「盗まれた」は英語で? “I was stolen ...” が間違いの理由

英文法英文法の基礎
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日本語と英語では文法(語順のルール)が違うので、日本語の感覚で英語を表現すると、不自然な言い回しになるケースが少なくない。

ここでは、間違いやすい「私は●●を盗まれた」という表現について、基本的な英文法に沿って学んでいこう。

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“I was stolen ...” がダメな2つの理由

例えば「私は財布を盗まれた」と表現する場合、英文法(語順のルール)が見えていないと、“I was stolen my wallet” という間違った表現をしてしまいがちだ。

“I was stolen my wallet” のどこが不適切なのか、詳しく見ていこう。

1. 意味が不適切

まず、単純なポイントとして、“I was stolen my wallet.” は意味が不適切だ。“I was stolen ...” だと「私が盗まれた」という意味になってしまっている。

2. 文の形が不適切

また、“I was stolen my wallet” は文の形も不適切だ。

受動態( was stolen )のままだと、その不自然さに気付きにくいかもしれないので、能動態( stole )を使った文に直して考えてみよう。

なお、「受動態の文」を「能動態の文」に直すときには、次の3つのステップを踏むのが基本だ。

受動態を能動態にする3ステップ

1. 動作主(たいていは by S )を主語Sにする
2. 「 be 動詞 + 過去分詞」を他動詞Vの形にする
3. 受動態の文の主語を「目的語O」にする

これに沿って “I was stolen my wallet” を能動態に直してみよう。

I was stolen my wallet (by someone).

↓ 能動態に直すと……

Someone stole me my wallet. → ×

このように、“I was stolen my wallet” からは “Someone stole me my wallet” という能動態の文が生まれるが、この能動態は me と my wallet という2つの名詞が続いていて、文の形が不適切だ。

確かに、第4文型(SVOO)であれば、「人+物」という語順になるのは自然だが、steal(を盗む)は第3文型(SVO)を作る他動詞だ。(第4文型(SVOO)を作る他動詞には「与える」というニュアンスがあるはず。)第4文型(SVOO)でもないのに、me + my wallet(人+物)という語順になるのは、文法的におかしい。

能動態の文が不適切な形になるので、元の受動態の文も不適切な形だと押さえておこう。

「盗まれた」を表す2つの表現

それでは「私は財布を盗まれた」は、どのように表現すればよいのだろう? 適切な表現としては、次の2つを押さえておこう。

1. “My wallet was/got stolen.”

シンプルに表現するなら、「私は財布を盗まれた」は “My wallet was/got stolen” と表現できる。

My wallet was/got stolen.

私の財布が盗まれた。

ここでは、was も get も第2文型(SVC)を作っている。ニュアンスとしては、was stolen の方がフォーマルで、got stolen の方が比較的カジュアルな印象だ。

2. “I had/got my wallet stolen.”

“My wallet was/got stolen(財布が盗まれた)” が「財布」に焦点を当てた表現なのに対して、“I had/got my wallet stolen” は「私(の体験)」に焦点を当てたような表現だ。

文法的には、ここでの had や got は第5文型(SVOC)を作っている。

I had/got my wallet stolen.

私は財布を盗まれた。

ここで使った “have/get O 過去分詞” は、利益(Oを〜してもらう)や被害(Oを〜される)を表す表現として大切なものなので、必要に応じて以下のページで学んでおこう。

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さいごに|英文法は読解力・表現力の基礎

ここでは、間違いやすい「盗まれる」という表現について学んだが、こうした英文法(語順のルール)は読解力や表現力の土台になるものだ。

もしもあなたに英文法の伸び代があれば、当サイトの無料動画「暗記のいらない英文法(全31回)」も併せて学んでおこう。

きっと、英文法への苦手意識を克服するキッカケになるはずだ。