英語が苦手な人へ!第5文型SVOCを100%理解できるようになる話

英文法英文法の基礎
最終更新日:
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前回の記事で、英語の文型の中でももっとも重要な第5文型(SVOC)の基礎についてお話しした。

参考:知らなきゃヤバい!?第5文型のたった1つのポイント

「SVの関係を2ヶ所に含んでいる」という第5文型のポイントを理解した上で、今日は一見異なるように見える様々な第5文型を、統一的に処理できるようにしよう。

CONTENTS

形容詞は、tall や kind だけじゃない!

はじめに、様々な第5文型(SVOC)を理解するための準備をしよう。

この見出しだと、「そりゃそうだろ」という声が聞こえてきそうだ。確かに tall や kind 以外にも、形容詞はたくさんある。red や big などの小学生でも知っていそうな形容詞もあれば、simultaneous や obsessive といった文脈からの推測を必要としそうな難解な形容詞もある。ただ、これらはすべて純粋な形容詞だ。辞書で引いたときに、「ハイ、これは形容詞ですよ!」と載っている、生まれついての形容詞である。

ここでは、キミの「形容詞」についての概念を少し広げてみたい。一見異なるように見える様々な第5文型(SVOC)を、統一的に理解するためだ。

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頭をリラックスさせて想像してみてほしい。今、キミの目の前には、南国の遠浅の海が広がっている。申し訳ないが、大阪湾とは比べ物にならない。(もちろん、私は大阪を愛しているが。)

この目の前に広がる南国の海を、キミの言葉で形容してほしい。いったいどのような言い表し方があるだろうか?表現は自由だ。

・青い海
・美しい海
・広大な海
・ホッとさせる海
・人々に愛されている海
・あの人と一緒に見たい海

ひょっとすると、キミの方がもっと表現が豊かかもしれないが、この6つを例に話を進めてみよう。最初の3つでは「青い」「美しい」「広大な」という、言ってしまえばありきたりな形容詞が使われているが、それだけだと表現に限界があるだろう。

そこで、「ホッとさせる」「人々に愛されている」「あの人と一緒に見たい」といった、動詞の意味を含んでいるような言葉によって、「海」というものを幅広く表現(形容)するわけだ。

このような動詞の意味を含んだ形容詞というものを、キミと、キミの友達と、おそらく英会話学校の先生があまり好きではない言葉で言うと、「分詞」や「形容詞的用法の不定詞」ということになる。

「分詞」「形容詞的用法の不定詞」についての詳細な説明は、追ってカテゴリを分けてお伝えする。今はこれらを、動詞の意味を含んだ形容詞の一種だと理解してもらえばよい。(そして、実はそれが本質に近かったりもする。)

目的格補語には、たいていは形容詞が置かれる

「補語」というのは実は2種類ある。第2文型(SVC)の補語Cと、第5文型(SVOC)の補語Cだ。それぞれ、主語Sとイコール関係の補語、目的語Oとイコール関係の補語ということで、順に「主格補語」「目的格補語」と言ったりする。

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今後、「目的格補語」と言ったときには、「第5文型の補語Cのことだな!」と思っていただければよい。

さて、この目的格補語Cの位置には、たいていは形容詞がやって来るものだ。そして、一口に形容詞というが、「純粋な形容詞」の他に「動詞の意味を含んだ様々な形容詞」があることを先ほどお伝えした。

どのような形容詞が置かれるのかによって、第5文型(SVOC)には見かけ上、様々な種類があるように思える。

・I saw a bird flying.
・We found the job tiring.
・He had his watch fixed.
・He had his watch stolen.
・Poverty obliged him to deprive the lady of her purse.

ここで大切なのは、

「現在分詞(flying や tiring)を使った文」「過去分詞(fixed や stolen)を使った文」「不定詞(to deprive the lady of her purse)を使った文」というような分け隔てをしないことだ。

確かに、パッと見たところは違いがあるように思えるが、もっと概念を広げてほしい。flying(飛んでいる)も tiring(疲れさせる)も、fixed(修理された)も stolen(盗まれた)も、to deprive the lady of her purse(その女性から財布を盗むようだ)も、すべて動詞の意味を含んだ形容詞ですよね?見た目の違いに惑わされちゃいけない。先の5つの例は、すべて「同じ」第5文型(SVOC)の文なのだ。

それでは、ここで挙げた5つの文について、1つずつ見ていくことにしよう。

SVOCその1. "I saw a bird flying."

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「私は飛んでいる鳥を見た」というような訳は、君の文法力を高めてはくれない。

完全な間違いとは言わないが、「飛んでいる ⇒ 鳥」と言っている以上、文法的側面から見ると、この訳し方では flying が bird を修飾していることになる。

前回の第5文型の基礎についての話の中でもお伝えしたが、単語一語の形容詞は、原則、後ろから名詞に掛ったりはしないのだ。(誰も「赤いバラ」を「a rose red(×)」とは言わないでしょう?)

第5文型であることをしっかりと意識して、OとCの主語-述語の関係だけを抜き出して考えよう。be動詞を補って考えればよい。つまり、こういうことだ。


A bird was flying.
鳥が飛んでいた。


 
「これ」を見たのだから、全体としては「私は鳥が飛んでいるのを見た」というように訳すのが正しい。

SVOCその2. "We found the job tiring."

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詳しくは「分詞」というカテゴリにてお話しするが、現在分詞には2種類あるということを知っておいてほしい。

1つは「進行(~している)」の意味を持つ現在分詞。こちらは、中学生にもお馴染みだ。

もう1つは「能動(人を~させるような)」の意味を持つ現在分詞。今回の tiring(人を疲れさせるような・ようだ)がそれに当たる。

tiring の元になっている動詞 tire は、他動詞である。一口に現在分詞とは言うが、実は他動詞出身の現在分詞であれば、能動(人を~するような)の意味を持つのである。

(なお、自動詞・他動詞の違いについては、以下の記事がお役に立つだろう。)

参考:なぜ自動詞・他動詞が区別できないと、英語の勉強が無駄になるのか?

さて、例文の「We found the job tiring.」に戻ろう。OとCのところの主語-述語の関係だけを抜き出すと、


The job was tiring.
その仕事は(人を)疲れさせるようだった。


 
となる。これを、元の第5文型(SVOC)の文に取り込むと、「私たちはその仕事が(人を)疲れさせるとわかった」と訳されるわけだ。

ちなみに、find は第5文型(SVOC)を導く代表的な動詞で、「OがCだとわかる・気付く」という意味で用いられる。

SVOCその3. "He had his watch fixed."

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よく「have (get) + O + done」は、「『Oを~してもらう(メリット)/Oを~される(デメリット)』と訳すので覚えておいてね!」と言われるが、単発的知識を身につけても成長とは言えないだろう。(ちなみに、done は一般の過去分詞を表現している。)

大袈裟だが、インターネットの台頭によって「情報の暗記」の価値は低下したはずだ。特殊な構文だとミクロに捉えるのではなく、第5文型(SVOC)だというマクロな視点で捉えていこう。

OとCの主語-述語の関係を抜き出すと、


His watch was fixed.
彼の時計が修理された。


 
となる。これは、一般的に考えてメリットでしょう?だから、「彼は時計を修理してもらった」と訳せばいいわけ。

SVOCその4. "He had his watch stolen."

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これも、過去分詞 stolen という形容詞が目的格補語Cに置かれているだけの、第5文型(SVOC)。OとCの主語-述語の関係を抜き出すと、


His watch was stole.
彼の時計が盗まれた。


 
となり、一般的にはデメリットでしょう?ということで、「彼は時計を盗まれた」と訳されるはずだ。

SVOCその5. "Poverty obliged him to deprive the lady of her purse."

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今日はこれで最後だ。ラストということで、少しだけ気合の入った例文を登場させてしまった。まずは大枠から捉えるよう心がけよう。

私がここで言っている「大枠」というのは、当然「文型」のことだ。今回の例文のように、「他動詞+人+to do」という形は、まずは第5文型(SVOC)だと考えるとよい。(必ずしも第5文型というわけではないが、そうやって思考に優先順位をつける方が、効率的だ。)

そうすると、とりあえずは him が目的語O、to deprive the lady of her purse が補語Cなのだから、「him が to deprive した」ということがわかる。

deprive というのは「奪う」という意味の他動詞だが、物ではなく人を目的語Oに取るので注意しよう。つまり deprive は「を奪う」ではなく「から奪う」という意味なのだ。

さらにこの deprive、「deprive A of B」という形で、前置詞 of と共に用いられる。このときの of のことを「分離のof」と言うのだが……さすがに、ちょっとムズカシイって?なら、1つだけ覚えておこう。前置詞の名前は、その後ろにどういったものが置かれるのかによって名付けられているのだ。

「主格のof」の後ろには「主語っぽいもの」が、「目的格のof」の後ろには「目的語っぽいもの」が、「補語のas」の後ろには「第5文型の補語っぽいもの」がやって来る。

参考:主格のofと目的格のof
参考:補語のas

「分離のof」というのも同様で、後ろには「分離されるもの」を従えるというわけだ。だから「of her purse」、奪われた「財布」を、ofの後ろに置いているのです。

さてさて、deprive の語法について多少細かな道を通って来たけれど、ご安心を。出口はすぐそこです。

Poverty とか oblige といった馴染みの薄い単語が出てきて少し戸惑ったかも知れないが、単語の意味の前に、文型だ。


Poverty obliged him to deprive the lady of her purse.


 
繰り返しになるが、「他動詞+人+to do」という形は、まずは第5文型(SVOC)だと考えるようにするとよい。

そうすると今回、「him」が目的語O、「to deprive the lady of her purse」が目的格補語Cというわけだ。

先ほどまでの第5文型(SVOC)と唯一違う点は、OとCが表す主語-述語の抜き出し方である。


Poverty obliged him to deprive the lady of her purse.


 
こうやって、目的格補語Cの場所に不定詞(to deprive ~)が置かれているときには、先ほどまでのようにbe動詞を補って考えると、少々扱いづらい文が出来上がってしまう。


(△)He was to deprive the lady of her purse.


 
そこで、目的格補語Cの場所に不定詞 to do が置かれているときだけ、be動詞を補って考えるのではなく、to do の do をそのまま引っ張り出すことにしよう。


(○)He deprived the lady of her purse.
彼がその女性から財布を奪った。


 
後はこれを、元の第5文型(SVOC)に組み込んで、文全体の意味を考える。


Poverty obliged him to deprive the lady of her purse.
Povertyが、彼がその女性から財布を奪うようにさせた。


 
oblige という見慣れない動詞が使われてはいるが、第5文型(SVOC)をつくる動詞の代表的な訳し方「OをCの状態にさせる」を当てはめておけばよい。こうやって全体の和訳を見ると、Poverty というのは彼が女性から財布を奪った原因だということが分かる。

普段はそんなことはしないけど、人が他人の財布を奪ってしまうような状況とは?

そう、「お金がない状況=貧困」である。Poverty は「貧困」という意味の名詞だ。単語の知識は確かに必要だが、こうやって文型というロジックを通すことによって、見たことのない単語の意味を推測することもできる。

まとめ

いかがだっただろう。結局のところ、「純粋な形容詞/現在分詞/過去分詞/形容詞的用法の不定詞」といったものの間に線を引いてしまうから、第5文型(SVOC)というものが何種類もあるように思えて、複雑なのだ。

目的格補語Cにはいろんな形のものが置かれるが、すべて形容詞の一種に過ぎないという視点を持てれば、第5文型(SVOC)というものを体系的に理解することができるのではないだろうか。
 
 
また、英語学習ボックスの無料動画では、こういった英文法の基礎について全31回・500分に分けてお話ししているので、ぜひ併せて参考にしてもらいたい。
 
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