶとなると、安く手に入れてもせいぜい9,000円弱です。(2015年1月現在)
一方で先ほど示したものはケアンズ(オーストラリア)という長距離便でこのお値段なので、もはや身の危険を感じるレベルですね(笑)
これらは全て今話題のLCC(格安航空会社)によって売り出されているセール運賃です。もちろんすべての座席がこの運賃で販売されているわけではなく、一部の座席を話題作り(宣伝)として販売しているというのがカラクリになります。
しかし通常の運賃でも既存の会社に比べると運賃は半分以下!それが日本語で格安航空会社と呼ばれるゆえんです。
ところが日本では「安かろう、悪かろう」という言葉があるように、安いのには何か訳があると考える風潮が強いように思います。
命を預ける飛行機に何か「ワケ」がある。だんだん危ない匂いがしてきましたね~
LCCは危険なのか…どうなのか…
そこで今回は、「安く海外に行きたい!」「どうやったら安い航空券を手に入れられるのか?!」ということを追い続けている私・藤好が、LCCに乗りまくった経験を元に、まずは皆さんにLCCを理解してもらって、安心して利用してもらいたいという思いをぶちまけようと思います。
(ライティング・撮影/藤好)
CONTENTS
LCCとは何者なのか?~コースがお好き?それともアラカルト?~
まずはLCCが一体何者なのか。そこをわかりやすくご説明します。
と、その前に、LCCに相対するところの会社をFSAとします。どういう意味かというのは後ほど説明しますので、安いのがLCC、今言ったFSAとはJALやANAを思い浮かべておいて読み進めてください。
ではLCCがなぜ安いかと言うと
LCC = アラカルト料理
FSA = コース料理
だからです。
わかりましたでしょうか?
え?わからない?
大丈夫。それが普通です。
LCCとは格安航空会社と訳されていますが、元の英語がLow Cost Careerであることからもわかるように、正確に訳せば「低コスト会社」となります。
つまりコストを徹底して省いている点が特徴です。それも本当に細かい所まで徹底しているのは、見ていて感心するほど。
具体的に挙げればキリがないのですが、ユニークなところで何点か…
1. オフィスの家具は全て中古。よって皆バラバラ。
2. 機内のテレビやオーディオはなし。
3. ホッチキスは針が必要ないタイプ。
4. チケットはレシートのような見た目の感熱紙。
5. 飛行機までは雨であろうが、台風であろうがバス。
こんな感じ
こうして削れるコストを徹底的に削って行きます。またお金をとれるところからは細かくとっていく。
6. チケットの紙が惜しいので、自宅でプリントして来なければ空港にて有料でプリント。
7. 機内の飲み物や食事、さらには毛布まで有料。
8. 荷物を預けるのも有料。
9. 座席をリクエストするのも有料。
10. 電話で予約したら手数料。
これがLCCの常識です。ちなみに上記6~10はFSAでは全て無料となります。
一方で1~5に関してはFSAでこれを全てやっていれば、もはや経営が危ないと思っていいレベルですね(笑)
つまりFSAは初めから食事や荷物預かりといった全てのサービスを含めたセット(コース料理)となっており、例えば乗るだけで食事はいらない人、荷物が少ないから預けない人といった場合でも必要な人と同額払う必要があります。
私野菜が嫌いだから前菜はいらない、といってもコース料金は決まっていますよね?それと全く同じことです。
FSAとはFull Service Airlinesの略で、まさに今説明した通りですね。
逆にLCCはアラカルト料理に例えることができ、必要な人は必要なサービスだけをつけてその対価を支払うというシステムだと考えるとわかりやすいですね。
日頃から荷物を預けない人や、食事をとらない人にとっては無駄なサービスにお金を払う必要がなくむしろ嬉しいはずです。ちなみにLCCでFSA並みのサービスを全てつけようとすると、やはりFSA並みの運賃になりますので、筋が通りますね。
これがLCCが安い理由の一つ目です。だからLCCに乗って「水一つ出さない!サービスが悪い!」なんて思ったらダメですよ。だってその分の料金払ってないんですから。それで要求する方がタチ悪いです(笑)
LCCでこれを期待しちゃダメです。
お金を払ったとしてもこんなものです。笑
一人一人が本当に必要な物を組み合わせて作る航空券。それがLCCのチケットです。
「贅沢は敵」ワズ。「ムダは敵」ナウ。
上記の徹底したコストカットと共に、LCCの特徴として徹底した効率化が挙げられます。
飛行機は空を飛ばない限りチケットは売れません。つまり飛行機が飛ばないと会社としてお金は生まないのです。それどころか地上にいると駐機料といって、車で言う駐車場代がかかります。
ならばやることは単純。
とにかく飛ばす!
これに尽きます。
LCCは1機数百億円もする飛行機を効率よく活用しようと、とにかく常に飛行機が飛んでいる状態にするスケジュールを組みます。
通常国内であれば飛行機が着いて、お客さんを降ろして、また新しいお客さんを乗せて飛び立つまで1時間ほど余裕をみますが、LCCの場合はこれが30分ほど。
早い所だと20分ほどですぐ飛んで行ってしまいます。こうすることで絶えずお金を生み出すことで利益を最大化します。
でもなぜそこまでスピードアップできるかというと、こちらもやはり随所に工夫が見られます。
前述のようにLCCは機内持ち込みの手荷物に関しても非常に厳しい規定があります。少しでも重量を減らして燃料代を節約するという意図もありますが、それ以上に機内持ち込みの手数料を制限することで、乗客が機内で荷物を収納するのにかける時間やそれを手伝う手間を減らすことで効率化が可能です。
ちなみにFSAの場合サイズオーバーの荷物や頭上のロッカーに入りきらなかった荷物は、貨物室で預かってくれますが、これには時間がかかるためやはりLCCにとっては好ましくありません。
よって初めから持ち込む荷物を減らすことでスピードアップを実現しています。
また機内の清掃はFSAならば乗客が降りた後、清掃業者の方が入りますが、LCCでは飛行機が飛んでいる間に乗務員がゴミ袋を持ってまわりゴミを回収します。
中にはシートポケット内の雑誌などの向きを元に戻すようアナウンスされる会社もあります。
こうして従来なら地上でやっていたことを、空にいるうちに済ますことで大幅に時間が短縮されますし、清掃業者を雇う必要もなくなりますよね。これもコストカットです。
ちなみにLCCの割にどこも高級そうな皮張りのシートを採用しているのは、清掃などの手入れが簡単なため。これも効率化ですね。
これはこれでキレイでしょ?
さらに言うと、海外では自由席としている会社もあり、これが効率化に一役買っているといいます。なぜだかわかりますか??
皆さんはもし「自由席です」と言われたらどうしますか?
おそらくお目当ての席、少しでも良い席を確保するために早いうちから搭乗口に集まってきて、我先にと乗り込むでしょう。
それだけで立派な時間短縮です。win-winとはこういうことですかね。
LCC(格安航空会社)は危ない!?
ではここまでLCCとは何か、なぜ安いのかということを簡単に理解したところで本題。
それだけ安いのにはワケがある。
LCCは危険?やめた方がいい?
これはよく聞く話ですが、結論から言います。
危ない会社もある
これが正直な結論です。
ただ併せてこうも言えます。
日本のLCCは安全です
最近になって日本でもLCCが話題になりましたが、意外にLCCの歴史は古く、元祖LCCと呼ばれるアメリカのサウスウエスト航空は飛び始めて40年経ちました。
ちなみに同社は現在500機以上の飛行機を飛ばしていますが、これまでに乗客乗員が死亡する事故は設立以来ゼロです。
ちなみに飛行機事故で死亡する確率より、空港に行くまでの車で事故にあって死亡する確率の方が高いと言われています。ただ、ひとたび墜落となると大勢の方の命が奪われ、関心を惹いてしまうため、飛行機は危ないと思われてしまう傾向にあるようです。
で、そんなことはおいといて。
ではLCCが安全だという根拠を簡単にご説明しましょう。
LCC(格安航空会社)が安全な理由 その1. 飛行機が新しい
飛行機は使用年数を機齢といって表します。
一般的に機齢が古いと、メンテナンスの必要性が高まり故障の確率が上がります。またその分メンテナンスのコストがかかるため、十分にコストをかけられなければ、整備が不十分となり、よって安全性に疑問符が増えて行きます。
ただLCCはほとんどの会社が新品の航空機を購入しているため、安全性は非常に高いと言えます。
加えてLCCが購入する航空機はB737型機、もしくはA320型機がほとんどであり、この2タイプは古くからのロングセラー品です。つまり過去の経験と技術が凝縮されており、非常に安全性の高い機種です。
売れまくってるベストセラー機
さらに言えば、それだけのベストセラー品であるため、操縦資格をもったパイロットが世界中におり、腕の良いパイロットの絶対数もやはり多くなるので安全な飛行機に腕の良いパイロットを掛けると、やはり信頼性が違います!
LCC(格安航空会社)が安全な理由 その2. 熟練パイロット
LCCがここ数年で急激に増えることができた要因として、日本航空の破産が関係していると言われています。
パイロットを育てるのには一人当たり数億円~数十億円かかると言われています。その費用は莫大であり、これを避けるためにLCCでは基本的に他社からパイロットを引き抜きます。
その中、日本航空が経営破綻したことでリストラが行われ、大量のパイロットが市場に出回りました。彼らは既にライセンスを持っており、現役で飛んでいたパイロットです。
そうしたパイロットをまとめて採用することができたために、LCCはあれだけのペースで拡大することができたと言えます。
こうした経験が豊富で、スキルが高いパイロットが多数所属するのもLCCの特徴で、飛行機というハードウェアだけでなく、パイロットといったソフトウェアも質が高いことから、FSAに比べて安全性が劣るとは一概には言えません。
心配しなくても、こんな滑走路からはみ出して着陸するパイロットなんていません(笑)
LCC(格安航空会社)が安全な理由 その3. 親の顔が見てみたい?
現在日本をベースに飛んでいるLCCは4社。関空をベースとしているピーチ、成田を拠点とするバニラエア、ジェットスター、そして春秋航空。
ピーチとバニラエアはANAが出資・技術支援を行っており、ジェットスターはJALとオーストラリアのカンタス航空が、そして春秋航空も中国に親会社があり、日本を飛んでいる春秋航空日本はその子会社です。
つまりこうしたLCCでも、親の顔を見てみれば高い安全性を誇り、長年飛行機を飛ばしてきた親会社のDNAが引き継がれているこれらのLCC、やはり安全性は高いと言えるで賞。ちがう。言えるでしょう。
ちなみによく聞く
「LCCだから揺れるね」
「LCCだから着陸がへたくそだった」
それ、間違ってます!
飛行機はサイズが小さいと風に煽られやすいため、たまたまLCCが飛ばしている飛行機が小型機だから揺れやすいだけのこと。FSAでも同じ機種の場合、揺れる時は揺れます。
着陸の時の振動は、実はわざというケースが多いです。というのも、衝撃によって減速を図ったり、ハイドロプレーニング現象を避けるためです。ここにもパイロットの技術が活かされてるんですね~!
最後に大切なこと
と、まあ今回は少し現実的な所の話になってしまいましたが、LCCは危なくないというのをご理解いただけたでしょうか。
使いこなせるようになると本当にお得なので、今度は実際に皆さんが乗る際に抑えておくべきポイントについてお話したいと思います。
ばいばい!
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