【質問回答】単語一語の形容詞が、後ろから名詞にかかる!?

英文法
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質問回答

先日、英語学習ボックスの無料講義を利用してくださっている方から、おもしろい質問をいただいた。

非常に深い学びを得られる内容だと思ったので、みんなでシェアできるよう動画を撮影して回答した。

今日は、その回答動画と併せて、そこでお話しした内容をまとめておこう。

CONTENTS

形容詞の働きは2つ

後ろからかかる一語の形容詞-1
まず、前提として押さえておきたいのが、形容詞の2つの働きだ。

英語の形容詞には、「名詞を修飾する」という働きと「補語Cになる」という働きの2つがある。


an honest man.(名詞を修飾)
正直な男性
Jeff is honest.(補語になる)
ジェフは正直だ。


 
ちなみに「補語C」というのは、簡単に言うと「主語Sや目的語Oとイコール関係にある部分」のことだ。詳しくは以下の記事を参考にしてもらいたい。

参考:補語は品詞じゃないよ!英語の文法を勉強するなら知っておこう

形容詞には、この2つの働きしかないので、しっかり覚えておこう。

単語一語の形容詞は「名詞を後ろから修飾しない」が原則

現在分詞と過去分詞6
形容詞の持つ2つの働きのうち、「名詞を修飾する」という働きに注目したい。

原則として、単語一語の形容詞は、後ろから名詞を修飾したりはしない。これは、私が英文法の講義を行うときに、最初の授業で必ずお話しすることだ。

「単語一語の形容詞は、名詞を後ろから修飾しない」と言うと、何か堅苦しい話をしているようにも聞こえるが、そう大したことではない。

「赤いバラ」と言うときに、誰も「a rose red(×)」とは言わないだろう。「赤いバラ」は「a red rose(○)」だ。例えばこのように、redという一語の形容詞が名詞(rose)を修飾するなら、名詞の前に置くのが当たり前というわけだ。

質問「でも、presentやavailableって、後ろから修飾してませんか?」

後ろからかかる一語の形容詞-2
いただいた質問は、この基本をしっかりと押さえた上での、鋭いものだった。

「こんにちは。公式動画サイトで勉強させてもらっている大学1年のものです。いつもコンテンツ楽しみにしております。

少し質問させていただきたいのですが、単語一語の形容詞でも後ろから名詞にかかることがあると思います。「出席している」という意味のpresentや、「利用できる」という意味のavailableなど。このような形容詞は、なぜ単語一語なのに後ろから名詞を修飾するのか、理由について解説をお願いできたらと思います。」

質問があった場合、普段はメールなどを通して回答させてもらうことが多いが、この話題はかなり「深いい話」になりそうだったので、みんなでシェアできる動画という形でも回答させてもらうことにしたわけだ。

回答「実はこれ、補語Cになっている形容詞です」

後ろからかかる一語の形容詞-3
それでは、具体例を挙げながら説明していこう。

質問にあった「present」は、大学受験などでも非常に重要な、一風変わった性質を持つ単語だ。ご存じの方もいると思うが、この「present」という形容詞、実は名詞を修飾するときと補語Cになるときで意味が変わってくる。

名詞を修飾する場合は「現在の」という意味を持ち、補語Cになる場合には「出席している」という意味を持つのだ。


It was a surprise for the members present.


 
この文は、「それは出席しているメンバーにとって驚きであった」という意味なのだが、ここで一つの矛盾が生じていることにお気付きだろうか?

「出席している」という意味のpresentは補語Cでなければならないのに、今回のpresentは名詞(members)を修飾しているようだ(出席している ⇒ メンバー)。しかも、単語一語の形容詞なのに、後ろから名詞にかかっている(the members present)。

これを、「例外」や「覚えてね」という言葉だけで片付けてしまうのは、何とも勿体ない。

例外でも何でもないので、ご安心を。「the members present」のpresentは、しっかり補語Cになっているのだ。

「主格の関係代名詞+be動詞」を補って考える

「the members presentのpresentが、補語C?」という疑問を払拭するために、他でも応用の効く、ある考え方をご紹介しよう。

形容詞句が後ろから名詞を修飾している場合には、「主格の関係代名詞+be動詞」を補うとよい。


1. the window broken by Jeff
 ↓
2. the window (which was) broken by Jeff


 
文構造が異なるだけで、1も2も「ジェフに壊された窓」という同じ意味だ。

1では「broken by Jeff」という形容詞が、windowを修飾している。

2では「which was broken by Jeff」という形容詞が、windowを修飾している。そして、この場合のbrokenは、wasの後ろという補語Cの位置に置かれているということになる。

※句…SV構造のない、単語二語以上のカタマリ
※節…SV構造のある、単語二語以上のカタマリ

このように、「主格の関係代名詞+be動詞」を補うことで、形容詞句を形容詞節に格上げできるのだ。英語を勉強中の私たちにとっては、SV構造がない「句」よりも、SV構造がある「節」の方が、はるかにわかりやすい。「主格の関係代名詞+be動詞」を補うという考え方を使わない手はないだろう。

the members present = the members (who are) present

それでは、質問へ回答するための例として挙げた「the members present(出席しているメンバー)」について、ハッキリさせよう。

先ほど、ここでのpresentは「membersを修飾しているわけではなく、補語Cになっている」と述べたが、これは「主格の関係代名詞+be動詞」を補った形を見越してのことだったのだ。


the members present
= the members (who are) present


 
実は、membersを修飾しているのは「who are present」という関係詞節で、presentはその関係詞節の中で補語Cになっている。

名詞を修飾するのか補語Cになるのかによって意味が変わるpresentが、今回「出席している」という意味を持つのは、「(who are) present」という文構造が隠れているからなのだ。決して、presentという単語一語の形容詞が、後ろから名詞を修飾しているわけではないと、おわかりいただけるだろう。

まとめ

いかがだっただろう。「主格の関係代名詞+be動詞」を補って考える、という発想も得られ、かなり「深いい話」になったのではないだろうか。

この内容を記事にしようというアイデアはもともとなかったので、私も質問をくれた方にとても感謝している。

今日の質問回答シェアが、キミのお役にも立てればより嬉しいことだ。

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