【質問回答】長い英文はどうやって訳したらいいの?

「英語で必要なすべての英文法」を身に付けるオンラインスクール English Grammar Academy では、動画講義とは別に「6ヶ月の個別質問サポート」を行っていて、毎日たくさんの質問が寄せられている。
ここでは「少し長い英文の訳し方」についてのご質問と回答を共有しよう。
CONTENTS
質問「この英文の主語はどこなのでしょうか?」
<ご質問>
お世話になります。
Understanding how good nutrition protects you against these dire consequences requires a familiarity with the language and concepts of nutrition.
以上の文で、いくつか質問があります。
1. Understanding は分詞構文ではなく、単に命令ととらえて大丈夫でしょうか?
2. these と dire の間には、接続詞の that が省略されているのでしょうか?
3. そもそもこの文の主語は、Understanding how good nutrition protects you の部分で合っていますか? 文をどこで区切ったらよいのか、よくわかりませんでした。
4. この文の訳は、
「どのように良い栄養があなたを保護するか理解しなさい。ものすごい結果に備えて、栄養の言語や概念に精通していることが必要である。」
このような感じになりますでしょうか?
こういった少し長い英文を正確に解釈するためには、まずは英文全体の大まかな構造を把握する必要がある。
・主語Sはどこからどこまでなのか?
・how が導く間接疑問文はどこまでなのか?
・requires の主語Sは?
こういったところをザッと考えるだけでも、ずいぶんと正確な訳に辿り着きやすくなるものだ。
私は次のように回答した。
※「間接疑問文って、何?」
という人はこちら >>
that節の親戚!?間接疑問文で初心者が知っておくべき3つのポイント
回答「間接疑問文を目的語Oにとる動名詞 Understanding が主語Sですね」
<回答>
>Understanding how good nutrition protects you against these dire consequences requires a familiarity with the language and concepts of nutrition.
これは、動名詞が requires の主語になった "Doing requires ●●" という形ですね。
直訳すると「~することは●●を必要とする」ですが、これを柔らかくして「~するには●●が必要だ」と解釈すると意味を掴みやすいと思います。
>1. Understanding は分詞構文ではなく、単に命令ととらえて大丈夫でしょうか?
文頭に ~ing が来たときは、まずは動名詞が主語になっているという可能性を考えましょう。
今回は、他動詞の動名詞 Understanding が、間接疑問文 how good nutrition protects you against these dire consequences を目的語Oとして取っている形ですね。
>2.these と dire の間には、接続詞の that が省略されているのでしょうか?
these(このような)⇒ consequences(結果)という繋がり(修飾関係)なので、その間に置かれた dire は形容詞だと考えられます。
ここは these dire consequences で「こうした恐ろしい結果」という一つのかたまりです。
あと、間接疑問文を導いている how が、
★動詞を修飾する how(どのようにして/方法)
★形容詞や副詞を修飾する how(どれくらい/程度)
のどちらなのかを判断する必要があると思います。
how good nutrition … と続いているので、何となく「どれくらい良い栄養…」という風に「程度の how」として訳してしまいそうですが、それだと意味が通じないので、ここは「方法の how」が protects を修飾していると考えるのが正解ですね。
how good nutrition protects you against these dire consequences
良い栄養(豊富な栄養?)がどのようにしてこうした恐ろしい結果からあなたを守るのか
これが間接疑問文の部分の直訳です。
>3. そもそもこの文の主節は、Understanding how good nutrition protects you の部分で合っていますか? 文をどこで区切ったらよいのか、よくわかりませんでした。
文構造についてはここまでの解説でわかるかと思います。
主語S : Understanding how good nutrition protects you against these dire consequences
述語動詞V : requires
目的語O : a familiarity with the language and concepts of nutrition.
ですね。
文構造を見抜くポイントは、
★文頭の Understanding を、まずは動名詞ではないかと考える
★間接疑問文の中の文構造を考える
★requires の主語を探す
ですね。
>4. この文の訳は、
>「どのように良い栄養があなたを保護するか理解しなさい。ものすごい結果に備えて、栄養の言語や概念に精通していることが必要である。」
>このような感じになりますでしょうか?
ここまでの解説から、直訳すると、
Understanding how good nutrition protects you against these dire consequences requires a familiarity with the language and concepts of nutrition.
「豊富な栄養がどのようにしてこうした恐ろしい結果からあなたを守るのかを理解することは、栄養学の言語や概念に慣れ親しんでいることを必要とする」
となります。
ちなみに、ここで言っている「直訳」というのは「文構造通りに訳す」という意味です。
この直訳が少し気持ち悪いと感じるのであれば、
「豊富な栄養がどのようにしてこうした恐ろしい結果からあなたを守るのかを理解するためには、栄養学の言語や概念に慣れ親しんでおく必要がある」
のように表現を丸くするといいでしょう。
このように、動名詞を「~するためには」と副詞っぽく訳し、他動詞 requires の目的語である a familiarity with the language and concepts of nutrition が、あたかも requires の主語であるかのように訳すと、日本語としては自然なものになると思います。
ただ、大切なのは、いきなり後者の訳し方を目指さないことです。
まずは文構造を押さえて、前者のような直訳をしてみて、結果、その直訳がぎこちない日本語になってしまった場合に、その日本語を柔らかく言い換えてみる。
文法力がある程度身に付くまでは、このアプローチが確実かと思います。
さいごに「直訳から生まれたぎこちない日本語を柔らかくしたのが意訳」
今回のポイントは、
2. 間接疑問文そのものの文構造を考える
3. 直訳から生まれたぎこちない日本語を柔らかくしたのが意訳
の3点にまとめられる。
特に3つ目のポイントは重要だ。
「文法・文構造を無視して、何となく意味を考える」
これを「意訳」だと思っている人も多いと思うが、こうしたアプローチだと、英文の意味を正確に解釈するスキルはなかなか磨かれない。
まずは文構造を把握して、文構造通りに直訳してみる。その直訳が不自然でなければそれでいいし、日本語として少々不自然に感じるのであれば、その直訳を柔らかい日本語に言い換えればいい。
「文構造を把握する」
↓
「文構造通りに直訳する」
↓
「さらに自然な日本語に言い換えてみる」
英語の長文読解で苦労している人は、このアプローチをぜひ大切にしてほしい。
きっと英文を正確に解釈する力が身に付くはずだ。
文構造をしっかりと把握
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