不定詞の品詞を見分ける2つの方法(動画付き)

不定詞には「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」の3種類があり、それぞれを区別するスキルは重要だ。
ここでは、多くの人がつまづきやすい「不定詞の見分け方」について、初心者向けと中級者向けの2つの方法をお伝えしよう。
この記事を読んで得られること
- 不定詞の見分け方がわかる
- 英文の形を正しく解釈できるようになる
CONTENTS
不定詞の品詞を見分けるのは「目的」ではなく「手段」
真っ先にお伝えしておくべきもっとも重要なことは、不定詞の品詞を見分けることは「目的」ではなく「手段」だということだ。
学校の授業などで、度々「この不定詞は何的用法でしょう?」という質問をされてきたので、私たちは不定詞の品詞を見分けること自体が「目的」だと錯覚してしまっている。
まずはその錯覚を解いておきたい。
品詞とは、簡単に言うと「他の部分との繋がりを表すルール」のことだ。
形容詞は名詞を修飾し、副詞は主には動詞を修飾する。前置詞の後ろには必ず名詞が置かれるし、接続詞の後ろには必ずSVが続く。
このように、ある部分の品詞を判断できれば、他の部分との繋がりが見え、英文を正しく理解することに繋がる。
「不定詞が何的用法か?」を考えるのもまさにこれと同じで、目的は「英文を正しく理解すること」「誤解を生まない語順で表現すること」だ。不定詞の品詞を見分けるのは、そのための「手段」だということを忘れないようにしよう。
方法1「訳して見分ける」
「ある不定詞が何的用法なのか?」を見分けるときに、初心者にとってわかりやすいのは、次のように「訳し方」に頼る方法だ。
⇒ 名詞的用法の不定詞
「~するための」「~するような」と訳せる場合
⇒ 形容詞的用法
「~するために」「~するほど」と訳せる場合
⇒ 副詞的用法
試しに、次の英文の不定詞が「何的用法なのか?」を考えてみよう。
It is easy for me to finish the report by tomorrow.
明日までにこのレポートを仕上げる「こと」は私にとって簡単だ。
⇒ 名詞的用法の不定詞
何か書く「ための」ものをください。
⇒ 形容詞的用法の不定詞
I went to Australia to learn English.
私は英語を学ぶ「ために」オーストラリアへ行った。
⇒ 副詞的用法の不定詞
このように、不定詞の訳し方から「何的用法なのか?」を見分けることができる。
ただ、このアプローチには、いくつかのデメリットもあるので知っておこう。
デメリット1:単語の意味を知っている場合にしか使えない
「訳し方」から何的用法かを判断するということは、訳せなければ何的用法かを判断できないということだ。
先ほどの “It is easy for me to finish the report by tomorrow.” のようなシンプルな表現であれば比較的訳しやすいので、訳し方から不定詞の品詞を判断することはできる。
けれども、次のような表現ではどうだろう?
(もちろん個人差はあると思うが、「単語の意味を知らない」という前提で考えてみてほしい。)
Culture is not an ornament to parade your knowledge.
culture や ornament, parade といった単語の意味がわからなければ、「訳し方から不定詞の品詞を見分ける」ということはできないはずだ。
私たちが出会うすべての英語が、意味を知っている単語だけで表現されるわけではない。メールや会話といった日常でもそうだし、長文読解や文法問題などの試験でもそうだ。むしろ、知らない単語が出てくる機会の方が多い。
こうして視野を広げてみると、「訳し方から何的用法なのかを見分ける」というアプローチが限定的なものだとわかるだろう。
※ちなみに、culture(教養)・ornament(装飾品)・parade(をひけらかす)なので、先ほどの “Culture is not an ornament to parade your knowledge.” は「教養はあなたの知識をひけらかすための装飾品ではない」という意味だ。
デメリット2:手段が目的化してしまう
もっとも重要なこととして初めにお伝えしたように、不定詞の品詞を見極めることは、目的ではなく、英文を理解するための手段だ。
そこで、そもそもある程度の精度で訳せているなら、不定詞の品詞を考える意味はあまりない。
「品詞を判断するために訳す」のではなく、「正しく訳すために品詞を活用する」のが本来のベクトルだからだ。
最初のうちはいいが、「訳し方から何的用法なのかを見分ける」というアプローチばかりを繰り返してしまうと、目的と手段が反転してしまうので注意しよう。
方法2「不定詞が置かれている位置から見分ける」
不定詞の品詞を見分けるもう一つの方法は、英文全体を広く見渡し、「不定詞がどこに置かれているのか?」に注目する方法だ。
この方法には、次の2つのメリットがある。
1. 動詞の意味がわからなくても見分けられる
例えば、先ほど英文の不定詞の品詞を、不定詞が置かれている位置から考えてみよう。
Culture is not an ornament to parade your knowledge.
この英文では、 “Culture is not an ornament” までで第2文型(SVC)という文の形が成り立っているので、後ろの “to parade your knowledge” は修飾語のMだとわかる。
文の形が成り立っているのなら、それ以外の部分は修飾語(M)
修飾語Mには、形容詞(名詞を修飾する)と副詞(主には動詞を修飾する)の2種類があるが、動作を表す動詞が他に見当たらないので副詞の可能性が消え、ここでは直前の名詞 ornament を修飾する形容詞だとわかる。(つまり、形容詞的用法の不定詞だとわかる。)
be動詞は確かに動詞の一種だが、be動詞そのものが副詞に修飾されることはない。
be動詞について、詳しくはこちらの動画にて。
このように、不定詞が置かれている位置が「全体の中でのどこなのか?」という視点を持てば、たとえ知らない単語があったとしても、不定詞の品詞を考えていくことができる。
そして本題はここから。
繰り返しになるが、品詞を判断するのは「目的」ではなく「手段」だ。
せっかく “to parade your knowledge” の品詞がわかったので、そこを足がかりに、この英文の意味を考えてみよう。
詳しくは以下の動画を参考にしてほしい。
2. 英文法の力(=英文の形を判断する力)が身に付く
今見てきたような
↓
他の部分との繋がりがわかる
↓
単語がわからなくても文脈が見えてくる
という一連の流れは、何も不定詞に限ったことではない。
英語のあらゆる場面で活用できるアプローチだ。
訳し方だけに頼らず、置かれている位置から不定詞の品詞を考えるよう癖付けておけば、知らず知らずのうちに「英文法の力=英文の形を判断する力」が養われるので、ぜひ意識してほしい。
さいごに「どちらの見分け方も大切」
ここでは、不定詞の品詞の見分け方として、
1. 不定詞の訳し方から考える
2. 不定詞が置かれている位置から考える
という2つのアプローチを紹介した。
学習の段階や英文のレベルに応じて、2つの見分け方をうまく使い分けてほしい。
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