質問・回答シェア/TOEICでも頻出の前置詞・分離のofについて

今回は普段の記事(講義)とは趣向を変えて、先日、あるメッセージにて頂いたご質問と、それに対する私の返信をシェアすることで、キミの英語学習のお役に立ちたいと思う。(もちろん質問をくださった方のお名前などは、匿名にさせてもらいます。)
内容はタイトル通り、分離のofという前置詞と第4文型についての話だ。
温かいメッセージも添えてくださったので、半分自己PRのような感じに見えてしまうかも知れないが、TOEICの文法問題などでも頻出の内容なので一読してみてほしい。
なお、前置詞に関する知識が多少は必要だと思うので、必要があれば以下の記事(講義)を参考にしてもらいたい。
CONTENTS
1. ご質問の内容
先生の動画でいままで疑問だったことがたくさん明瞭になりました。(自分ではそう思っています)本当にありがとうございます。
質問があります。忙しいと思うので返信できないときは無理をしなくても結構です。
They robbed the bank of its money.
この文章の構造を私なりに考えると次のようになります。
they 主語(名詞)
robbed 述語動詞(他動詞)
the bank 目的語(冠詞+名詞)
of its money は前置詞句
だと思うのですが、合っていますか。
もし、前置詞句だったら、形容詞句か副詞句の区別がつきませんの教えていただきたいです。
また、日本語訳からみると、the bankが目的語というのは違和感があります。それだと、「銀行を奪った」みたいに考えてしまいます。
そもそもが見当ちがいかも知れませんが教えていただきたいです。
2. 質問箇所に対する私の回答
メッセージとご質問、ありがとうございます。
提供できるコンテンツの質など、私もまだまだ上を目指してがんばりますね。
文構造の捉え方について
>They robbed the bank of its money.
>この文章の構造を私なりに考えると次のようになります。
>they 主語(名詞)
>robbed 述語動詞(他動詞)
>the bank 目的語(冠詞+名詞)
>of its money は前置詞句
文構造の捉え方自体は、これで間違いありません。文の要素と品詞の区別も、しっかりされていますね。
銀行を奪う!?他動詞robの目的語について
>また、日本語訳からみると、the bank が目的語というのは違和感があります。それだと、「銀行を奪った」みたいに考えてしまいます。
これは非常にいい質問ですね。
確かに、「目的語」という言葉のひびきからは「物」をイメージしてしまいがちですが、他動詞の中には「人」や「場所」を目的語に取るものも実はたくさんあります。
次の文を例にしてみましょう。
This picture reminds me of the past.
この写真は私に昔のことを思い出させる。
ここで、「単語単位」で和訳を考えてみます。
This picture(この写真は)
the past(過去のこと)
of(について)
me(私)
reminds(に思い出させる)
注目したいのは最後の「reminds」です。他動詞というのは「~を」という意味を動詞自身に含むものが一般的ですが、今回の「reminds」は「~に」という意味が含まれていて、「物事」ではなく「人」を目的語に取ることがわかります。
同じように、ご質問いただいた文についても考えてみましょう。
They robbed the bank of its money.
「単語単位」で和訳を考えてみると、
They(彼らは)
its money(お金)
of(を)
the bank(銀行)
robbed(から奪った)
今回の他動詞robは、「(物)を奪う」ではなく「(場所)から奪う」という意味の他動詞で、場所を目的語に取っているわけです。
(△)目的語とは動作の対象になるモノであり、日本語でいうところの「何々を」の「何々」に当たるものである
と考えてしまうと、今回のthe bankが目的語だということを理解しにくいと思います。そこで、
(○)目的語とは、動詞自身に「(物)を」「(人)に」「(人・場所)から」という意味を含む他動詞の後ろに必要である名詞のこと
と考えておくと、今後の学習がスムーズに行くかと思います。
of its moneyという前置詞句の品詞について
>もし、前置詞句だったら、形容詞句か副詞句の区別がつきませんの教えていただきたいです。
これにつきましては、最後になりましたが、副詞句でいいと思います。「お金を⇒奪った」というように、動詞robbedを修飾していますので。ただそうすると、ご質問の文が「第3文型SVO(M)」という見方になります。確かに文法的には「第3文型SVO(M)」でよいと思いますが、意味・感覚という角度から見ると「第4文型SVOO」の親戚でもあります。
He lent me a book.(第4文型)
彼は私に本を貸してくれた。
They robbed the bank of its money.(裏第4文型)
彼らは銀行からお金を奪った。
第4文型SVOOは「人+物」という語順で、2つの目的語が置かれる文型です。give, buy, lend, tellなどの「人にメリットを与えるような他動詞」が、第4文型SVOOを作る動詞の代表です。
rob(から奪う), deprive(から奪う), relieve(から取り除く), strip(から剥ぎ取る)などは「人にメリットを与えるような他動詞」ではなく、むしろ「デメリットを与えるような他動詞」ですが、「人・場所(the bank)+物(its money)」というように、第4文型と同じような順番で目的語を取っています。もちろん、前置詞ofは必要ですが。
このように、純粋な第4文型と比較すると、意味こそ真逆ではありますが、第4文型SVOOに非常に近い感覚で捉えることができると思います。
また何かありましたら、お気軽にご連絡ください。
可能な限りお役に立ちたいと思います。
森タツロウ
3. その後に頂いた返信
こんなに丁寧な解説を本当にありがとうございました。
説明を読んだ後に、辞書で確認したら、書いてありました。今後はよく辞書を読むようにしたいと思います。先生のおかげで辞書を読むのが苦痛でなく、むしろ楽しくなっていたところでした。
また、第4文型もどきみたいな考え方にも驚きました。改めて、ありがとうございました。
まとめ
いやはや、すべての質問にお答えできるわけではありませんが、こうやってメッセージを頂けることは本当にありがたいことです。
質問と回答をシェアすると、学びの質も高まりますね。
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