英語が苦手な原因はこれ!?知らなきゃヤバい、前置詞12選

ウォール街には「The trend is your friend(トレンドを友とせよ)」という格言があるが、英文法にも「前置詞3年、冠詞8年」というちっともオシャレじゃない格言がある。
私たち日本人が、前置詞や冠詞の使い分けを感覚レベルで出来るようになるには、それだけの時間がかかるということだ。
もちろん、受験生やTOEICの勉強をしている人は、そんな悠長なことを言ってられないだろう。
そこで今回は、前置詞のニュアンスの違い(in, on, atって、どう使い分けるねん!など)はいったん置いておいて、優先的に勉強すべき12個の前置詞についてまとめておくとしよう。
知らないものがいくつあるのかをしっかりと確認して、今後の勉強に役立ててほしい。
CONTENTS
重要前置詞(1)主格のof
the arrival of the train
このような表現を、単に「電車の到着」と訳してしまっては勿体ない。ここでは、前置詞ofの後ろが意味的に主語っぽくなっていることにお気付きだろうか?
「電車の到着 ⇒ 電車が到着すること」といった具合だ。このようなofのことを主格のofという。
この主格のofについては以下の記事の中で詳しく解説しているので、参考にしてもらいたい。
※参考記事:英語が得意な人は必ず知っている、2つのofの使い方
重要前置詞(2)目的格のof
the discovery of oil
これも単に「石油の発見」と訳すのは勿体ないだろう。ここでは、前置詞ofの後ろが意味的に目的語っぽくなっている。
「石油の発見 ⇒ 石油を発見すること」といった具合だ。
このときのofのことを目的格のofという。先ほどの主格のofとセットにして知っておくべき、重要な前置詞だ。
※参考記事:英語が得意な人は必ず知っている、2つのofの使い方
重要前置詞(3)関連のof
The picture reminds me of my old days.
その写真は私に昔のことを思い出させる。
主格のofや目的格のofもそうだが、前置詞のofを何でもかんでも「の」と訳してしまうのは良くない。
ここで用いられているofは関連のofといって、前置詞aboutみたいな感じだ。「~について・~に関して」と訳そう。
併せて、他動詞remindの意味(訳)に注意してほしい。他動詞はもちろん目的語Oを必要とする動詞だが、目的語Oというとどうしても物がイメージされる。
けれどもここでは、me(人)が目的語Oになっているのだ。だから、他動詞remindは「(物事)を思い出す」ではなく「(人)に思い出させる」という意味(訳)になる。
なお、この関連のofは、他にも以下のような他動詞と一緒に用いるものだ。
■関連のofと共に用いる他動詞
imform A of B/AにBについて知らせる
convince A of B/AにBについて納得させる
warn A of B/AにBについて警告する
etc.
これらすべての他動詞を暗記してもいいし、オススメは「あ!結局は人に情報を与えるっていう意味合いの他動詞と一緒によく使うんだ!」と、まずは広めに捉えておくことである。
重要前置詞(4)分離のof
Worrying deprived me of sleep last night.
昨夜は心配で眠れなかった。
またまた前置詞のofだ。見慣れた前置詞のはずが、実は異なる用法がいくつもあり、ここで挙げているどれもが重要なものだ。
このofはよく分離のofと呼ばれ、ofの後ろに分離されるものがやって来る。
今回の例で言うと、「私(me)」から「睡眠(sleep)」が分離させられている(つまり奪われている)のだ。
また、この分離のofを用いた文は、裏第4文型とでも表現できる。第4文型SVOOは「人に物を与える」という表現として有名だ。
I gave him my book.
このように、人(him)+物(my book)という語順を取るのが、第4文型の特徴だった。
Worrying deprived me of sleep last night.
は厳密な第4文型SVOOではないが、分離のofを挟んで、人(me)+物(sleep)という語順を取っている。
「与える」ではなく「奪う」ということなので、第4文型SVOOとは意味合いこそ真逆だが、感覚的には第4文型SVOOに近い感覚で捉えるのがいいだろう。
なお、分離のofと共に用いる他動詞には、他にも以下のようなものがある。どれも似たような意味合いの他動詞なので、併せて覚えておこう。
■分離のofと共に用いる他動詞
rob A of B/AからBを奪う
rid A of B/AからBを取り除く
relieve A of B/AからBを取り除く
cure A of B/AからB(ウイルスなど)を取り除く
重要前置詞(5)性質・性格のof
a man of courage = a courageous man
articles of value = valuable articles
性質・性格のofと言われると、あまりピンと来ないと思う。そこでここでは、まずは日本語で考えることにしよう。
例えば、ジョナサン・ジョースターのような人物を形容する場合、単に形容詞を用いて「勇敢な ⇒ 人」と表現することは容易だ。
けれども、必ずしも「勇敢な」という形容詞を用いるしか表現方法がないかと言うと、そうではない。形容詞ではなく、抽象的な名詞である「勇敢さ」という言葉を用いると、どうなるだろう?○○○に当てはまる言葉を考えてほしい。
勇敢さ○○○人
そう、「勇敢さのある人」や「勇敢さを備えた人」といった表現の仕方もあるわけだ。
性質・性格のofというのは、この日本語で言うところの「~のある」「~を備えた」という部分に対応するものだ。ofの後ろに人や物が持っている性質・性格がやって来る。
ポイントとしては、性質・性格というものは抽象名詞なので、性質・性格のofの後ろにはcourage(勇気)・value(価値)といった抽象名詞が置かれるという点だ。
なお最初に示したように、「of+抽象名詞」の部分を、単語一語の形容詞に置き換えることも可能だ。
a man of courage = a courageous man
勇敢な人
articles of value = valuable articles
価値のある物
重要前置詞(6)補語のas
People regard him as an imposter.
人は彼をペテン師だと見なしている。
「regard A as B」に代表されるasを補語のasという。非常に重要な前置詞で、詳細には以下の記事にて解説しているので参考にしてほしい。
※参考記事:大学受験の英語でも頻出!「補語のas」について語ってみた
ここでは、どうして補語のasと名付けられているのかについて確認しておくことにしよう。
この「People regard him as an imposter.」という文は、第5文型SVOCに近い感覚で捉えることができる。第5文型SVOCというのは、S-Vの部分に加えて、O-Cの部分に主語-述語の関係(O=Cという関係)が見られる、最重要の文型であった。
※参考記事:英語が苦手な人へ!第5文型を100%理解できるようになる話
つまりこの例文は、「彼(him)=ペテン師(an imposter)」という関係が成り立っていて、まるで第5文型SVOCのような振る舞いをしているのだ。
前置詞asの後ろに第5文型SVOCで言うところの補語Cっぽいものが置かれるという特徴から、補語のasと名付けられているのだ。
なお、補語のasと共に用いる他動詞には、以下のようなものが挙げられる。意味合いの差異はあるが、どれもA=Bという関係が成り立っている表現だ。
■補語のasと共に用いる他動詞
recognize A as B/AをBだと認める
acknowledge A as B/AをBだと認める
look on A as B/AをBとして見なす
think of A as B/AをBとして見なす
define A as B/AをBと定義する
重要前置詞(7)供給のwith
Tomato prvides us with vitamin A.
トマトは私たちにビタミンAを与えてくれる。
前置詞のwithというと、どうしても「~と・~と一緒に」という意味をイメージしがちだが、そうとも限らないところが難しくもあり面白いところだ。
ここでのwithは供給のwithと呼ばれ、後ろに供給されるもの(与えられるもの)がやって来る。(前置詞withを「~と一緒に」と訳しちゃいけない!)
厳密な第4文型SVOOではないが、感覚的・意味的には第4文型もどきと見なすのがよいだろう。withを介してはいるが、人(us)+物(vitamin A)という語順になっている。
純粋な第4文型SVOOを作る権利はgive, buy, teach, tellなどシンプルな動詞にだけ与えられ、その他の類似する意味の他動詞の場合には供給のwithが必要といったところだ。
ということで、供給のwithと共に用いるgiveと似たような意味の他動詞は以下。ざっくりと知っておこう。
■供給のwithと共に用いる他動詞
supply A with B/AにBを供給する
equip A with B/AにBを備え付ける
furnish A with B/A(場所)にBを備え付ける
present A with B/AにBを贈る
※参考記事:今さら聞けない第4文型SVOO!英文法の基礎をもう一度
重要前置詞(8)付帯状況のwith
He walked with his shoes off in order not to make any noise.
彼は音を立てないように靴を脱いだまま歩いた。
このwithもとても重要なもので、付帯状況のwithと呼ばれている。本質的には分詞構文からの派生だと捉えるのがよいが、ここではもう少し簡単に説明しよう。
付帯状況というのは、2つの動作が同時並行しているような状態のことだ。「~しながら」と訳せばよい。
すると今回、「with his shoes …」の部分を「靴ながら」と訳すことになるが、これはさすがにおかしく聞こえる。「靴(his shoes)」は状況ではないからだ。
付帯状況と言うからには、やはり「靴(his shoes)が○○でありながら」という風に、his shoesを意味的な主語とした主語-述語の関係がほしいところである。
そこで、付帯状況のwithを用いた場合には、「with his shoes …」の後ろに意味的に述語に当たる部分(off)がやって来るのだ。
with his shoes off
⇒ his shoesがoffであるまま
詳しくはまた別の機会に分詞構文と紐づけてお話しするが、付帯状況のwithはこのように、後ろに主語-述語の関係性を表す部分がやって来るということを知っておこう。
重要前置詞(9)制止のfrom
Illness prevented me from coming to the party.
私は病気でパーティーに行けなかった。
「prevent A(人) from doing」は「A(人)が~するのを妨げる」という意味で有名だが、このように「人に~させない系」の他動詞を用いた場合、よく前置詞のfromが用いられる。このときのfromを制止のfromと呼び、fromの後ろにはしない動作・できない動作がやって来る。
否定語のnotがないのに否定的な意味になるところに注意しよう。
また、動名詞(coming to the party)が用いられてはいるが、第5文型SVOCに近い感覚で捉えられるとよい。
「me(私)がcoming to the partyできない」のだから、前置詞fromを介してしっかりと主語-述語の関係が成り立っている。
※参考記事:英語が苦手な人へ!第5文型を100%理解できるようになる話
prevent以外にも制止のfromと共に用いる他動詞がいくつかあるので、まとめて押さえておこう。どれも「~させない系」の他動詞ばかりだ。
■制止のfromと共に用いる他動詞
keep A from doing/Aが~するのを妨げる
stop A from doing/Aが~するのを妨げる
discourage A from doing/Aが~するのを思いとどまらせる
dissuade A from doing/Aが~しないよう説得する
prohibit A from doing/Aが~するのを禁止する
重要前置詞(10)原因・理由のfor
I like her the better for her frankness.
素直なので彼女のことがその分いっそう好きだ。
よく前置詞のforを「~のために」と訳してしまうが、それだと利益・目的なのか原因・理由なのかがハッキリしない。
She married for money.
彼女は金のために結婚した。
この場合のfor(~のために)は利益・目的だ。
これに対して「I like her all the better for her frankness」のforは同じように「~のために」とは言うが、利益・目的ではない。
「彼女の素直さ(her frankness)が原因となり、その素直さの分、よりいっそう好きだ」
というのだから、このforは原因・理由を表している。
このように、同じforでも利益・目的のforもあれば原因・理由のforもある。その違いをハッキリさせるために、原因・理由のforの場合はあえて「~が原因で」と訳出しすることをオススメする。
(ちなみに…)
今回のbetterは副詞wellの比較級だ。そうすると直前のtheが冠詞ではないことがわかる。冠詞(a, the)は名詞に付くからだ。副詞(well)を修飾する品詞は、副詞。実は、「I like her the better」のtheは副詞で、その分・それだけという意味なのです。
重要前置詞(11)依存のon
He acted on her advice.
彼は彼女の助言に基づいて行動した。
前置詞のonがいつもいつも「物理的な場所」を表すとは限らない。ここでのonは依存のonというもので、しっかりと「~に基づいて」と訳出ししよう。
ここで示した例文に限らず、長文の中などでも非常によく見かける「依存のon」なので、英文の解釈に詰まったときにはぜひ活用してほしい。
重要前置詞(12)関連のon
I bought a book on web marketing.
私はウェブマーケティングに関する本を買った。
関連の前置詞と言うと、本日3つ目に挙げたofやaboutが有名だが、関連する内容がより専門的なものになった場合、関連の前置詞としてonを用いる。
場所を表す前置詞としてonを用いた場合、大雑把ないい方だが、inなどよりも狭い範囲を表した。
そういった比較的狭い範囲を表すという性質が、関連の前置詞としてonを用いる場合にも影響するというわけだ。
専門的な内容を表すときに用いる前置詞、関連のon。これもしっかりと思えておこう。
まとめ
今日は、大学受験やTOEICの勉強で必要な12個の前置詞についてお話しした。
もちろんこれら12個だけで十分というわけではないが、重要度の高いものからまとめたので、お役に立てれば幸いだ。
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